人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2016年11月01日(火)放送

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未来のための取り組み、ESD
皆さんはESDという言葉を聞いたことがありますか。
Education for Sustainable Developmentの略称で、「持続可能な開発のための教育」と訳されています。世界には環境や貧困、人権、平和、開発など様々な課題があります。私たちや次の世代が将来もこの地球に安心して暮らせる、よりよい未来にするための教育がESDです。

北九州市における、ESDの活動の一つに「北九州市ユネスコスクール推進指定校」の取組があります。市が特色のある環境教育に取り組む小中学校を指定して、ESDの視点を踏まえた活動を推進してもらうものです。市内十五の指定校の内、「環境賞」を受賞した戸畑区の鞘ヶ谷小学校の取組を紹介します。
鞘ヶ谷小学校は都市部にありながら自然に恵まれており、以前から環境教育に力を入れて来た学校です。そこで校区内の環境について、九州女子大学と連携して「土地と水」「文化的特徴」「グリーン経済」など八つの視点で調査しました。
例えば「土地と水」の視点で調査したグループは、川が増水したときにそれを貯水槽へと導く水門を見付け出し、地域の人が安全に暮らせるように工夫されていることを確認。調査結果はグリーンマップにまとめられましたが、活動の過程で、子どもたちは校区の魅力や課題を話し合い、様々なことに気付きます。そうして、地域に愛着を持ち、地球を守ろうとする実践的な態度や環境に対する見方や考え方が育まれるのです。
北九州市では、かつて、大気汚染や洞海湾の汚染など公害問題が深刻だった時代に、家族の健康を心配する母親たちが「青空がほしい」というスローガンを掲げ、市民運動を起こしました。大学の先生に学びながら大気汚染の状況を調査し、その結果を基に企業や行政に改善を求めたのです。この運動をきっかけに市民と企業、大学、自治体などが一丸となって公害の克服に取り組み、青空と美しい海を取り戻しました。これは、ESDの生きた教材といえるでしょう。

ESDの取組を通して、地域の人と人がつながりを持ち、お互いを尊重する。そして、自分たちのまちについて真剣に学習し、行動する。それが、明るい未来づくりの第一歩ではないでしょうか。
では、また。