人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2014年11月07日(金)放送

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老老介護と人権
今日は、北九州市教育委員会が平成25年度に募集した人権作品の中から、

北九州市八幡西区(やはたにしく)の中学三年生、鈴木浩文(すずきひろふみ)さんの作文を紹介します。

題は『老老介護と人権』です。

最近、高齢者の医療や介護の問題を、テレビや新聞でよく目にする。

僕は、これらの問題について、今まであまり深く考えたことがなかった。

しかし、祖母の骨折をきっかけに、身近にある重要な問題だということに気付かされた。

祖母は78歳で、静岡(しずおか)に住んでいる。

ずっと前から足が悪いが、お盆や正月に僕が帰省したときには

いつも元気な姿を見せてくれる。

そんな祖母が骨折で入院してしまった。

今もベッドから起き上がれずにいる。

この出来事で、真っ先に僕の頭に浮かんだのは、介護の問題だ。

祖母が歩けなくなった場合、介護をしなければならないのは祖父だ。

高齢者が高齢者の世話をする「老老介護」である。

これは人権に関する問題ではないかと僕は思った。

祖母には、人間らしい生活を営むために助けを求める権利がある。

しかし、80歳を超える祖父に介護の負担をかけるのは、

祖父の「人間らしく生きる権利」の侵害ではないか。

僕は、このような問題を解決するには、

高齢者と積極的に関わることが大切だと思い、祖母に手紙を書いた。

祖母はとても喜び、笑顔を見せてくれたそうだ。

核家族化によって世代間のつながりが薄れている中、

少しでもコミュニケーションをとることで、

祖父や祖母に元気を与えることができる。

高齢者の介護問題についても、多くの人が関心を持って関われば、

介護をする側にもされる側にも、

より良い環境が生まれるのではないかと思う。

僕は、祖母の骨折を通して、高齢者を取り巻く環境の厳しさを知った。

僕たち若い世代が、この問題について真剣に考え、行動することが、

お年寄りの人権を守り、誰もが住みよい社会をつくることになると思う。

僕も、少子高齢化社会を担う若者として自覚を持ち、

まずは自分の祖父母をしっかりと支えていきたい。

いかがでしたか。

少子高齢化の問題から目をそらさず、真っすぐに向き合おうとする浩文さんの姿勢。

これからの若者たちの在り方として、とても頼もしく感じました。

では、また。