人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2015年11月17日(火)放送

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未来のために…在日の歴史と思い語り継ぐ
「私は朝鮮人です。なのに、どうして日本語が上手なのでしょう?」
こんな問い掛けから始まる異文化交流授業を、福岡県内の小中学校で続けている人がいます。北九州市の裵東録さんです。門司区の萩ヶ丘小学校で行われた授業をのぞいてみました。

チョゴリ姿で
「アンニョンハセヨー。」
と登場した裵さん、確かに日本語はペラペラです。裵さんの問い掛けに、子どもたちから次々と手が挙がります。
「練習したから。」
「日本と韓国は近くにあるから。」
「日本に住んでいるから。」
一人の女の子が答えました。
「日本で生まれたから。」
「正解!では、なぜ日本で生まれたのでしょう。」
「かつて朝鮮は日本の植民地でした。裵さんのお父さんは日本に連れてこられました。後を追って、お母さんも日本に来ました。二人ともきつい、きつい仕事をさせられていたのです。」
ひょうきんで愉快な口調の中に、時折、深い悲しみがにじむ裵さんの語りに、子どもたちはぐいぐい引き込まれていきます。
裵さんが、亡くなった母とともに語り部活動を始めて二十年。差別と貧困に苦しみながら、七人の子どもを育てた母の思いを受け継いだ交流授業は、九百三十回を超えました。
日本と朝鮮半島との歴史を勉強した後は、異文化交流。裵さんたちが韓国の食べ物や遊び、歌、踊りなどを教えてくれます。
交流が終わりに差しかかるころ、裵さんは、子どもたちに三つのお願いを伝えます。
「一つ目は『違いを認めること』です。言葉も、服装も、文化も 違う。だけどみんな同じ人間です。」
「二つ目は『差別をしない、いじめをしないこと。』」
「最後に『けんかをせず、みんな仲良くしましょう。戦争のない平和な世界をつくるために手を取り合って頑張りましょう!』」
と呼び掛けました。子どもたちは裵さんの三つの訴えに大きくうなずいています。

裵さんの話を聞いた子どもたちからは、「戦争はいけないことがあらためて分かりました。」とか「約束を守ります。もう、いじめも差別もしません。」など感想文が届きます。裵さんにはそれが大きな励みです。
「きついけど、千回目指して頑張ります。」
と裵さん。未来を築く子どもたちに希望を託し、交流授業は続きます。私たちも、裵さんの三つの願いを心に刻んで生活していきたいですね。
では、また。