人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2017年11月24日(金)放送

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避難先での出来事
「福島に帰れよ。」
これは、福島第一原子力発電所の事故の後に、福島県から家族で避難した高校生の女子生徒が、小学六年生の時、同級生の母親から言われた言葉です。
女子生徒は同級生からも、「福島の人と一緒の学校はいやだ」などと何度も言われ、その後、県内の別の小学校に再び転校。家族は、福島から避難して来たことを他の同級生に伝えないように学校や教育委員会に依頼しました。女子生徒自身も親しい友人以外には福島出身だということを隠しているといいます。
住み慣れた故郷を離れなければならない上に、福島から避難してきたというだけで、肩身の狭い思いをしたり、いじめを受けたりする…。その背景には、例えば放射能が人から人へうつると誤解している人がいるように、放射能への無知や不安からくる思い込みもあるようです。まずは正しく知って、風評に惑わされないことが大切なのではないでしょうか。

実は北九州市にも、福島から避難してきた人たちがいます。その中のあるお母さんは、子どもの転入先の小学校が決まった時、やはり担任の先生に「福島からの転校生だということは言わないでほしい」とお願いしたそうです。いじめがあっているという、うわさや報道を耳にしていたからです。
それから一カ月ほどたったころ、PTAの集まりがあり、そのお母さんも参加しました。雑談中、「どこから引っ越して来たの?」と聞かれ、つい、「福島なんですよ」と答えてしまったお母さん。すると、「えー、震災で?」と驚かれましたが、次に返ってきた言葉は意外なものでした。
「何か困ってることはない? 何でも言ってね!」
それが、実に明るくて気さくな感じだったので、お母さんは「あぁ、言ってよかったなー」と、心からほっとしたといいます。
その後、いじめられるのではないかと心配していた子どもも、みんなと仲良くなり、友達もたくさんできたと、うれしそうに話していたそうです。

私たちのまちで、福島から避難してきた人たちにまつわる、こんな笑顔のエピソードがあったことを聞くと、なんだかほっとしますね。
では、また。