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第40回議事要旨(平成29年10月16日)

更新日 : 2022年6月27日
ページ番号:000142709

1 日時

平成29年10月16日(月曜日)13時30分-16時00分

2 場所

北九州市役所5階 特別会議室A

3 出席者

委員
 穴井委員、上田委員、岡田委員、河野委員、楠田会長、下村委員、清野委員、薛委員、武石委員、豊貞委員、野上委員、山田委員、弓削委員(合計13名)

事業者
 (仮称)新門司バイオマス発電所建設事業:新門司バイオマス発電所1合同会社
 北九州響灘洋上ウィンドファーム(仮称):ひびきウインドエナジー株式会社

事務局
 環境局環境監視部環境監視課(環境監視部長他4名)

4 議題

  1. 「(仮称)新門司バイオマス発電所建設事業に係る環境影響評価方法書」の審査
  2. 「北九州響灘洋上ウィンドファーム(仮称)に係る計画段階環境配慮書」の審査

5 議事要旨

「(仮称)新門司バイオマス発電所建設事業に係る環境影響評価方法書」の審査

楠田会長
 どうも、ご説明ありがとうございました。それでは、審議に入ります。
審議に入ります前に、今日、急に欠席ということになりました荒井委員からご意見を頂戴しておりますので、事務局より紹介をお願いいたします。

事務局
 それでは、荒井委員からのご意見をご紹介いたします。意見です。6-36ページにおける、動物(地形改変及び施設の存在、造成時の施行に関する一時的な影響)における「3.調査の手法」、3)哺乳類・両棲類・爬虫類に関して、夜間調査も行ってほしい。無人投影法で、夜間の状況をある程度カバーできると思うが、夜行性の多くの哺乳類やシロマダラなどをなるべく正確に把握するには、夜間調査が必要だと考える。とのご意見を頂いております。

楠田会長
 ありがとうございます。それでは、ただ今のご意見につきまして、事業者から回答を頂戴いたします。

事業者
 申し訳ございません。我々が方法書のほうに夜間調査の記載をしていなかったというところでございますので、基本的に荒井先生のご意見を承って、実施をしていく方向で検討していきたいと考えているところでございます。

楠田会長
 ありがとうございます。それでは、今日ご出席の委員の皆様方からご質問、ご意見を頂戴いたします。どうぞ、下村委員。

下村委員
 荒井委員が、ちょうど6-36のところでコメントされていましたので、6のところで聞きたいことがございます。例えば、昆虫類の「任意踏査によるスィーピング法、ベイトトラップ法等」という調査が挙げられていますけれども、これは網羅的に昆虫類全体を調べられるということですか。それとも、何か希少種とか、そういう特定の種に着目した調査を考えられているのかという点。もう1個質問がございまして、脊椎動物は非常によく調査されるようなのですけれども、無脊椎動物に関しまして、昆虫類しか挙げられておりませんが、通常に考えますと、陸生貝類とか、陸生甲殻類とか、他の無脊椎動物がごっそり抜け落ちているのは、ちょっといかがなのかなと思いました。この2点について、お願いします。

事業者
 先に、後者の説明からになるのですけれども、この鳶ヶ巣山の状況をこの夏にかけてざっと概査はさせていただいております。結論と言いますか、夏だけを見ても何とも言えないという大前提はもちろんあるのですけれども、生態系は非常に貧弱な山とお見受けしました。それは何故かというと、もともとの地盤というのが、石灰や、けい石の岩盤で、ほとんど表土層がないような状況で、沢の中で生物種は少ない。水がたまっている場所も少ないのです。水がたまっている場所というのが少ない中で、当然、両生類だったり、いわゆるヘビだったり、そういったものが少ないからか、ネズミもフィールドサインしかまだ見てないのですけれども、イノシシであったり標準的なものは見えるのですけれども、それ以上の多様性というのが見えていないというか。それでやらないというわけではないのですけれども、いわゆる水田が横にあれば、例えば移ってきて、水場があれば非常に多様性のある場所になって、環境影響ということを当然考えていかなくてはいけない。
 今回、もちろん理由を考えるのですけれども、何故かと少し調べていったら、あのエリアというのは昭和30年代~40年代にかけて、石灰とかけい石、恐らくセメントの原料の土を取っていたのだと思うのですけれども、結構はげ山になっている履歴があって、それが今ちょうど回復しているような段階にあるのかなというのが概査の結果だったのです。では、その無脊椎動物がごっそり抜けているということなのですけれども、そこで考えたのが、昆虫類につきましては網羅的には調査はしていく考えではあるのです。ですけれども、基本的には重要種がいれば、そこを押さえていくというような、確認していくという方法を事業者としては考えているところでございます。
 後のもう1つの回答といたしましては、そういった少し貧弱な生態系、これが正しいかどうか分からないのですけれども、そういったところから見たときに、我々とすると、いわゆる両生類・爬虫類・哺乳類と昆虫類。鳥類は、やはり周りから飛んできているのです。バックグラウンドに干潟があって、猛禽類は来ているみたいなので、そこは避けられないと。そういった観点から、こういった調査の手法をご提案させていただいているといったところでございます。

下村委員
 よく分かりました。ただ、いきなりごそっと抜け落として見ないというのではなく、せっかく調査されるのであれば、例えばクモも飛んでいきます。スィーピング法で恐らく取れますし、ベイトトラップで、甲殻類のワラジムシ類等も取れると思いますので、取れた場合はきちんと調べられるということをお願いいたします。

事業者
 分かりました。

楠田会長
 それでは、次のご発言を頂戴いたします。

穴井委員
 騒音の予測方法について質問とコメントと、1点ずつあります。まず質問からですが、6-23ページに建設機械の稼働のときの騒音予測について述べてあるのですが、「点音源の伝搬理論式等により」と書かれております。音響学会の提案式でCN-Model(Construction Noise Model)というのもあるのですが、そちらを使われない理由がもしあれば、お聞かせいただきたい。
 コメントですが、6-27ページです。資材等の搬出入の騒音予測は、音響学会のRTN-Modelを使われると書かれております。気をつけていただきたいのが、日本音響学会はAcoustical Society of Japanで、ASJモデルと呼ばれております。「RSJ」になっておりますが、「ASJ」です。名前を間違えるのは実害はありませんが、計算を間違えられると困りますので、しっかりよろしくお願いします。

