人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2016年11月14日(月)放送

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はなちゃんのみそ汁
 今日は、二〇一六年一月から全国で公開された映画「はなちゃんのみそ汁」のお話を紹介します。映画の原作者でモデルになっている安武信吾さん家族は、福岡市に住んでいます。

 信吾さんの妻・千恵さんは二十五歳で乳がんになった後、信吾さんと結婚して、はなちゃんを産みました。がんがきっかけで食事の大切さに気付いた千恵さんは、自分が長く生きられないことを知り、はなちゃんが四歳になると料理を教え始めます。そして、五歳になったはなちゃんと、ある約束をします。それは「毎朝、自分でみそ汁を作る」こと。当時の思いを千恵さんはブログに次のようにつづっています。「食べることは生きること。健康で生きる力が身についていれば、将来どこに行っても、何をしても生きていける。」その五カ月後、千恵さんは三十三歳の若さで天国へと旅立ちました。
 はなちゃんは小学四年生のとき、自らの思いを作文に記しました。「毎日、みそ汁とご飯を食べているので風邪をひかないし、重い病気にもなりません。ママ、わたしを産んでくれてありがとう。自分のいのちは自分で守る。それがママとの約束です。」
 今、信吾さん親子には全国から講演の依頼があり、はなちゃんは子どもたちと一緒にみそ汁を作る講座も開催しています。講座は子どもたちの笑顔があふれ、はなちゃんと出会ったことで料理に興味を持つ子も少なくありません。千恵さんが教えてくれた「食の大切さ」を伝えられることは、はなちゃんにとって何よりの喜びです。信吾さんも
「はなは、みそ汁の湯気と匂いの中に千恵を感じ続けているのでしょう。」
と言います。
 中学二年生になったはなちゃんは、今も早起きしてみそ汁を作り、お父さんと朝ご飯を食べています。将来の夢は、食に関わる仕事をすること。そのために勉強も頑張っています。

 千恵さんがみそ汁作りに託した思いは、信吾さんとはなちゃんへ確かに受け継がれ、はなちゃんはお母さんとの約束を守り続けています。「自分のいのちは自分で守る。」きちんと食べることで体と心が元気になり、命がつながっていくのですね。
 では、また。