人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2014年11月06日(木)放送

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私が気付いたこと
今日は、北九州市教育委員会が平成25年度に募集した人権作品の中から、

北九州市若松区(わかまつく)の中学一年生、堀口美咲(ほりぐちみさき)さんの作文を紹介します。

題は『私が気付いたこと』です。

母と妹とスーパーに買い物に出掛けた時、車いすのおじさんがいました。

そのおじさんは棚の上の方を見て、ジュースを選んでいるようでした。

すると、母がその人に近付き

「もし、届かないのがあったら、声をかけてください」と言って、戻ってきました。

気になっておじさんを見ていると、ジュースを取ろうと棚に手を伸ばしました。

私は急いでおじさんの所へ行き、

「これですか?」と、取ろうとしていたジュースを渡しました。

おじさんは少し驚いたような顔をして「ありがとう」と言ってくれました。

私はおじさんの力になれたと思い、何だかとてもうれしかったのです。

でも、帰りの車の中で、母から

「さっきの人、あのジュースは自分で取れたと思うよ。

好意でやったことは分かるけど、できることまで先回りしてやられたら、

悲しいんやない」と言われました。

私はとてもショックでした。

でも次の瞬間、ハッとしました。

母が「もし、届かないのがあったら…」と言っていたこと。

すぐに私たちの所に戻ってきたこと。

きっと母は、自分が横にいたら、おじさんが気を使ってしまうと思ったから、

すぐに戻ってきたのだと気付きました。

私は今まで、手を貸す側から見ることはあっても、

逆の立場から考えたことはありませんでした。

相手の気持ちや状況を考えずに一方的に押し付ける親切は自己満足だと思います。

「人権」について考えた時、一人一人を尊重するために、

本当に助けが必要か、自分の価値観を押し付けていないかと、

相手の気持ちを考えることが大事なのだと気付きました。

いかがでしたか。

障害のある人と共に生きる(共生する)上では、必要以上に気を使うより、

まず相手の気持ちを酌み取ることが大切ですね。

美咲さんは最後にこうつづっています。

「人の心に寄り添える優しい人になりたいです」と。

それでは、また。