事業者
 6-23のCN-Modelを使うかどうかについてですけれども、これは持ち帰らせていただいて専門の人間と協議させていただいてご回答するという方向でよろしいでしょうか。
 あと、6-27の「RSJ」は、誤記でございます。申し訳ございません。

楠田会長
 それでは、次のご発言を頂戴いたします。

野上委員
 大気質についてですが、これは先ほどスライドの19番を見ていただいたほうがいいと思うのですけれども、この大気質の予測に関しては、配慮書の段階の市長意見等で述べさせていただいたとおり、複合的影響もきちんと入れてということと、複合的影響の上の段の、普通の予測で地形を考慮するということで、これは結構なのですが、1個質問とコメントです。「複合的影響に係る予測」の一番右の「予測対象時期等」というところで、複合的影響に関しては四季ごとに長期平均濃度とあり、要するに、これについて短期平均はやらないと読めなくもないのです。むしろ短期のほうが大事ではないかと、もともと思っていましたので、恐らくやるのに大して手間はかからないと思うので、これはぜひやっていただきたいと。恐らくやるということだとは思っているのですが、よろしいでしょうか。

事業者
 そのとおりでございます。分かりにくい文章で申し訳ございません。

野上委員
 ありがとうございます。それと、これも念押しのお願いですが、配慮書段階でも、この大気質の予測に関してはかなり詳細な結果が出ているのですが、例えば、当初本文の方法書の中の4-33、4-32です。この4-32は、長期できちんとグラフも書かれていますが、4-33の短期は細かく計算されていて表に値が示されていますが図がない。今度の準備書の段階では短期につきましても、等高線はしっかり書いていただく予定にしていただけますでしょうか。

事業者
 はい、分かりました。

楠田会長
 よろしゅうございますでしょうか。それでは、次のご発言を頂戴します。

弓削委員
 理解を十分していないと思いますので、教えていただきたいのです。スライドの29枚目で、水の濁りについて検討されるというところで、施設が稼働した後の排水については下水に流すというお話を伺ったと思うのですが、そこに書かれているのは、工事期間中は排水は海に流すということでしょうか。

事業者
 現時点で、計画の熟度が達していない状況で、要は流す可能性があるのです。ただ、事業者さんと先ほども話をしていたのですけれども、流さない方向で今考えつつはある。ただ、現時点、まだ方法書の段階で、土木造成のどこが排水口になるとか、まだはっきり定まっていないところがありますので、排水しない場合でもこういった仮定条件を設けてやる方向で考えていきたいと考えております。

弓削委員
 では、基本的には流さない方向で、流す可能性もあるということですね。

事業者
 はい、そうです。

弓削委員
 もしも、万が一流すとなった場合は、やはり水の濁りの影響で底質だとか、周囲の動植物も恐らく影響を受けてくると思いますので、今の段階では海域の生物ですとかは対象外にされているようなのですが、流すとなった場合はそちらの評価も必要になってくると思います。次のステップではそこら辺も含めましてご検討いただければと思います。以上です。

楠田会長
 他にご発言はございますか。
 ないようでしたら、私のほうから、先ほどの弓削委員のご質問と関連しているのですけれども、工事の時の部分というのは、予定では平成31年という理解でよろしいでしょうか。

事業者
 今、スライドをもう1回出しましたけれども、工事着手は31年の春です。工事終了が、系列が並行していくのですけれども、32年の秋にユニット1が動き出すと。33年の冬、32年度の末になるのですけれども、その頃にユニット2も動き出すという工事計画で、現時点では考えているところです。

楠田会長
 それで、単語で下水道と言われているのですけれども、公共下水道でよろしいのですよね。

事業者
 はい。ご指摘のとおりです。

楠田会長
 公共下水道の配管がまだ来ていませんよね。

事業者
 下水道局と今、協議をさせていただいていて、この工程表に合わせて下水道局のほうが下水の設計を着手するために、今、協議をしていただいています。これの工程と合わせるように、下水を新しく造るという協議は。

楠田会長
 下水の何を造られるのですか。

事業者
 新しく公共下水管を、並行して協議させていただいています。

楠田会長
 それは、時間的に大丈夫な範囲にあるのですか。

事業者
 一応、大丈夫ということで、今、進めさせていただいております。

楠田会長
 処理場は、どこから持ってこられるのですか。どこにつながるのですか。

事業者
 流末ですか。分からないです。

楠田会長
 何キロメートルもあって、結構長いのではないかなと。

事業者
 最終の流末の所でしょうか。

楠田会長
 いえ、処理場です。

事業者
 処理場ですか。確認をいたします。今覚えていなくて、申し訳ございません。処理場は離れていましたけれども、そんなに遠くなかったと思います。

楠田会長
 処理場までパイプを新設されるわけでしょう。

事業者
 いえ、一部だけの本管……地図を出していただけますか。

楠田会長
 曽根ですか。

事業者
 よろしいでしょうか。ここに国道がございます。ここは本管がございますので、ここにこの現場から、このライン、ここからの赤のラインを新設するということです。ここの本管については、十分な処理能力と、もう埋設されています。

楠田会長
 処理能力ですか。

事業者
 何ていうのですか、処理の、管のパイは。

楠田会長
 輸送能力。 

事業者
 はい。輸送能力です。

楠田会長
 分かりました。それで、初めのエンジニアリング会社さんからの説明の時に、生活排水は浄化槽で処理するとおっしゃられたのですが、やはりそうされるのですか。公共下水道だったら、そのまま流されたほうが安上がりではないかと。

事業者
 我々としては、下水に流すことができる性状まで発電所の中で処理をして、下水のほうに流す。

楠田会長
 分かりました。そうすると、除害施設を設置されるということなのですか。

事業者
 はい、そうです。

楠田会長
 それぞれ単語が決まっていますから、それをお使いいただけるとすぐ理解ができると思います。ありがとうございます。他に、ご質問ございませんでしょうか。

薛委員
 生物の調査のところで、市長意見に従ってやります。ここで、注文あればまたやりますとおっしゃっていますが、事業区域を含めて周囲何メートルとか、そういう例は普通なのですけれども、離れた場所というのはどちらかというと異例なのです。それで、もし希少生物がいたときに、何の影響があってそこをしようとしているのか。もしいたときに、どういう措置をしようとしているのかということを教えていたけますか。

