人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2015年11月12日(木)放送

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落書きを消して
今日は、北九州市教育委員会が平成二十六年度に募集した人権作品の中から、北九州市門司区の小学五年生、長瀬未佳さんの『落書きを消して』という詩を紹介します。本人の朗読でお聴きください。

『落書きを消して』
北九州市立田野浦小学校五年 長瀬未佳

学校の近くのへいに落書きがあった。
クラスの友だちが気がついた。
放課後、数人の友だちで見に行った。
たくさんの友だちの名前が書かれていた。
私の名前もあった。
いったい だれが書いたのだろう。
なぜ 書かれたのだろう。
少しこわくて いやな気持ちになった。

翌日、落書きのことについて
クラスで話し合った。
「書いた人が消せばいい。」
「書いた人をさがすより 消した方がいい。」
私も消した方がいいと思った。
みんなで消しに行くことになった。

へいの前にみんなでならんで
たわしに水をつけてこすった。
黒い水が飛び散った。
でも、みんな そんなことも気にせず
ごしごし ごしごし
力いっぱい こすった。
落書きは、どんどん消えていった。
みんなで消していくうちに
心の中のいやな気持ちは、消えていった。
きれいになったへいを見たとき
いやな気持ちはすっかりなくなり
すっきりした気分になっていた。

落書きは、私をとてもいやな気持ちにした。
でも
自分達が書いたわけでもない落書きを
友だちと必死に消したことが
そんな気分を すっきり消してくれた。
落書きを書いた人にも
私たちがきれいにしたへいを見て
すっきりした気持ちになって
「もう書かない。」と思ってほしい。

いかがでしたか。塀の落書きはもしかしたら、ほんのいたずらだったかもしれません。でも、その軽はずみな行為が、未佳さんを「少しこわくて、いやな気持ち」にさせました。消すことはできても、書かれた人の心に深い傷を残す、心無い落書きもあります。
未佳さんは、友達と力いっぱい落書きを消しました。すると、いやな気持ちは消え、すっきりした気分になりました。犯人捜しより、落書きを消すことで伝えたかった未佳さんのメッセージ。それは、きれいになった塀を見て落書きした人もすっきりした気持ちになって、「『もう書かない。』と思ってほしい。」という強い願いです。ぜひ通じてほしいですね。
では、また。