人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2015年11月26日(木)放送

テーマ / 性同一性障害 ジャンル検索

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ありのままの自分で
東京都に住む三十四歳の杉山文野さんは、杉山家の次女として生まれました。しかし、幼いころからスカートをはかされるのが苦痛で、好きになるのは女の子でした。杉山さんは体と心の性が異なる性同一性障害だったのです。

体の性と心の性の不一致に悩んでいた杉山さんは、高校生のとき、勇気を出して心は男性であることを両親に打ち明けました。
「文野はおかしい。カウンセリングに行きなさい。」
愛する家族に否定され、杉山さんは絶望します。しかし、その後、両親はほとんど知らなかった性同一性障害について調べ、それが先天的なものとされていることなど知識を深めて杉山さんの最大の理解者になりました。そして、男性として生きようとするわが子を支えました。
性同一性障害への関心は高まってきたものの、当事者は今なお「学校のトイレや更衣室で困る」とか、「周りに打ち明けるべきか」「就職が不安」といった悩みを多く抱え、いじめや差別を受けないか心配しています。杉山さんは強調します。
「性別は男と女だけに二分できるものではありません。また、誰もが体の性と心の性が同じで、好きになる相手は異性とは限らないのです。」
と。
大手企業による最近の調査では、性同一性障害の人たちやレズビアン、ゲイなどの性的少数者は八%ほどいるという結果が出ています。実は性的少数者は私たちの身近にいるのです。
杉山さんは、現在、講演活動をはじめ、性的少数者である子どもたちをサポートする活動などを行っています。二〇一四年には、男女共同参画への理解を深めようと北九州市内の大学生が取り組んでいる「ガーベラプロジェクト」に招かれ、性的少数者への理解を深めることを目的として意見交換をしました。
参加者の加藤舞さんは、
「当事者にカミングアウトされたら自然に受け止め、これまで通りに接するのが大事だと思いました。」
と話しています。

いかがでしたか。杉山さんは
「性の問題に限らず、こうあるべきという価値観の押し付け合いではなく、それぞれのこうありたいを応援し合える関係を築いていけば、みんながもっと幸せになれるはず。」
と訴えます。誰もが自分らしく生きていける社会にしたいですね。
では、また。