事業者
 今回、事業区域から離れた区域をここのエリアに設定しているのは、いわゆる市長意見で西側のこのエリアを調査されたいとあったことから、自然豊かな地域だから調査をしていただきたいというような要望を受けて事業者として、こちらの西側へ煙が行くであろう範囲かなというところで設定をしているところでございます。
 概査させていただくと、鳶ヶ巣が全部かという話にはならなくて、いわゆる南側のエリアというのは石灰の採石場であったり……

薛委員
 分かりました。それで、多分、二酸化窒素が着地するとか、あるいは粒子状物質が飛ぶとか、風下に当たるからということですよね。そのときに、何らかの希少な生物がいたから、あるいは希少な植物が生育しているから飛ばないようにしましょうとか、濃度を落としましょうとか、そういうことになるのですか。ならないのですか。

事業者
 基本的に予測をした結果で、いわゆる環境基準といいましょうか、目標値とでもいいましょうか、それを下回っているようであれば、そういった措置というのは基本的には考えないと記載せざるを得ないと思うのです。

薛委員
 私もそうなるのではないかと思うのです。というのは、二酸化硫黄の濃度がどれくらいならどの生物にどんな影響を与えるか、こちらのほうが分かっていません。しかも、多分、着地点の濃度としてあまり高いものではないと私は思います。そのことを考えますと、事務局に申し上げますと、確かに配慮書の段階ではそういう意見が出ましたので覚えていますけれども、私は市長意見には書かれないと思っていたのです。こういう離れた所で、風下側だから生物調査をしなさいというようなことが、全体それで書かれていくことになったらおかしいし、今後はそういうことになるのか、ちょっと事務局、環境局のご意見をお聞きしたいです。

事務局
 今回、市長意見に載せる経緯にあたっては、最大着地地点が鳶ヶ巣山に出るということで選定させていただいたのですけれども、確かに事業エリアから距離というか、間に民地と海を挟んでいるという点からすると、先生のご意見も分かるのですけれども、影響が出るという……

薛委員
 多分、この委員会の生物系の皆さんからは反発を買うでしょうし、オブザーバーで入っている方に怒られるかもしれませんけれども、最大着地濃度の予測は今までの図面にもありましたね。それより、著しくここが大きいわけではないですね。そしたら、今までそういう着地地点の所の生物も調べようということをやっていなかったと私は思うのですが、今回はなぜこのようなことに……別段、意見がこの場で出るのが悪いとか、そういうことでも何でもないわけで、心配をして言うのですけれども、本当にやらせるか、やらせないかというのは、市長意見で決まるわけですから、そこでどんなご判断があったか。今後ともそうなるのか。着地地点の濃度がこれ以上だったから、ここはやらせることにしたのか。そこがあれば、お知らせいただきたいし、そうでなければ、審査会にもいろいろな意見があるのだということで、とにかく本当に着地地点の風下に生物調査を詳しく入れるべきかどうかということについては、異論を持つ委員もいるということを残していただければと思います。
 取りあえず、ここは著しく濃度が高いから、着地地点を中心にやりなさいということになったのか。今後もそういうことになるのかということについて、教えてください。

事務局
 こういう場合、案件によって調査をやらせる、やらせないというような判断が案件ごとに異なることが一番よくないと思うのです。それを踏まえて、今回は先生からご意見を頂いたという中で最大着地地点が出るということで判断させていただきました。
 ただ、今後も事務局としては、事業によって影響が及ぼされるという場合には、やはり予測をする方向で考えていくことになろうかと思いますけれども、やはり環境基準等と比較を照らし合わせて、あまりにも低いとかいう場合に、その予測をやらせるのかどうかというのは、今後しっかり事務局のほうでも内規を定めるなりした上で、また先生の皆様にお示ししていきたいと思っております。

薛委員
 おっしゃるとおり、案件によって違うのはよくないですから、これまでどうだったか。着地地点の濃度が著しく高いのかどうかを確認したのですけれども、多分そこまで考えてのことではないように思いまして、そうなったときに、市長意見でそのままここが採用される時点でよく検討なされていなかった可能性もあるなと、私は感想を持ちました。
 後ろ向きなことを言うのはよくないですけれども、指導の共通性というところから考えれば、事務局のほうで、よくご検討いただくべきことではないかと思っています。以上です。

楠田会長
 ありがとうございます。なかなか難しい問題ですけれども。

野上委員
 先ほど大気の予測のところで、直近で隣に案件が1個出て、そこでは調査しなかったのだと思うのです。そういう意味からいくと、今、薛委員がおっしゃったようにそっちはしていないのに何でこっちというところは、おっしゃったとおりだと思うのです。あえて、弁護的なことでいうと、今回、直近で2つ、ぽんぽんと来たわけです。そうすると、これだけ近い所で出ていますから複合的効果で、だから大気汚染のほうもしっかり2つ合わせて、前の事業者の分も合わせてきちんと予測してくださいという話になっているので、そういう意味から言うと、今度複合と来るので、同じ山に同じようにかかるから、この場合はということは、説明としてはあるのかもしれないというふうに個人的には思っています。

楠田会長
 ありがとうございます。前回の分と合わせて、複合的な、今までは個別の審査だったのですけれども、複合でいろいろ調べてくださるというところまで引き受けてくださっていますし、その点では非常にありがたい感じがします。
 薛委員のご発言の部分は、議事録にきちんと残っておりますので、また後日、メールで届くと思います。ご確認をいただければと思います。ということで、事務局、議事録には残りますよね。

事務局
 はい。残す方向で調整いたします。

楠田会長
 他に、ご発言ございませんでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ご発言ございませんので、これで「(仮称)新門司バイオマス発電所建設事業に係る環境影響評価方法書」の審査を終了いたします。

「北九州響灘洋上ウィンドファーム(仮称)に係る計画段階環境配慮書」の審査

楠田会長
 どうも、ご説明ありがとうございました。それでは、審議に入ります。
 審議に入ります前に、今日、急に欠席ということになりました荒井委員からご意見を頂戴しておりますので、事務局より紹介をお願いいたします。

