人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2020年11月25日(水)放送

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あの時から十年
東日本大震災から十年が経とうとしています。今日は、北九州市出身で、宮城県気仙沼市を拠点に活動している「NPO法人Cloud JAPAN」代表理事、田中惇敏さんのお話です。

田中さんは、震災から一年後、ボランティアで被災地の気仙沼を訪れました。当時は、東京を拠点に日帰りで訪れていたそうです。
復興が進むと、支援のニーズは、短期間のボランティアでもできる力仕事や軽作業から、生活に入り込んだ支援に変わっていったそうです。
「そのためには被災地に腰を据え、ともに生活し、被災者の信頼を得ることが大切だ。」
そう考えた田中さんは、大学を休学し気仙沼に移住。気仙沼にはボランティアが長期間滞在できるような安い宿が少ないと感じていた田中さんは、まず、現地の空き家を利用して、ボランティアが無料で泊まれる宿「架け橋」を始めたのです。

その後、ボランティア活動が落ち着いてきたため宿の閉鎖も考えましたが、震災を後世に伝えたい、気仙沼を活気ある街へと復興させたい、多くの人に被災地に来てもらいたいという思いから、場所を変え、ゲストハウス「架け橋」をオープンしました。「架け橋」に宿泊した観光客は、被災した方々から当時の話を直接聞いて災害とは何かを学び、被災者は、訪れた人に話をすることで心の整理ができる、「架け橋」は、そんな交流の場になっています。

「震災から十年の間に、各地で様々な災害が起こりました。気仙沼には、まだ仮設住宅で暮らす人、心の傷が癒えていない人もいるけど、『大変なのは自分たちだけじゃない、あの時全国の人達から受けた恩を今度は自分たちが返したい』と言って僕と一緒に活動してくれるんです。」
と田中さんは言います。

最後に、北九州市に住む私たちへ田中さんからのメッセージです。
「災害は、いつ自分の身に降りかかるか分からない、共にあるもの。機会があれば被災地に行って、震災当時の話を聞き、あの時の悲惨さを知る事で自分たちの心の備えにして下さい。」
では、また。