人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2016年10月27日(木)放送

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いのちをつなぐ
今日は、福岡県行橋市の助産師・内田美智子さんが、北九州市内の小学校で「いのちをいただいて、つなぐこと」と題し、四年生から六年生の児童と保護者を対象に行った、人権に関する授業を紹介します。

内田さんは、これまで二千八百人の赤ちゃんの出産を手伝ってきました。
「元気に生まれるのは当たり前と思っていませんか。」
と内田さんは問い掛けます。元気な赤ちゃんを取り上げる一方で、お母さんのおなかの中で死んでしまったり、数時間しか生きられなかったりした命もたくさん見てきました。だからこそ、
「命が誕生するのは奇跡。人はそこにいるだけで価値がある。」
と訴えます。
人の命の始まりから、赤ちゃんがおなかの中で大きくなっていく様子、そして、生まれたばかりの赤ちゃんを胸の上に抱き、涙を流して喜ぶお母さんの写真をスクリーンに映しながら説明しました。
命懸けで苦しみながら、それでも赤ちゃんに会うことを楽しみに出産したお母さんたちの出産後の感想を紹介し、
「生まれてくることはすごいこと。生まれてこなければよかった命なんて絶対にないのよ。」
と語り掛けます。
授業の後半、骨肉腫と闘い、十三歳で生涯を終えた、大牟田市の猿渡瞳さんの作文「命を見つめて」を紹介しました。瞳さんは小学六年生のとき、余命半年と宣告されました。それでも前向きに闘病する中で、こんな言葉をつづっています。
「健康な体で学校に通い、家族や友達と当たり前の様に毎日を過ごせるということが、どれほど幸せなことか。どんなに困難な壁にぶつかって悩んだり、苦しんだりしたとしても命さえあれば必ず前に進んで行ける。」

この授業の最後に内田さんはこんなメッセージを送りました。
「私たちの命は限りがあり、これから先、誰に何が起こるか分からない。でも、自ら命を絶ってはいけない。命懸けで産み、育ててくれる人がいる。つらいことがあっても、乗り越える力をみんな持っている。ちゃんと食べて寝て、遊んで勉強して、友達とけんかして仲直りして…、そうやって生きるのが、命をつないでいくことなんです。」と。
私たちも命の尊さをかみ締め、支えてくれる人に感謝しながら、今を大切に生きていきたいものです。
では、また。