人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2014年11月19日(水)放送

テーマ / 外国人/同和問題/共生 ジャンル検索

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夜間学級
私たちが当たり前のように受けてきた義務教育を、

戦中戦後の混乱や貧困、部落差別など

さまざまな理由で十分に受けられなかった人たちがいます。

今日は、在日朝鮮人のために、読み書きをはじめとする

小・中学校レベルの学習を行うことから始まった、「夜間学級」のお話です。

夜7時、60代から70代の15人ほどが

小倉南区(こくらみなみく)の城南(じょうなん)中学校の教室にやって来ます。

漢字のプリントなどの自主学習の後、先生による授業が始まります。

平日の夜7時から9時まで2時間の授業が行われ、現在生徒は21人。

現役または退職した教師を中心に30人のボランティアで運営しています。

通い始めて6年目になる71歳の大野葵(おおのあおい)さんは、

「家庭の事情で小学校、中学校ではほとんど勉強していませんでした。

学校に通い、仲間と一緒に勉強できるのが本当にうれしい。

ここに通っていると、いろいろなことに挑戦し、

どんどん強くなっていく自分が分かります」と目を輝かせていました。

現在、参加者の大半が日本人ですが、「夜間学級」の始まりは、

1989年に教師4人で立ち上げた「北九州・在日朝鮮人教育を考える会」でした。

「夜間学級」の代表を務める元中学校教師、川村公子(かわむらきみこ)さんは振り返ります。

「日本人と思っていた生徒が在日朝鮮人であることを知ったとき、

自分の国籍を隠し日本人と言わなければ生きていけない日本社会の現実を痛感しました。

まずは私たちがその現実を知り、日本人の子どもたちに教えていかなければと強く思いました」と。

この「考える会」をきっかけに、「夜間学級」の前身である

「よみかき教室」を小倉南区の市民センターで開始。

平成17年度から北九州市の補助を受け、在日朝鮮人だけでなく、

義務教育を十分に受けられなかった人を対象に、

いつでもどこでも学ぶことができる生涯学習の一環として、

週五日制の夜間学級が誕生しました。

北九州市では、八幡西区(やはたにしく)でも穴生(あのう)小学校や穴生市民センターを会場にして

「夜間学級」が行われています。

「一人ではなく仲間たちと学校の教室で学びたい」という生徒さんたち。

同和問題や在日外国人の問題を正しく理解し、誰もが等しく学び、

共に生きる喜びを感じ合える社会を支えていきたいですね。

では、また。