人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2015年11月24日(火)放送

テーマ / 刑を終えて出所した人 ジャンル検索

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協力雇用主と少年たち
皆さんは「協力雇用主」ってご存じですか。犯罪や非行歴のある少年を雇用し、立ち直りを助ける地域ボランティアです。雇用主たちが更生を目指す少年たちに仕事を提供し、支援していますが、まだまだ社会では受け入れられないこともあるようです。

福岡県協力雇用主連合会長の野口義弘さんは、北九州市内でガソリンスタンド三店を経営し、社員の半数は非行歴のある少年です。これまで百二十八人を雇用し、百二十五人を更生させました。
野口さんは雇用主に入会や積極的な雇用を勧めたりしていますが、職種などに偏りがあるのが課題です。大企業や事務、サービス業はなく、中小企業や肉体労働を伴う仕事がほとんどです。
「『罪を犯した人でも、人手不足だから。』と割り切って雇ってくれる雇用主もいますが、仕事を通じた更生支援の意識をもっともってほしい。少年たちの多くは生活困窮の家庭で愛情に飢えているんです。」
と野口さんは理解を求めています。
五年前、窃盗など非行に走っていたある男子中学生は、卒業と同時に野口さんの会社で働き始め、二十歳になりました。当時を振り返り、こう語ります。
「『お前、よう来たね。』って、社長にいきなりハグされました。めっちゃ熱い人でびっくりしました。面倒くさいな、でも僕でいいならって、働き始めた。三カ月ぐらいたって先輩とけんかしました。でも、販売実績がトップになってから辞めてやろうと仕事を続けていたら、褒められました。一人一人に夢がある。僕も社長のようになりたいという夢がある。」
と。
「ふくおか『非行』と向き合う親たちの会」の能登原裕子代表は、
「更生を目指している子どもたちは、職場や地域で感謝されることで立ち直ることができます。」
と、仕事を通じた更生の意義と社会の理解を訴えます。

北九州市は、二〇一四年に「北九州市安全・安心条例」を制定し、少年の立ち直りを支えるために、行政、市民、警察の連携とともに、事業者に就労機会の充実を求めています。少年たちが非行に走るのは、大人の側に問題がある場合もあり、大人が排除していては解決できません。周囲が更生支援についての理解を深め、働きやすく、生きやすい社会を実現することが、彼らの立ち直りの支えとなるのですね。
では、また。