人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2014年10月22日(水)放送

テーマ / 北朝鮮拉致問題 ジャンル検索

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国連人権調査委員会が拉致非難
国連の北朝鮮人権調査委員会は2014年2月、

日本人拉致問題を北朝鮮当局による組織的で広範囲な人権侵害と認め、

「人道に対する罪」に当たると判断した報告書を公表しました。

この報告書をもとに、今日は北朝鮮による日本人拉致問題について考えます。

この調査委員会は2013年3月に設置されましたが、

北朝鮮が国内での調査を拒否したため、

日本や韓国で拉致被害者の家族や脱北者から聞き取り調査を行いました。

5カ月後、東京で行われた公聴会では、

中学生のときに拉致された横田(よこた)めぐみさんの母、早紀江(さきえ)さんが

「絶対に生きているという思いで今日まで救出活動をしてきました」と訴えました。

日本政府はこれまで17人を拉致被害者と認定しています。

北朝鮮側はこのうち13人について拉致を認め、

5人が日本に帰国し、「8人は死亡」と主張しました。

報告書では、北朝鮮の拷問や公開処刑などの実態とともに、

「1960年から80年代に韓国、日本など数百人の外国人が拉致された」と認定。

「最高指導者のレベルで承認していた」と、

拉致に国のトップが関わっていたことを指摘しました。

そして「これほどの規模で人道に対する罪を働いている国家は

現代世界で比類がない」と厳しく非難しています。

この報告書に関して、潘基文(パンギムン)国連事務総長は、

北朝鮮の人権侵害に国際社会の目を向けさせることに期待を示しました。

また、2014年3月の国連人権理事会では、

拉致被害者家族会代表の飯塚繁雄(いいづかしげお)さんが

「全ての拉致被害者の帰還」を求めて国際社会の協力を強く訴え、

北朝鮮の人権侵害を厳しく非難する決議案が採択されました。

これに対し北朝鮮側は「人権侵害は存在しない」と否定しました。

解決への道はまだ遠いかもしれません。

しかし、この報告書を通じて、国際社会が日本人拉致問題を重大な人権侵害と位置付け、

関心を強めたなら、それは大きな一歩になったはずです。

生存を信じ、ひたすら帰りを待ち望んできた拉致被害者の家族は高齢化が進んでいます。

国際世論の高まりのもと、一日も早い帰国、全面解決が望まれます。

では、また。