人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2017年11月09日(木)放送

テーマ / 刑を終えて出所した人 ジャンル検索

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更正保護施設の少女たち
皆さんは更生保護施設をご存じでしょうか。刑務所や少年院を出た人を対象に、社会復帰をサポートする施設のことです。
昨年、全国で初めて、少女を対象とする更生保護施設が、田川市に開設されました。少年向けの更生保護施設を運営してきたNPO法人「田川ふれ愛義塾」は、木造2階建て、定員4名の女子寮を新設し、少女の更生にも本格的に取り組み始めました。
「少女の更生は、少年とは比較にならないくらい難しい。それは分かっていたけれど、引き受ける所がないなら、やらなければ、と決心した。」
と「田川ふれ愛義塾」の理事長・工藤良さん。
工藤さんは十代で暴走族のリーダーとなり、その後、覚せい剤使用で逮捕されたこともあります。出所後、生まれ育った田川から逃げ出したくなるほどの困難を乗り越えて、更生を果たしました。しかも、工藤さんは自分ひとりではなく、暴走族で知り合った仲間にも更生を呼びかけ、助けてきました。その活動が今のNPO法人としての更生保護施設の運営につながったのです。工藤さんは、
「非行に走る少年も少女も、きっかけの多くは愛着障害です。幼い頃、親などから可愛がってもらえなかったり、虐待をうけたりして育ったのが原因で、情緒面に問題が起こるんです。特に少女の場合、その寂しさなどから悪い大人たちに利用され、犯罪に巻き込まれることが多い。寂しさにつけこまれているため、更生しようとしても、同じ犯罪をくり返すのが現実です。」
見た目はもう大人の女性に見える少女が、夜になると寂しさにたえられなくて、工藤さんに「背中をトントンしてくれないと、眠れない。」と訴えます。夜は男性スタッフしかいないため、工藤さんの奥さんが、まるで赤ちゃんにするように、少女が寝付くまで背中をトントンしてあげるそうです。
少女たちが自立するには、環境を変え、長い時間をかけて、いろいろな問題を解決しなければなりません。
私たちも、更生保護施設の意義を理解して、寂しさを乗りこえ、真面目に生きていこうと努力する彼女たちを応援したいですね。
では、また。