人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2017年11月06日(月)放送

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めぐみさんを待つ両親の思い
北朝鮮にら致された横田めぐみさんのご両親を長年見つめ続けてきた、音響技師の田辺信道さんが、北九州市で講演を行いました。その中で伝えられたのは、めぐみさんを待つご両親の思いです。

一九七七年十一月十五日、新潟市に住んでいた中学一年生の横田めぐみさんが、突然姿を消しました。バドミントン部の部活が終わり、学校から自宅まで歩いて十分ほどの道を帰っている途中で、北朝鮮にら致されたのです。しかし、その事実が分かったのは、ずっと後のことです。
めぐみさんは、歌うことが大好きな、活発で明るい少女でした。めぐみさんがいなくなる前日は、父・滋さんの誕生日。めぐみさんは、「これからはおしゃれに気を付けてね」と携帯用の櫛をプレゼントし、ビールをお酌してくれたそうです。
家族の中で太陽のような存在のめぐみさんがいなくなった日から、家族の生活は一変しました。理由も分からず、何の手掛かりもない中、めぐみさんの行方を必死で探し回る日々…。母の早紀江さんはみんなが寝たあと、「どこに行ったの、どこに行ったの」と泣きながら、めぐみさんの絵を何枚も描いたといいます。
歌を歌うと、歌が大好きだっためぐみさんを思い出し、涙が出てくる。クリスマスが来ると、にぎやかで楽しかった思い出がよみがえって辛くなる…。深い悲しみと苦しみの中で、四十年近い月日が流れて行ったのです。
家族の一人が、朝、「行って来ます。」と家を出たまま、理由も分からずに、何十年も帰って来なかったら…。
家族そろって「おいしいね。」と言いながら食卓を囲む、そんな普通の日常が、どれほど幸せなことか…。
早紀江さんは言います。
「生きてさえいてくれれば。でも、それが分からないから切ない。」

今も、北朝鮮にら致されたまま家族の元に帰ることができない人たち、そしてら致された家族の帰りを待ち続けている人たちがいます。そのことを私たち一人一人が忘れず、風化させないことが大切です。
「とにかく、家庭で話題にしてほしい。」
講演で伝えられたこのご両親の思いを、しっかりと受け止めたいものですね。
では、また。