事務局
 事務局より紹介させていただきます。
 1点目、現在10基の風車が稼働している響灘風力発電施設において、バットストライクの記録はあるのか。記録が残されているのであれば、今後の評価の資料になるのではないか、というのが1件でございます。
 2点目、コウモリの気圧障害(現段階では不明な点も多いが)について配慮書では触れられていないようだが、予測・評価の必要があるのではないか。
 3点目、「NEDO実証研究」では、洋上風車を1基設置してデータを収集している。しかし、実際には多数基の風車が林立することになり、その相乗効果でコウモリ類への悪影響が拡大される懸念もある。特に、気圧障害への影響の大きさなどが考えられる。多数基設置によるコウモリ類への影響について、方法書以降検討していただきたい。
 4点目、評価結果について(4.3-31頁)、コウモリ類のユビナガコウモリとヒナコウモリ科に対して、「影響を及ぼす可能性がある」と予測している。その回避・低減策として、風力発電機の機種、配置、基数などについて検討するとなっているが、具体的な機種、配置方法、基数など現段階で考えられる範囲で教えていただきたい。方法書以降の参考にしたい。
 5点目、コウモリに関する専門家へのヒアリング(4.3-16頁)でオヒキコウモリ(オヒキコウモリ科)について触れられているように、本種が事業実施想定区域を生息の場としてる可能性が考えられる。本種は、岩礁の裂け目なども休息の場としているので、方法書以降、本種を対象とした予測評価も行っていただきたい。
 最後になりますけれども、スナメリについて、「発電機1基に対するスナメリ及びスナメリの餌資源への影響は小さい」と予測している。しかし、多数基林立した場合のスナメリへの影響が懸念される。方法書以降検討していただきたい。
 となっております。以上でございます。

楠田会長
 それでは、回答を事業者のほうから頂戴いたします。

事業者
 ご意見、ありがとうございます。それでは、分かる範囲でお答えさしあげたいと思います。
 まず第1点目のご指摘でございます。これは他社様の風車でございますけれども、10基からの既設の設備がある中で、こちらでバットストライクの実績があるのではないかというところにつきましては、別の事業者でございますので把握はしていないところでございます。今後、情報交換に努めてまいりたいと思います。
 2点目でございます。コウモリの気圧障害について、予測評価の必要があるのではないかというご意見を頂きました。これにつきましては、今後、方法書含めて、どういった調査を行うかというところで、ご意見のほうを承りまして、可能な限りの知見を確認いたしまして、今後の段階に反映させていきたいと思います。
 3点目でございます。NEDO様の実証事業では1基口であったけれども、今回のこの事業では多数基ということで、その相乗効果があるのではないかというご指摘でございます。私ども、全く同様の認識でございまして、そういったところを踏まえて、また、専門家のご意見をいろいろ踏まえながら、今後の方法書、準備書に進めていきたいと思っています。
 4点目でございます。ユビナガコウモリ、ヒナコウモリですが、現段階ではこちらの配慮書にお示ししたとおり、まだ、私どもは機種、配置等々、計画段階でございまして、この場でお示しできる情報は大変残念ですけれどもございません。ですので、今後、方法書、準備書と進む段階で、そういった情報をはっきりお示しできるように検討を進めてまいりますので、また、ご指導をいただきながら取り組んでいきたいと思っております。
 5点目でございます。専門家のご意見のオヒキコウモリ科(オヒキコウモリ)が生息している可能性があるということでございますけれども、こちらにつきましても、これまでのご意見を頂いているような中でのコウモリの調査の中で、把握していきたいと思っております。
 6点目のスナメリでございますけれども、こちらのほうも、先ほどのコウモリのご意見と同様に、スナメリについても、当然、単基ではなく多数基での予測評価というものをしていかないといけないと考えております。現段階でどういった手法というのは、まだ分からないところでございますけれども、これからまた、専門家のご意見とか聞きながら、まだ、こういった洋上ウィンドファームは国内ではございませんので、海外等の知見等も踏まえて整理して、方法書以降に行っていきたいと考えているところでございます。

楠田会長
 ありがとうございます。それでは、本日、ご出席をいただいております委員の皆様方から、ご意見、ご質問を頂戴したいと思います。どうぞ、野上委員。

野上委員
 配置等はこれから考えるということなのですが、そうは言っても、一応、今ここに出ていますABCDの中に配置する、それとあと、前提として、ABCDの領域に、22万キロワットマックスに配置するということでいいのですか。

事業者
 配置につきましては、公募の提案をさせていただいたときに、その時点で書籍等によって得られたデータを基に、配置を考えております。その際に、今までの公開されている記録の中で、藻場がある範囲につきましては配置をしないということで、この海域ABCD全域に全て風車を配置するというよりは、海の状況を見ながら、配置が可能な所に配置をするという形で考えております。

野上委員
 分かりました。その逃げる所は考えてということですね。では、例えば、Bの地区に関しては、住宅地にも近いということもありましたし、もともと、確かここには藻場もたくさんあったと思うのです。そういう意味から言うと、今、計算上では一番近い所が500mと出ていますけれど、実際は、もちろんこれは詳細な調査に基づいてになると思いますが、それを避けて、だいぶ沖合のほうにという可能性も、Bに関しては大きいと考えてもいいということでしょうか。

事業者
 はい。先生がおっしゃるとおりでございまして、Bのエリアにつきましては、西側に広く藻場が広がっているということは、私どもも把握しております。そういう意味で、今、検討している配置の中では、Bのいわゆる南西側、住宅地に一番近い所には、騒音の問題もございますが、藻場の関係から風車の配置は容易ではないと認識はしております。

野上委員
 あと1点だけ、すみません。配置に関しては、きちんと調べて、いろいろ考えているということですけれども、大体大ざっぱに考えると、例えば今、Dというのが一番細い状態で設定されていると思うのですが、これは恐らく1列にしか並ばないのではないかと素人的には思えるのです。そうすると、他の所で幾つ並ぶかというのはあるのですけれども、例えばDの所には1列で、せいぜい10基前後くらいがいいとこ並ぶのかなみたいなイメージで、他が全部入れて40とか50だったら、そんなことなのかなとも思えるのですが、そんなイメージでよろしいでしょうか。

事業者
 はい。Dについては幅がないので、風車は1列しか配置できないと考えております。風車の間隔につきましても、他の風車に影響がない間隔を空けなければいけませんので、Dについては、10基というのは少し難しく、もう少し少ない数字になるかと考えております。

