人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2014年10月27日(月)放送

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お手伝いしましょうか
今日は、北九州市教育委員会が平成25年度に募集した人権作品の中から、

北九州市八幡西区(やはたにしく)の中学二年生、結城千紘(ゆうきちひろ)さんの

『お手伝いしましょうか』という作文を紹介します。

障害のある人との触れ合いについてのお話です。

その人はいつもその席に座っている。

北九州市戸畑区(とばたく)にあるホールの、通路沿いの前から7~8番目の席。

静かに座って音楽を聴いている。白いつえを片手に。

私が所属するヴァイオリンスクールでは、年に4回、演奏会が開かれる。

その人は音楽が好きで、いつも私たちの演奏を聴きに来てくれていた。

「お手伝いしましょうか」

 

ある日、そんな声が聞こえてきた。

見ると、友達のお父さんが、その人の手を取り、一緒に歩いていた。

トイレの場所を教えていたようだ。そのとき気づいた。

その人が席に座るためには、階段を上り、重たい防音ドアを開け、

細い通路を通らなければならない。

目が見えない人にとっては大変なことなのだ、と。

北九州市は「人にやさしいまちづくり」を掲げ、建物や道路のバリアフリー化が進んでいる。

しかし、設備だけが「人にやさしく」なっていないだろうか。

私たちは困っている人に優しく、手を差し伸べているだろうか。

私は、困っている人を見掛けても、どのように接したらいいか考え過ぎてしまい、

さっと声を掛けることができない。

少し前、テレビから流れたフレーズがあった。

「長い棒に短い棒。支え合ったら人になる。支えるから人なんだ。

支えられるから人なんだ」という曲。

人は、みんなが支え合って共に生きることこそ、最も大切なことなのだと思う。

次にまた、あのホールであの人に会ったら、

私もあの一言が言えるようになっていたい。

「お手伝いしましょうか」

いかがでしたか。

千紘さんは、友達のお父さんが目の不自由な人に声を掛け、

トイレの場所を教える姿を見て、

支え合って生きることの大切さに気付きます。

障害のある人もない人も、共に暮らせる社会をつくるためには、

障害のある人と触れ合うのを怖がったり、避けたりするといった

「心のバリア」をなくすことが大切ですね。

困っている人がいたら、私たちも一声掛けてみましょう。

「お手伝いしましょうか」と。

では、また。