洋上風力発電
地球環境に優しい再生可能エネルギーの導入に取り組む本市では、平成22年度から若松区響灘地区で、風力発電やバイオマス発電などのエネルギー関連産業の集積を目指す「グリーンエネルギーポートひびき」事業を進めています。今回は、風力発電関連産業の総合拠点化を見据えた取り組みを特集します。
響灘地区には、風力発電関連産業の拠点化に有利な条件がそろっています。
(1)恵まれた風況
響灘は、年間を通して平均7m/秒以上の風が吹いており、洋上風力発電所(ウインドファーム)の建設に適しています。
(2)広大な産業用地
洋上風力発電用の風車の羽根は1枚が50mを超える長さで、ナセルと呼ばれ、発電機が入っている心臓部の重さは数百トンにも及びます。これらを製造し、保管するには広い土地が必要です。響灘地区は広大な産業用地を擁していることから、巨大な風車の部品の製造から組み立て、積み出しまで一体的に行うことができます。
(3)充実した港湾機能
風車を設置するための作業船や長くて重い部材を運搬する大型船が寄港できる港を備えており、響灘地区で製造した風車の部品を国内外へ運搬したり、他所で製造された部品を搬入するなど物流の拠点としての機能が充実しています。
昨年8月、風力発電関連産業の総合拠点化への取り組みをさらに進めるため、洋上ウインドファームを響灘海域に設置・運営する事業者を公募しました。これは同年7月に施行された改正港湾法に基づく国内初の公募事業です。
今回の法改正により、港湾区域内の水域を長期にわたって洋上風力発電用に使用できるようになり、20年間に及ぶ洋上ウインドファーム運営が安定して継続されることになります。
今年2月に選定した事業予定者の現在の提案では、響灘の約2700haの水域(上部イメージ図のエリア)に最大44基の風車が設置され、17万6000世帯が1年間に使用する電力を発電する予定です。
風力発電関連産業の特徴として、風車1基に用いる部品が約2万点であることから、自動車産業並みに裾野の広い産業構造を持っていることが挙げられます。部品製造以外にも、物流業やメンテナンス業などの関連産業が必要であり、これらの企業が集積すれば雇用創出や税収の増大が期待できます。また、風力発電関連産業には本市の製造業者が参入できる分野も多いとみられ、市外からの企業誘致だけでなく地場企業のビジネスチャンスにつながることも期待されます。
現在進めている国内初の大規模洋上ウインドファームの誘致は、風力発電関連産業の総合拠点化に向けた取り組みの一つです。今後、この産業は国内およびアジア市場での需要増が予想されます。本市はこれらのマーケットを取り込み、アジアをリードする風力発電関連産業の総合拠点となり、地元経済に大きく貢献することを目指していきます。
【この特集に関するお問い合わせ】 港湾空港局エネルギー産業拠点化推進課 TEL093・582・2994