人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2015年10月22日(木)放送

テーマ / 生命/平和/環境/思いやり/気付き ジャンル検索

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お母さんありがとう
今日は、北九州市教育委員会が平成二十六年度に募集した人権作品の中から、北九州市門司区の中学一年生、中田桃花さんの作文を紹介します。題は『お母さんありがとう』です。

私は、二歳くらいの時から祖母に育てられました。お母さんは私の小学校の入学式の十日前ぐらいに亡くなりました。
私は、お母さんがいないことに慣れていました。でも「何で私にはいないんだろう。」「何で桃花だけお母さんが死んだの。」と考えるようになっていました。
小学校三年。祖母に質問しました。
「何で死んだの。」
祖母は答えにくそうに、
「桃花を産んだから死んだんだよ。」
と言いました。以来私は「桃花のせいで死んだんだ。」と思うようになりました。年を重ねるたびに、祖母は詳しく話してくれました。
「もともと病気だったんだよ。」
「桃花を産んで病気が悪化したんだよ。」
などと聞きました。
小学校五・六年になると「私が産まれていなかったら、お母さんは元気で生きていたのに。流産してくれたらよかったのに。」と自分の命を大切に考えられないこともありました。
でも、身近な人がある日突然いなくなる悲しさは、私が一番よく知っています。それに、命を投げ出してまで、私に命をささげてくれたお母さんの思いを無駄にしてはいけないと考え直しました。
私には、今たくさんの友達がいます。出会えたのは、お母さんが私を産んでくれたから。私が命を大切にしようと考え直したからだと思います。
お母さん。私を産んでくれてありがとう。私はこれからも一生懸命お母さんの分まで生き抜こうと思います。天国で見守っていてね。

いかがでしたか。桃花さんは、お母さんが自分のせいで亡くなったんじゃないかという思いで、つぶれそうになっていましたが、お母さんから託された命のリレーに「人はみな生きる資格がある」と気付きました。命懸けで産んでくれたお母さんのまなざしを、今、全身に感じています。そして、桃花さんは次のように訴えます。
「『私みたいな人間に生きる資格はないんだ』と思っている皆さんにお願いです。あなたたちのことを必要としている人たち はたくさんいます。あなたには生きる資格があるんです。」
では、また。