人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2016年11月07日(月)放送

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部落差別がなくなる日まで
今日は、福岡県内の不動産会社にかかって来た一本の電話での会話からお聞きください。

(電話の音♪♪♪~)
「はい、伝言板不動産です。」
「もしもし、私、先日おたくで家を購入することにした者ですが。」
「ありがとうございます!」
「いや、あの家の校区内に被差別部落があるそうやないですか。悪いんだけど、キャンセルさせてもらえんでしょうか。」
「お客様、この物件はお客様からお示しいただいた条件を満たす物件となっています。偏見を持たないで、もう一度ご検討いただけないでしょうか。」
皆さんはこの二人の会話を聞いてどんなふうに感じましたか。
今からおよそ四十年前の一九七五年、「部落地名総鑑」という図書が発行され、二百二十三もの企業や大学、病院、個人などが購入していたという事件が発覚しました。
この図書は、全国の被差別部落の地名、所在地、戸数、主な職業などが都道府県別に記載された文書で、現住所や本籍地などを照らし合わせると同和地区出身者かどうかが分かるという極めて悪質な差別図書でした。
なぜ、このような図書が売買されていたのでしょうか。それは、企業の社員採用時や親族の結婚時に相手の出身地を調べるためでした。少々高い金額を払っても、被差別部落出身者を知り、排除したいという根強い差別があったのです。
二〇一六年二月には、関東の出版社がインターネットに地名総鑑をアップし、同和地区の名称・所在地などの情報を掲載した書籍を発売しようとした事件がありました。
これに対し「部落差別を助長する。」という訴えを認めた裁判所が、発売差し止めの仮処分を決定しています。
「同和問題の早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民の課題である。」とした「同和対策審議会答申」から五十一年を経た今も、このような事件が起こっています。

平成二十七年度に北九州市が実施した「人権問題に関する意識調査」では、「同和地区の人たちを嫌がったり、避けたりするような意識はまだあると思うか。」という問いに対して、回答者の六五・六%が「差別意識をもっている人はまだいると思う。」と回答しています。部落差別はいわれのない差別です。私たちはそのことを自分自身の課題として意識し、差別のない社会を築いていきたいですね。
では、また。