野上委員
 そうすると、今、10基は多過ぎて、例えば8基だとしても、今既に、そのちょうど真下のほうに、陸上にエヌエスウインドの風車が並んでいますけれども、この間隔よりははるかに間が空くというイメージですよね。

事業者
 エヌエスウインドさんの間隔は、今、手元に数字を持っていないのですが、大体風車の羽根の直径の、例えば6倍とか7倍離して配置をいたしますので、先ほど申し上げた風車の羽根で言いますと、120-140mの6-7倍でございますので、約1kmおきくらいに風車が配置されることになってまいります。そういう意味で、私も現場で見ただけで、正確に測ってはいないのですが、エヌエスウインドさんの間隔よりは広くなってくると考えております。

野上委員
 ありがとうございます。1km間隔くらいということですね。分かりました。

楠田会長
 それでは、次のご発言を頂戴いたします。はい、どうぞ。

豊貞委員
 騒音に関するご質問ですけれども、風力ということで低周波音の苦情というのが考えられると思うのですが、今回、55基と非常に多いですので、特に住宅への影響が考えられるのではないかと思います。そこも配慮書に書かれているのですが、具体的な低周波音の場合の目標値というのはあるのでしょうか。配慮書の中では264ページに、騒音の基準で何デシベル以下とかあるのですけれども、これは一般的ないわゆる騒音で、超低周波に関してはこのくらいの指針値とか、こういうのを目標にするというのがあれば、教えていただきたいのですが。

事業者
 騒音に関しましては、配慮書の段階では、あくまでも目安として距離で示しておりますけれども、方法書以降につきましては、採用する発電機の諸元、パワーレベルを基に、騒音と、今ご質問にございました超低周波音と、それぞれ調査・予測・評価を行っていくことになるかと思います。その中で、超低周波音については、環境省のほうから先だって報告書が出ておりまして、風車に関する超低周波音については影響がないということでお示しをされているのですけれども、超低周波音について、やはり住民の方もご懸念、心配される部分もあるかと思いますので、調査のほうは行って、予測・評価もすることにはしております。ただ、超低周波音については、目標値みたいな指針値というものがございませんので、いわゆる感じるレベルであるのかといったところを基準として、評価をしていくような形になろうかと思います。
 一方で、低周波音の中でも、聞こえる音につきましては、これは騒音のほうと含めて、予測・評価を行うことになるかと思います。そちらにつきましては、環境省のほうから、これも新しいガイドラインが出てきておりまして、現在、暗騒音プラス5dBというような新しい指針値みたいなものが出てまいっておりますので、そういったところを含めて、予測・評価を行っていきたいと考えているところでございます。

豊貞委員
 ありがとうございます。今、環境省のほうから問題がないというのをおっしゃったのですけれども、そこは超低周波音と普通の低周波音、この両方にないということでしょうか。

事業者
 今、申し上げました超低周波音は、20Hz以下の聞こえない音というところのレベルでございますので、20Hz以上の、いわゆる聞こえる音の周波数帯にある低周波音については、あくまでも騒音のほうとして調査・予測を行って、評価を行っていきたいと考えております。

豊貞委員
 ありがとうございました。

楠田会長
 その想定される暗騒音というのは幾らくらいなのですか。

事業者
 恐らく、海辺に近いということで、海側に面しておれば波の音とかこういったものが入ってくるので、数値よりも若干騒音のレベルは高いかなと思いますけれども、一方で、山を越して、例えば内陸側のほうですと、周りに交通騒音とかもなければ、騒音も低いかなと思います。

事業者
 1点修正でございますが、環境省のガイドラインに示されておりますのは、「暗騒音」ではなくて「残留騒音」であり、これにプラスして5dBというところが目安として展開されてございますので、修正をさせていただきます。

穴井委員
 関連してよろしいですか。今、おっしゃったとおり、環境省の指針は暗騒音ではなくて残留騒音です。残留騒音というのは、音源を特定できない音のことです。今、ご発言で波の音などという言葉が出てきておりましたが、波の音と特定できるのであれば、それは残留騒音ではないと思います。波の音、車の音、音源が特定できるものを全部除外して、何ものか分からない騒音のレベルが、残留騒音です。それからプラス5dBを目指してください。

事業者
 ご指摘ありがとうございます。

楠田会長
 それでは、次のご発言を頂戴します。どうぞ、清野委員。

事業者
 風車の基礎について、ご説明させていただきます。こちらに示した風車の基礎の形式は、ジャケット形式という、鋼材を組んでトラスの形にして支える形式でございます。この絵には入れていなくて恐縮でございますが、実際にはこの構造を支えるために、海底の地盤の中に基礎の杭を打設いたします。基礎の杭を打った上に、このジャケットが乗ってまいります。そういう意味で、大きく掘削するというよりは、海底に杭――具体的には、直径、例えば1.8mなり2mの鋼管でございます。これを打ち込む工事が出てまいります。
 もう1つ、ジャケット以外に重力式という基礎の形式がございまして、重力式につきましては、ジャケットとは異なりまして、大きなコンクリートの塊の重さで風車が倒れないように支える構造でございます。重力式の場合には、海底には杭は打ちませんで、海底に重りとなるコンクリートの、いわゆる重しがございまして、その上にこういうジャケットの構造なり、風車が乗ってくるという構造になってまいります。
 そういう意味で、大きく海底を深く掘削してこれを据え付けるという工事は、基本的には私どもはないかと考えております。

