人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2014年11月03日(月)放送

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震災被災者の苦悩を忘れないで
東日本大震災から3年半が過ぎ、死者と行方不明者を合わせた数は18,000人を超えました。

地震や津波で亡くなった人だけでなく、

震災の後に間接的な原因で亡くなった人も3,000人近くに上っています。

そのような震災関連死の増加が、深刻な問題になっています。

避難生活によるストレスや疲れ、持病の悪化など、

震災をきっかけに体調を崩して亡くなることを震災関連死といいます。

その数が圧倒的に多いのが福島県(ふくしまけん)です。

今も毎月30人ほどが震災関連死に認定されています。

ある農家の男性は、先祖代々の田畑が福島原発事故による放射能に汚染され、

育て上げた野菜が出荷できなくなった悔しさと怒り、そして将来に対する絶望から、

自殺に追い込まれました。

計画的避難区域に指定された村では、「避難の足手まといになりたくない」と、

自ら命を絶ったお年寄りもいます。

福島県では、このような自殺者が年を追うごとに増えています。

被災地の復興を伝える話題も耳にするようになりましたが、

今なお26万人を超える人が全国各地で避難生活を送っているという現実があります。

福島県が避難者に行ったアンケートによると、

7割近くの世帯で心身の不調を訴える人がいるそうです。

家族と離れ離れになり、元の生活を取り戻すめどが立たないまま長引く避難生活。

その計り知れないストレスが、子どもたちにも食欲不振や不眠、

あるいは攻撃的な行動となって表れています。

誰にも看取られず孤独死した人も少なくありません。

避難者に対する支援や心のケアが、これまで以上に強く求められます。

東日本大震災では、今もこのように多くの人が苦しみ続けています。

避難生活を送る人はもちろん、2,600人を超える行方不明者の家族にとっても、震災はまだ終わっていません。

宮城県の男性は、津波で流された妻を捜すため、

57歳で潜水士の資格を取り、海に潜り続けています。

私たちは決して震災のことを忘れてはならない、

風化させてはならないと、あらためて思いました。

私たちにできることが、まだまだあるはずです。

では、また。