人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2014年10月30日(木)放送

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結婚差別を乗り越えて
「一生をかけて同和問題を解決する」。

そんな信念を持ち、全国各地で自らの体験を語っている人がいます。

徳島県(とくしまけん)の中倉茂樹(なかくらしげき)さんです。

今日は、北九州市で行われた中倉さんの講演を基に、結婚差別について考えます。

同和問題の中で、人生を左右する重大な問題の一つが、結婚差別です。

現在、三人の子を持ち、幸せな家庭を築いている中倉さんですが、

今から八年前、同和地区出身であることを理由に、

後に妻となる宏美(ひろみ)さんの両親や親戚から猛烈な反対に遭います。

いつも温厚な宏美さんのお父さんも

「頼むからやめてくれ。親戚みんなが結婚できなくなる」と宏美さんに詰め寄りました。

「なぜなの」と涙ながらに訴える宏美さんに対して、返ってくるのは

「部落の人は嫌い。なんだか怖い」といった偏見に満ちたお母さんの言葉だけでした。

家族や親戚に一人の理解者もいない中、宏美さんは思い悩みます。

同和問題に取り組む中倉さんの仲間たちが、およそ一年の間、全国から会いに来て励ましてくれました。

その数は千人を超えたそうです。

宏美さんは「自分の意思さえしっかりしていれば、幸せは自分でつかんでいける」と結婚を決意しました。

結婚後、宏美さんの実家とは絶縁状態になりました。

そんな中、長男の里温(りおん)ちゃんが生まれます。

「幸せをつかんだ姿を見てもらおう」と二人は里温ちゃんを連れて宏美さんの実家に行きました。

すると、これまで強く反対していたお母さんも、里温ちゃんを抱いて喜びの表情を浮かべたそうです。

中倉さんは言います。

「子どもが幸せになることが親の幸せ」。

母になった宏美さんの幸せな姿が、徐々に両親や周囲の人たちを、

偏見という鎖から解き放したのです。

いかがでしたか。

同和地区に住む人たちやその出身者に対するいわれなき差別によって、

今も多くの人が傷つき、絶望しています。

中倉さんは「同和問題は、部落の子もそうでない子もみんなが幸せになるための勉強」であると、

全国で訴え続けています。

私たちも、「同和問題を若い人たちに決して残さない」という強い意志を持ち、

差別のない社会を目指していきたいですね。

では、また。