人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2020年11月16日(月)放送

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同和問題との関わりから学んだこと
今日は、勤めている会社で人権啓発を行うかたわら、他の企業等で人権講演会や研修の講師も務める原田憲正さんのお話です。

原田さんは、北九州市内の出身で、生まれ育った実家の近くには、被差別部落があったそうです。当時の被差別部落に対する大人たちの偏見は強く、原田さんも子どもの頃に、誤った考えを刷り込まれたそうです。その後、原田さんは、被差別部落に対する偏見が残ったまま社会人となります。そして、一九七五年、「部落地名総鑑」事件が起こります。

「部落地名総鑑」とは、その当時、全国の被差別部落の地名や所在地、主な職業などが掲載された差別図書の総称です。
当時、就職活動などで企業に提出する履歴書には、本籍地を書く欄があり、企業が、書かれている本籍地や住所をこの図書と照合して、被差別部落出身者を採用しないようにするという差別事件が発生していました。

原田さんは
「このとんでもない図書を購入した企業などが、全国に二百二十三社にのぼりました。その中の一社が、実は私の勤めていた会社だったのです。企業自体が被差別部落の人を排除する差別体質を持っていたわけです。」
と話しています。

この事件は、企業が同和問題をはじめとした人権問題に取り組むきっかけとなりました。当時、社員教育を担当していた原田さんも、このときから同和問題の勉強をし、被差別部落の人々との交流が始まり、同和問題に向き合うようになります。

原田さんは最後にこう言っています。
「無知ということが、いかに人を傷つけるか。まさに私がそうでした。小中学校の時に、刷り込まれた差別意識から被差別部落の人を傷つけてきた自分がいました。
同和問題のアンケートを行うと、『わざわざ寝た子を起こさなくてもいいのでは』、『知らない人にわざわざ教えなくてもいいのでは』という方が多くいます。しかし、そっとしておけば自然に解決するものではありません。
そのためにも同和問題について正しく学習し、理解することが必要です。そのためには、知識を得る勉強だけでなく、当事者との関わりの中で学ぶことが重要です。このことは、同和問題に限らず、さまざまな人権の課題においても、自分の中の差別意識をなくしていく鍵になるのではないかと思います。」
では、また。