清野委員
 設置時に必要な工事とは思うのですけれども、その打設の期間に、明らかに騒音、振動は発生すると思われるので、それの持続時間というのは大体どのくらいというか、工事期間であっても、ずっと継続しているわけではないと思うのです。その辺りをまた、すぐにではなくてもいいのですけれども、それを見積もるような資料を、今後、検討いただければということと、魚類とかほ乳類とか、私も詳しくないのですけれども、繁殖する際に、やはりそういった、単純に打設騒音というのは結構影響する可能性があると思いますので、そういった工事の時の調整だとか、そういったものも環境保全措置としても検討いただきたいと思っております。
 もう1点、よろしいですか。あと、影響範囲の考え方なのですが、このパワーポイントの8ページです。配慮書の概要の中の、これはたまたま「低周波音と風車の影の範囲」ということで、実際の予定している海域からその周辺までの距離で想定されている図があると思います。この音に対しては、こういった考え方があって、均等に周辺への影響を見積もっているのだと思うのですけれども、実際、まず音については、ここも岩礁があったり、あるいは地形が複雑なので、なかなか均等に距離で評価するというわけにもいかないと思います。ですから、次の段階で、やはり音が反響するとか、そういった実際の地形に合わせたような検討というのが必要なのではないかと思われます。その辺りは、どの段階になるのかというのはあると思いますけれども、実際の現地での調査とか計測とかいうときの議論では、そういった空間の3次元的な配慮が必要と思われます。
 それから、風についてなのですが、これは鳥の関係でも検討されているとは思うのですけれども、実際には、風車がどの強さで、どのくらいの数回っているかとかいうことで、発生する風の強さとか風向きとか、影響範囲というのはもう少し、風の状況によっても尾を引くというか、そのかく乱する範囲というのは変わってくると思われます。これに関しては、空力学的なシミュレーションなどによってもある程度想定ができると思いますので、空気のかく乱の範囲に関しても、計画上の平面的なエリアの決め方だけではない、もう少しダイナミックな把握を、今後頂く必要が出てくるかと思いますので、論点についてご指摘させていただきました。

事業者
 魚類・哺乳類に対しての打設の影響でございますけれども、こちらにつきましては、やはりご専門家の意見の聴取の中でもご指摘されていることでございまして、工事中の音というものが影響を及ぼす可能性があるのではないかということはご指摘を受けています。そちらにつきましては、方法書以降に対応をしていきたいと思っております。
 ご参考まででございますけれども、先ほども、一番最初にございましたように、NEDOの実証機につきましては、これは単基、1基でございます。こちらについては、工事中の影響を単基で予測しておりますので、先ほど来、いろいろとご質問が出ているように、それをどのように多数基の時に予測していくかというところを、もう少し検討していきたいと考えております。
 それから、騒音のほうですが、これは水中騒音振動に関するところですね。こちらにつきましても、先生の今のご指摘を踏まえて、方法書以降で検討していきたいと思っています。

楠田会長
 よろしゅうございますか。それでは、河野委員。

河野委員
 生物に対する音の影響の続きですけれども、前にお話がありました、NEDOの時に議論があったのは、浮体式で、工事の時に打設はなかったのではないかなと思うのです。そうですね。なので、工事の時の影響というのは、あまり打設で地面に杭を、大きな、直径1m、2mの鋼管を打ち付けるという工事の音の評価はあまりされてないと思います。そこはもう一度議論しなければいけないかなと思います。
 それで、今回、最大55基となると、工事が一遍に行われるのか、または、さみだれ式でずっとなるかとなると、水の中では音はなかなか減衰しませんので、このABCD、4つの区域のどこかで打設をする大きな音を出していると、この区域は大体ずっと音を、そこにいる生き物は経験することになるかと思います。また、同時に行った場合は、減衰しないがゆえに総和的にどのくらい影響があるか、かなり大きなものになる可能性があると思います。そこは少し心配しますので、地上は空気で減衰しますけれど、水の中はなかなか減衰しないということを踏まえて、生き物への影響を少し見ていただければと思います。

事業者
 最初にご指摘を頂きました、NEDOの実証機でございますが、今、若松沖にございます実証機につきましては着床式で、浮体式ではないのですが、基礎の形式が重力式でございます。重力式ですと、海底にコンクリートの重しを置いて、その上に風車を立てるという型式でございますので、海底に杭を打ち込むという、大きな騒音が出る工事については、NEDOの実証機の場合には実施しておりません。今回、杭式の基礎、これも今検討しておりますので、風車の配置を決めた上で、その騒音なり振動について、きちんと評価をしていかなければいけないということは、今後予定をしております。
 工事のスケジュールでございますが、例えば、44本を1年間で全て施工するというのは、施工の機械等の問題で非常に難しいと思っておりますので、エリアごとに順番に、1年ごとに風車を設置していくということを検討しております。具体的に、1年目に何本というところは、まだ検討の途中でございまして、確定していないところでございますが、毎年、工事を少しずつといいますか、エリアを区切って施工していくという方向で、今後、検討してまいりたいと考えております。

楠田会長
 よろしゅうございますか。それでは、山田委員。

山田委員
 それでは、2点についてお伺いいたします。1つ目は、安全性の問題です。ここは、港湾区域であるとか、あるいは、共同漁業権の設定された区域になっています。そうすると、大型船舶から小型船舶まで行き交うことになると思うのですけれど、工事中、それから工事後、日本で一番大きな風力発電施設の事業を立ち上げるわけですから、もしよければ、それに対するご配慮をお聞かせください。

事業者
 おっしゃるとおり、この港湾区域の中で工事をさせていただきますので、事前の調整の中で、港湾管理者の北九州市様、航行の安全をつかさどる海上保安庁様、保安部様と、十分に調整をした上で、船舶の航行に影響がないような工法で施工していきたいと考えております。

山田委員
 あとは小型船舶、ここは共同漁業権の区域です。

事業者
 本年度、7月から海域の調査で船を出させていただいて、調査を始めさせていただいております。調査を実施する場合にも、共同漁業権をお持ちの9つの漁協様、小型船舶関係では小型船舶協会様と、事前に調査の日程、どこに船がいるかというところを十分調整させていただいて、ご了解をいただいた上で今年度の調査をしております。今後の調査、それから、実際の建設段階におきましても、漁協様、小型船舶の皆様と事前に十分調整して、かつ、航行する船の皆様に対する合図等々について、きちんと対応した上で、事故なり問題が起きないように対応してまいりたいと考えております。

山田委員
 ありがとうございます。人命に関わることでもありますし、あと、油流出事故などございますので、お伺いいたしました。
 あと、2点目ですけれど、厚いほうの4.1-1です。ここで、丸の付いている所のみを現地調査なさるというふうに解釈してよろしいでしょうか。

事業者
 ご指摘ありがとうございます。今、先生がご覧になっているのは、4.1-1表、こちらでよろしいでしょうか。

山田委員
 はい、そうです。

事業者
 こちらは、今回の計画段階の配慮事項の調査項目を選定する、あるいは、今回非選定とさせていただく、そういう中での一覧表でございまして、今後の調査項目につきましては、あらためて方法書の中でお示しさせていただきます。今回の配慮書の議論を踏まえて、方法書のほうをまた作らせていただきます。

