人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2016年10月25日(火)放送

テーマ / 高齢者 ジャンル検索

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誰もが知っておきたいカフェ
ゆったりとしたスペースにソファーやテーブルが置かれ、自然光が差し込んでいます。高齢者のグループがお手玉やけん玉をして盛り上がっていたり、女性の二人連れが紅茶を飲みながら
「久しぶりにゆっくりできたね。」
と話したり。
小倉北区にある総合保健福祉センター五階の認知症支援・介護予防センターに設けられた「カフェ・オレンジ」は、認知症の方やその家族などがくつろげる「認知症カフェ」の一つで、誰もが利用でき、思い思いに過ごせます。

おもてなし役は、カフェ・マスターと呼ばれるボランティアの方々。ここで定期的に開催されている、認知症や介護の初歩的な知識などを学ぶ研修会に参加した人たちです。
重い気分でカフェを訪れる人も少なくありません。
「急に父に介護が必要となり、どうしていいのか分からなくて。」
とか、
「介護していた夫をやむなく入院させたが、夫は『家に帰りたい』と言う。」
などと、ぽつりぽつりと語り出すと、カフェ・マスターは相づちを打ちながら耳を傾けます。すると次第に話している人の表情は和らいでいくのです。
カフェを運営する認知症・草の根ネットワーク事務局の中村真理子さんは言います。
「話を聞いてもらううちに気持ちの整理がつき、介護者になる覚悟ができたり、色んな支援を受ける必要性を理解したりと、道筋が見えてくることも多いようです。その上で私たちはその方に合った相談先などにつなぐことができます。このカフェは認知症支援の入り口の入り口でもあるのです。」と。
「少し気が楽になりました。」
などと言い、足取りを軽くしてカフェを後にする人たち。カフェ・マスターの一人、長野幸子さんは
「皆さんが笑顔で帰って行かれるのがやりがいです。気軽にたくさんの方に来ていただけたら。」
と呼び掛けます。

高齢化が進む中、認知症の方を地域で温かく見守るまちづくりが大切になっています。そのためには当事者だけでなく若い世代も含め誰もが認知症への理解を深めることが欠かせません。「カフェ・オレンジ」は午前十時から午後六時まで。年末年始とお盆以外はオープンしています。あなたも出掛けてみませんか。
では、また。