人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2015年11月06日(金)放送

テーマ / 女性/高齢者 ジャンル検索

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ケアメンを生きる
急速な高齢化により深刻な社会問題となっている「介護」について、男性の皆さんは真剣に考えていますか。「いざとなったら妻が何とかしてくれるだろう。」と高をくくってはいませんか。実は、介護している人の三人に一人は男性なのです。親や妻などを介護する男性のことを「ケアメン」といい、その生き方が注目されています。

親の介護だけでなく、家族が病に倒れたり、事故に遭ったりして、誰でもいつでも直面する可能性があるのが介護です。ところが、長い間、仕事一辺倒の生活を続けてきた中高年の男性たちは、介護どころか家事のイロハも分からず戸惑うことが多いといいます。
北九州市では「介護のこと、家事のこと、仲間と一緒に学びませんか?」と呼び掛け、平成二十五年度から「ケアメン養成講座」を開いています。講師は介護福祉士や作業療法士、フードコンサルタントなど。介護の心構えを学び、高齢者向けの食事作りや移動の介助などを体験します。
ケアメンは介護と同時に家事も行わなければなりませんが、不慣れなことが多く、肉体的・精神的な負担は少なくありません。養成講座では、介護や家事のストレスを少しでも減らして、生き生きとケアメンライフを過ごせるよう、介護環境を整えていきます。
最初は慣れない手つきで包丁を握り、恐る恐る車いすを押していた受講者も次第にコツを覚え、自信を深めていきました。「習った料理を作って初めて妻からOKをもらいました。」
と目を輝かせる人がいれば、
「参加して自分一人じゃないと実感しました。」
としみじみ語る人もいます。
介護しながら働いている人は全国でおよそ二百九十万人。男性が四割を超え、北九州市でもおよそ九千人の働くケアメンがいます。そのような中、介護のために仕事を辞めようかと悩んでいる人も多く、介護と仕事の両立も大きな課題になっています。

介護に伴う悩みを一人で抱え込むのではなく、困ったときには支え合うネットワークを築き、介護を「つらく嫌なもの」と排除せずに「介護のある暮らしや働き方が当たり前」となるような環境をつくっていくことこそが大切です。「介護は苦しい」だけでなく「介護は楽しい」と言える、そんなケアメンになるために一歩を踏み出してみませんか。
では、また。