特集エコタウン20周年

写真

特集エコタウン20周年

 本市は、「ものづくりのまち」としての産業基盤や海外でも活用される技術力、公害克服の過程で培われたノウハウなどを生かし、循環型社会の構築を図る「北九州エコタウン事業」を推進しています。その中心となるのが環境・リサイクル企業が集まる「北九州エコタウン」です。

 「北九州エコタウン」での取り組みを、これからの北九州市を担う子どもたちが記者となって取材しました。

 国内だけでなく、海外からも視察や見学に訪れる人が多い北九州エコタウンは若松区の響灘地区にあります。

 環境を守る技術の研究施設やリサイクル工場などが40近くもあり、ごみや使わなくなった物をもう一度役に立つ物や資源へと変え、ごみをゼロにすること(ゼロ・エミッション)に取り組んでいます。

 このように、資源やエネルギーを大切に繰り返し使うことは「循環型社会」といわれ、本市の最先端の取り組みは、世界的に高い評価を得ています。

 今回の子ども記者の取材では、エコタウンのことや環境・リサイクルについて学べるエコタウンセンター、自動販売機、ペットボトル、自動車をリサイクルする工場を訪れました。3R活動や資源・エネルギーの大切さについて、一緒に考えてみましょう。

3R活動…リデュース(Reduce)ごみを減らす、リユース(Reuse)繰り返し使う、リサイクル(Recycle)資源にするの頭文字をとった言葉

「資源」へと生まれ変わる「ごみ」

自動販売機リサイクル工場

 学校や自宅近くでもよく見かける自動販売機は、資源の塊です。この工場では自社の自動販売機や業務用冷蔵庫を年間約2万5000台もリサイクルしています。

 工場の中では、冷却に必要なフロンガスを抜いた後、主に手作業によって分解していきます。蛍光管や銅線、アクリル板、プラスチックなどを分別していき、残った部分がプレスされて鉄の塊になります。そして新たな機械などをつくるための原材料として出荷されていきます。

前田詩音記者 「自動販売機の平均寿命は約10年だそうです。この工場でリサイクルされる中で、捨てられるものがほとんど無いことにびっくりしました」

自動販売機リサイクル工場(コカ・コーラウエスト販売機器サービス)画像

ペットボトルリサイクル工場

 皆さんは、飲み終えたペットボトルを分別して捨てていますか。

 家庭などから工場に集められたペットボトルは、圧縮された四角い塊の状態で運ばれてきます。その中から、ペットボトル以外のものや色付きボトルを分別することからリサイクルは始まります。

 その後、破砕・洗浄し、「フレーク」という小さな破片を作ります。このフレークから服などの原料となるポリエステル繊維が作られます。フレークの完成まで約1時間しかかからず、この工場では1日に約130万本を処理しています。

 フレークの一部は溶かされてさらに細かく粒状にした「ペレット」になり、透明な食品トレーや卵のパックなどに使われています。

本多優斗記者「僕が一年生の時かぶっていた黄色い帽子が、飲み終わったペットボトルから出来るのはすごいと思いました」

ペットボトルリサイクル工場(西日本ペットボトルリサイクル)画像

自動車リサイクル工場

 道路を走るたくさんの自動車には約3万個の部品が使われています。この工場では福岡県を中心に、使われなくなった自動車を集め、再利用できる部品を中古部品として回収した後、再利用できない部分をリサイクルしています。

 日本で1年間にリサイクルされる自動車は約300万台ですが、そのほとんどはシュレッダー(破砕機)を使って処理されています。この方法でリサイクルできるのは約95%で、質の良い鉄が回収できないという問題もありました。しかし、この工場ではシュレッダーを使わず、手作業の解体ラインで処理するため、リサイクル率は99%となり、しかも再び車の原料として使えるほど質の良い鉄が回収できます。

島田創一朗記者 「大きな車がどんどん分解されていくのを見ながらの取材でした。一台が45分くらいで終わると聞いて早いなあと思いました」

自動車リサイクル工場(西日本オートリサイクル)画像

オンリーワンの技術で再生金メダル(アステック入江)

画像

 廃電子機器の電子基板から金を回収する、オンリーワンのリサイクル技術を持つ市内企業が、再生金メダル作りに取り組んでいます。

 元々、製鉄関連の事業で培われてきた技術を環境リサイクル技術へと展開してきました。純度90%以上の金を回収できる上、ごみもほとんど出さないことで全国から注目されています。この再生金メダルが、さまざまなスポーツ大会で活用されることが期待されます。

取材を終えて画像

前田詩音さん画像

前田詩音さん

 どの工場も少ない人数でいろいろな部品を分別していて、その部品が全く違うものに生まれ変わっているのが印象的でした。取材をしている中で私も、ごみの分別をもっときちんとしようと思いましたし、みんなも地球環境に気を付けてほしいと思いました。

島田創一朗くん画像

島田創一朗くん

 学校で3Rや公害の歴史について習ってはいましたが、実際に工場を見学するのは初めてでした。取材の中でわかった、作業のやり方をとても工夫していることや、暑い中での作業が大変なことなどを家族や友達にも伝えたいです。これからは、家庭ごみの分別をしっかりしようと思いました。

本多優斗くん画像

本多優斗くん

 これまでリサイクルについて、あまり興味がありませんでしたが、取材をして環境を良くするために、とても大事なことだと分かりました。これからは、ごみは捨てた後どうなるのかを考えて、環境に良いことに取り組んでみたいと思います。

エコタウンセンターでは、リサイクル工場やエネルギー施設の見学案内を行っています。見学受け入れ=月~金曜日(祝・休日は除く)の9時30分~11時30分、13時30分~15時30分。予約が必要。問い合わせはエコタウンセンター(若松区向洋町、TEL093・752・2881)へ。

【この特集に関するお問い合わせ】 環境局環境産業推進課 TEL093・582・2630

このページのトップへ