人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2015年10月27日(火)放送

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京都・弥栄中学校を取材して
今日は、毎日新聞記者の林由紀子さんが「子どもたちから学んだ人権〜京都・弥栄中を取材して」と題して北九州市で行った講演を基に、林さんが取材を通して何を学んだのか紹介します。

京都・祇園に全校生徒七十三人の小さな学校、弥栄中学校がありました。そこには同和地区出身や児童養護施設で暮らす生徒、外国にルーツをもっていたり身体に障害があったりするなど、さまざまな背景を抱える生徒がいました。二〇一一年に周りの学校と統合されるまでの十五年間、生徒と先生が一体となって「仲間づくり」を基盤とした人権教育を行ってきました。
特徴的なのは「人権劇」と「研究発表会」です。「人権劇」は、生徒の抱える課題を先生たちが分析し、一人一人にどう成長してほしいか、そのイメージを膨らませた台本を基に作られます。登場人物のモデルは生徒や地域の人たちです。また「研究発表会」では、「人権劇」を通して学んだことを基に生徒が自分や家族、地域や友達に向き合い、それぞれに対する思いを時には涙ながらに一生懸命に語ります。
「人権劇」と「研究発表会」を通して悩みを克服しながら大きく成長する生徒たち。彼らと触れ合って林さんが衝撃を受けたのは、同和地区出身の生徒の多くが「今は何もなくても、将来差別されるかもしれない。」と不安に思っていることでした。出身を知らずに育ち、ある日大きなショックを受ける生徒もいます。そんな同和問題をはじめ、家族の問題、国籍による差別の問題など、仲間とともに悩み、相手の気持ちに耳を傾けることで思いやりの輪を広げていくみんなの姿に林さんは心を動かされました。
そして林さん自身の生き方も変わりました。この弥栄中学校の取材を経験して、たとえ同和地区出身者や在日外国人など当事者になることはできなくても、相手と真剣に向き合い、その心に思いを巡らせ、理解しようと努めることこそ大事なのだと。

今回、林さんから番組にメッセージを頂きました。お聴きください。
「同和問題を考えることは、障害者や在日外国人問題など、すべての人権を考えることにつながります。問題を知らないから差別されないのではなくて、まず問題を知って、その上で誰も差別されることのない社会をつくっていきましょう。」
では、また。