人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2015年11月16日(月)放送

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ぼくはリンリンマン
今日は、生まれつき重い病気を抱えながらも、周りの人のために表現活動を行う小さな絵本作家、山田倫太郎くんのお話です。

長野県に住む倫太郎くんの心臓の病気は、一万四千人に一人の難病。中学校には酸素吸入器を着けながら午前中だけ通っています。検査や点滴の欠かせない大変な毎日。しかし、倫太郎くんは周りの人に支えられるだけではありません。周りの人を支える活動もしているのです。
例えば倫太郎くんが入院していた時、ある検査を受けた子どもが泣いている声を聞きました。十回以上その検査を受けている倫太郎くんは、子どもたちの不安を和らげるために絵本を作ることを決意しました。絵本は小学校入学前から作り続けてきたので、お手のもの。スタッフのアドバイスも受けながら一週間で完成させました。
タイトルは『リンリンマン カテーテルってなんだのまき』です。「ぼくはリンリンマン。検査の不安から子どもたちを助けるために宇宙からやってきた。」という書き出しで、倫太郎くんと同じく吸入器のチューブを鼻に着けたリンリンマンが、足の血管から心臓へカテーテルという管を通す検査について説明してくれます。
また、弟の恵次郎くんが「医者になってお兄ちゃんを治す。」と言い出した時は、自身の体験を基につづった『理想の医者 8カ条』というメッセージを贈って励ましました。例えば「患者さんの家族、趣味など、患者さんの生活全体を見て接しよう。」という項目は、以前担当医の先生が退院を早めてくれたおかげで家族と出雲大社に行くことができた、というエピソードが基になっています。
自らの体験と気持ちを素直につづった倫太郎くんの言葉には大人たちもハッとさせられます。長年倫太郎くんを診てきた長野県立こども病院の安河内聰さんは
「彼の文章には生きることへの感謝と真摯な姿勢があふれている。かみしめて読んでほしい。」
と言います。

病気だから何もできないのではなく、病気を体験しているからこそできることがある。病気を抱えながらも一人一人が個性を発揮し、夢を追い掛けることはできる。そのことを倫太郎くんの絵や言葉が教えてくれます。そんな倫太郎くんの夢は、いつか絵本を出版することです。
では、また。