山田委員
 ご確認させていただきたいのですけれども、現地調査という言葉なのですが、これは事前調査で、事後調査というのを当然なさると思うのですけれども、それの事前調査としての位置づけでよろしいでしょうか。

事業者
 ご指摘のとおりでございます。事前調査でございます。

山田委員
 そうしましたら、スライドの15番で、藻場ですけれども、「藻場の一部が減少・喪失する可能性がある」、これは場所自体が消失するということなのでしょうか。それとも、その工事の影響を受けて藻場が消失するということなのでしょうか。

事業者
 藻場がなくなるという意味合いでよろしいですか。

山田委員
 藻場の場所自体がが消失してしまうということですね。

事業者
 先ほど、事業者のほうからご説明させていただきましたように、原則的には、藻場を回避させていただく形で考えてはいるのですけれども、現時点のこの配慮書の中では、藻場の中に事業実施想定区域が含まれていますので、そういう観点で、一部減少・喪失する可能性があるというような評価を、配慮書段階ではさせていただいています。

山田委員
 それで、ここの評価結果のところの一番最後の文章ですけれども、「詳細設計について検討する」とあるのですけれども、その詳細設計というのは、例えば、ミティゲーション的な、代償的な考え方も含まれているのでしょうか。

事業者
 まず現状の藻場につきまして、今年の秋と来年の春、藻場の今の分布範囲を把握したいと思っております。これは、今、配慮書に入れさせていただいたデータにつきましては、時期的に少し前のものですので、最新のデータということで、現場の海域に調査船を走らせて、藻場の実際の今の現状を把握したいと思っております。詳細設計の中で、先ほど少し申し上げたところもございますが、基本的には藻場を避けた形で、詳細設計の中で風車の設置場所を考えてまいりたいと思います。

山田委員
 分かりました。先ほどの表4.1-1に戻りまして、水環境の底質ですが、ここでは有害物質のみしか書かれてないのですけれども、私たちが心配するのは、44基も発電施設が建つということで、海底の性状の変質を心配しております。そうしますと、粒度組成であるとか、有機物の含有量であるとか、そちらのほうも調査していただきたいのですが、調査内容は方法書で明らかになさるのでしょうか。

事業者
 そういう意味では、少し言葉が足りなかったのかもしれませんが、今回、この4.1-1の表に関しまして、こちらは今日のスライドでもお示ししたところでございますが、実は工事中の項目については、まだ計画そのものが全く進んでないということも含めて、今回、この評価項目から外させていただいております。ですので、ここの有害物質については、省令の規定では定められているにもかかわらず、今回、選定に入っていないという状況になっておりますが、方法書以降では工事中の影響調査も含めまして、全て検討させていただきますので、恐らく、その段階で対象になってくると思われます。
 ただし、風力の特性から申し上げると、先生ご承知のとおり、風車の稼働そのものについては、よくご指摘があるのですが、例えば、塗料が少し溶けてくる、また、はがれてくることから生じる有害物質の暴露であるとか、そういったご指摘もないわけではないのですが、風力発電設備を運用している実績から申し上げると、供用後、有害物質については影響はないものと認識しております。

山田委員
 一応、私もそのように認識しております。恐らく、風車と風車の間を1km間隔という、かなり広い間隔で立てられるので、あまりそこら辺は、例えば底質の粒度組成が変化するとか、心配なさっておられないと思うのですけれど、これは日本で最初の大きな設備を造られるという、非常に価値のあるものなので、事前調査と事後調査結果の対比を皆様が注目されていると思います。事前調査、そして事後調査であまり影響がなかったのだという、そういうプラス面もPRのポイントになりますので、ぜひ調査項目の選定についてはご考慮をお願いたいと思います。

事業者
 先ほどご回答させていただいたところの補足をさせていただければと思うのですが、風車の間隔につきましては、今実施しております風況の調査を踏まえまして、今後決めてまいりたいと考えております。その際に、先ほど申し上げました1km間隔というところでございますが、今日ご説明した、大きなほうの風車を等間隔に並べた場合に、1km間隔くらいになってまいります。一方で、風向きに対して縦と横で間隔を変えるという配置も、今、検討しておりまして、その場合には1kmよりもう少し小さくなってくる場合も出てまいります。訂正をさせていただければと思います。

楠田会長
 他に、ご質問ございますでしょうか。それでは、武石委員。

武石委員
 10番目のスライドで、少しお聞きしたいのですけれども、本編の4.3-23と4.3-24のところに該当しますが、スライドのほうでは、オオミズナギドリに関しまして、「事業実施想定区域への飛翔が確認されていない」と書かれていて、下のほうはGPSロガーの航跡比較ですけれども、GPSロガーの航跡を計測したのは、4.3-23に書かれていますように、8月31日-9月13日の間です。同じNEDOの調査で、その隣の4.3-24に、船からの調査の時は平成23年7月には結構オオミズナギドリが船から見られているのだと思います。そして、8月にはかなり減少して、10月にはほとんど出てこないという感じなので、GPSロガーを結構長い期間といいましょうか、オオミズナギドリがこの海域に繁殖に来るのは、3月くらいから、ひなが巣立つのは11月初めと出ています。それくらい長期にわたって滞在して、親は周囲で餌を取ると思いますので、今回示されたデータだけだと、いかにも事業実施想定区域にはオオミズナギドリは飛んでないというロガーの結果になっていますけれども、長期にやったら、やはり沿岸区域、事業実施想定区域も、ここの白島、男島の繁殖地の個体が利用するのではないかと私は思うのです。その辺はいかがでしょうか。

事業者
 先生からのご指摘のように、全くこの海域を利用していないというふうには考えておりません。このそれぞれの実証研究の中で、重点化されて調査はされている結果だとは思いますが、一方で、この海域での船舶のトランセクト調査とか、そういったものも四季にわたって調査されているようでございますので、そういったところのデータも補完しつつ、方法書以降に、年次調査、計画等に反映できればと考えているところでございます。

武石委員
 ありがとうございます。もう1つ、同じスライドですけれども、下のほうで渡りを行う種については、「空域利用に影響を及ぼす可能性がある」というお話ですけれど、これは今後、調査の中で、夜間の渡りのことも入れていただけるのですか。

