人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2023年11月20日(月)放送
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  • きょうだい児を孤独にさせないために

鶴田弥生

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きょうだい児を孤独にさせないために

皆さんは「きょうだい児」という言葉を知っていますか?
平仮名の「きょうだい」に、漢字で児童の「児」と書いて「きょうだい児」。重い病気や障害のある兄弟姉妹がいる子どものことをこう呼びます。
きょうだい児は、親が兄弟姉妹の世話に追われることから、「親に甘えられない」「自分のことは我慢する」など、様々な悩みやつらさを抱えています。

こうした、きょうだい児の当事者が集い、同じ立場で語り合う「北九州きょうだいの会」。メンバーの女性に話を聞きました。

「私の姉には知的障害と発達障害があります。学校で姉の悪口を言われることがありましたが、何より寂しかったのは、普通の家族の時間がなかったことです。親から映画や遊園地に連れて行ってもらった思い出もありません。一緒に出かける先は、姉が通う病院。友達と遊ぶ約束を断った後、病院へ向かう車が友達の前を通った時はつらくて…」

それでも彼女は「迷惑をかけちゃいけない」と、我慢していたそうです。また、周りの人から「お母さんもお姉さんも大変だね」と言われることはあっても、「あなたもしんどいね」と声をかけてもらえることはなかった、と言葉を詰まらせます。
ほかにも、親や周りの期待を背負わされて重荷に感じたり、「障害児のきょうだいだから、しっかりしている」という褒め言葉が逆に重圧となったりしているきょうだい児もいます。
彼らのために、私たちができることはあるのでしょうか。

先ほどの女性はこう言います。
「中学生のころは友達のお母さんに話を聞いてもらっていました。たわいないおしゃべりが心の支えになっていたんです。
だから、きょうだい児の周りの大人には、まず話を聞いてあげてほしいのです。一度だけでなく二度でも三度でも声をかけてほしい。自分を気にかけてくれる人がいる、一人じゃないんだ、ということが伝わるから…。大事なのは、きょうだい児を孤独にさせないことだと思います。」

いかがですか。
誰にも言えず、一人で頑張り過ぎている「きょうだい児」があなたの身近にもいるかもしれません。「大丈夫?」と声をかけ、その子の話に耳を傾けるだけで、彼らの心が少し軽くなるのではないでしょうか。
では、また。