事業者
 夜間の渡りの調査につきましては、なかなか手法的に難しいところがあるかと思うのですが、こちらのほうにつきましても実証研究の中で、データの調査といったこともされているようでございますので、そういったところの知見等を整理して、この後、方法書以降にどのように活用、あるいは、現地調査に反映できるかというところも検討していきたいと思います。

武石委員
 ありがとうございます。それと、もう1点だけ。先ほど他の委員も言われていましたけれども、非常に多くの数の風車を設定するので、特にオオミズナギドリは低空を飛翔するから当たらないだろうという予測だとは思いますが、かなり多数の風車が立った所の地域での、海鳥の海域の利用が変化するかどうか。そういうところも、当然、今回はかなりの数なので、そういう面での海域利用の変化の点も、難しいでしょうけれども評価をしていただければと思います。

事業者
 ご指摘ありがとうございます。先ほど来の回答と重複するかもしれませんけれども、NEDOの1基口は、我々非常に重要なデータと認識しておりますけれども、あくまでも参考資料と考えております。今のご指摘も踏まえまして、その集合設置というところを評価に加えて、今後の方法書以降につなげてまいりたいと思っています。よろしくお願いいたします。

楠田会長
 それでは、清野委員。

清野委員
 動物への影響というのを積極的に調査して、評価していただき、かつ、影響を及ぼす可能性があると記述されることは勇気のいることだと思いますが、おかげで生産的な話になるだろうと思います。つまり、ここの環境アセスにいろいろな審議が持ち込まれる中で、影響がないという話を書き続けられると、本当に、お互い生産的ではない議論が続いた案件もあったので、それに比べると非常に良心的に対応していただいていると思っております。
 その件で、もう少し物理的なことの、風とか流れの生物への影響ということで、再びスライドの4に戻って、構造的なところで伺いたいと思います。
 先ほど、鳥の飛翔の高さと風車の構造の関係というのはございましたけれども、この絵の中で見ると、風車が止まっていれば、鳥が見てその範囲に入る、入らないという議論ができると思うのですけれども、実際に風車が動きだしたときには、3次元的に風がかく乱されるので、もうウィンドファームのエリアというのは、かなり風車が稼働している段階で、乱流が固まって発生する場所になっていくと思われます。ですから、そういう場所に対して、鳥が飛行したときに、同じ高さでずっと同じように飛んでくるわけではないと思いますので、そういった問題をどういうふうに回避するかというのは、今後、この分野にとっても非常に大きいところだと思いますので、その風車の配置だとか影響範囲について、今後の検討の中で、3次元的にかく乱の場が起こるということと、空気も水も、やはり速度との関係、方向との関係、周辺の地形との関係で、その変数が大きくなってくると、その評価というのは出てくると思いますので、今後、同様の意見を申し述べさせていただく可能性もございますので、もう少しそういった点での、風の強さとか、周辺の海流なり潮流の強さとの関係で、どんなふうにその周辺がかく乱されるかということではないかと思います。
 先ほど、山田委員から底質へのかく乱の話がございました。これで言いますと、実際に設置する風車の基部の直径はどのくらいになるかは分からないですけれども、そういう物が林立する中に潮流があると、それが継続的にかく乱を与えるということだと思います。そのかく乱が全部悪いということではないのですけれども、ある意味、ずっと砂地なり岩だけが広がっている状態に比べて、海の中にそういったものがある間隔で立つということに関しては、橋りょうの底質への影響とか、そういうものも参考にされながら、検討していただけたらと思います。
 日本でもあまり例のないことをされるので、いろいろ技術的なリクエストを申し上げて恐縮ですけれども、ある程度物理的な場のシミュレーションなり、風洞実験なり、水槽実験なりというのは可能と思われますので、今後、そういう中で、ウィンドファームの辺りの、新たな物理場というのができるということになると思いますので、そういう点を今後ご検討いただけたらと思っております。

事業者
 ご意見ありがとうございます。先ほどのご意見の、音の件に引き続いて、ダイナミックな考え方を取り入れるべきというご意見と思います。非常に難しいですけれども、いずれにしましても最新の知見を取り込みながら、まずは方法書の検討に反映させていただきたいと思いますので、引き続きご意見を賜ればと思っております。よろしくお願いいたします。

楠田会長
 多数基立つのは、日本で初めてですけれども、隣の中国でも100基くらい、ばんっと立っている所がありますし、ヨーロッパに行くと、どーっとこう並んでいますから、そういう所のいろいろな資料もご参考いただけたらと思います。

事業者
 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。

楠田会長
 他に、よろしいですか。

弓削委員
 景観配慮について、少しお伺いしたいのですが、スライドの16枚目で可視領域を算定されて、その中から主要な眺望点を幾つか設定されているのですが、山口県側もかなり可視領域に入ってきていると思うので、山口県側の景観についてはどのようにお考えなのか、お聞かせいただけないでしょうか。

事業者
 ご質問ありがとうございます。山口県様とは、やはり隣接県ということもございますし、ご承知のとおり、可視範囲に入りますので、実は山口県様におじゃまさせていただいて、計画の説明とご相談をした経緯がございます。それで、本配慮書段階におきましては、まだ配置がはっきりしないということを踏まえて、この今のアセス段階では、山口県様からご意見は頂戴することはないという結論に至っております。ですが、今後、段階が進むに従いまして、またその配置等々が明らかに見える段で、またお持ちしてご相談しようと思っておりますので、引き続きそういったご相談が出てくるものと思っております。

弓削委員
 ありがとうございます。配慮書を拝見したら、眺望点の設定の際に、主に福岡県の資料のみしか使われていないような印象を受けましたが、今のお話を伺いますと、十分協議されたということも分かりますので、どこかにそういうことも書いていただければと思います。やはり、先ほどから何回も出ていますように、恐らく日本のお手本になるような事業だと思いますので、そういう行政区域をまたいだ景観配慮ということも、お手本になるような工夫をしていただければと思います。

事業者
 ご意見、ありがとうございます。考えさせていただきます。

楠田会長
 他にご発言、よろしゅうございますか。
 それでは、ご発言ございませんので、これをもちまして「北九州響灘洋上ウィンドファーム(仮称)に係る計画段階環境配慮書」の審査を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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