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呼吸器外科

~自分の家族に受けさせたい手術を~

 1992年の当科設立以来5000例以上の呼吸器外科手術を行ってきました。 このうち約2600例が原発性肺癌です。 その他、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、気胸、巨大肺嚢胞、膿胸、胸壁・胸膜腫瘍、気管腫瘍、 先天性肺血管異常など、肺移植と排菌のある結核の手術以外はほとんどの呼吸器外科疾患の手術を 行っています。最近では年間200例前後の手術を行っており、このうち8割以上を肺癌や転移性肺腫瘍などの 悪性疾患が占めています。





呼吸器外科





     
    肺癌
     
    転移性肺腫瘍
     
    縦隔腫瘍
     
    自然気胸
     
    膿胸
    胸腔鏡下手術に
    ついて

肺癌

 心臓外科チームとの連携による拡大合併手術、 進行肺癌に対する術前導入化学・放射線治療後の手術なども行う一方で、 気管支形成術などの機能温存手術や、高齢者や低肺機能患者における区域切除や部分切除などの縮小手術、 早期がんに対する縮小手術など、術式の選択の幅は広く、一つの術式にこだわらず、 個々の患者さんに適した治療、術式の選択を心がけています。 また、多くの症例で胸腔鏡下手術を行っています。
 最近ではCTの普及もあり、比較的早い病期の肺癌が多く見つかるようになりました。 病気の進行度を表す病期IA が44%、IBが25% とI期症例が7割を占めるようになってきています。

 肺癌はもともと高齢者に多い病気ですが、高齢化と元気な高齢者が増えたこともあり、 肺癌の手術を受ける患者さんの年令も年々高くなってきています。 男女ともに70才代が最も多く、80才代も11%を占めています。

 当院の肺癌全切除例(2006-2015年、1159例)の5年生存率は75%であり、 手術死亡率(術後30日以内の死亡)は0.5%でした。 病理病期別の5年生存率はIA期91%、IB期78%、IIA期65%、IIB期55%、IIIA期44%でした。 80才以上の超高齢者も、適切な手術適応と術式の選択により、 良好な遠隔成績を得ています。気管支形成を伴う肺葉切除術 (sleeve lobectomy) は 気管支の吻合術を行うことで全摘を回避する術式です。 当科の気管支形成術(42例)の5年生存率は全体で61.2%であり、 病期別に見ても、肺葉切除と遜色のない成績が得られています。 手術関連死亡はありませんでした。

転移性肺腫瘍

 いろいろな癌が肺に転移することがあります。 原発巣に再発が無く、肺以外に転移の無い場合は肺転移に対して切除術を行うことがあります。 特に大腸癌の肺転移は手術の対象となることが多く、5年生存率は約50%です。

縦隔腫瘍

 両側の肺にはさまれた、気管、心臓・大血管、食道などがある場所を縦隔とよびます。 ここにできた腫瘍を縦隔腫瘍と呼びますが、良性、悪性両方があり、種類もいろいろです。 一部の例外を除き多くは手術の対象となりますが、良性腫瘍の多くは胸腔鏡下手術が可能です。

自然気胸

 若いやせ形の男性に多い病気です。 再発が多い病気ですが、初回は手術以外の保存的治療を原則としています。 再発例や保存的治療でコントロールできない例では手術を行いますが、 初回でも受験生などで希望があれば手術を行うこともあります。 ほぼ全例が胸腔鏡で手術可能です。 従来胸腔鏡下手術は術後の再発率が高いと言われていましたが、 当科では術式の工夫により再発率の減少を図っています。



膿胸

 胸腔に膿がたまる病気です。 長期の入院治療、複数回の手術が必要になることも多く、 呼吸器外科領域の中でも厄介な病気のひとつです。 当科では肺や気管支からの空気の漏れがない無瘻性の膿胸に対しては、 比較的早い時期に胸腔鏡下に胸腔内の洗浄・掻爬・ドレナージを行うことで、 手術の回避、治療期間の短縮を図っています。




胸腔鏡下手術について

 胸腔鏡は一種のビデオカメラで、これを用いて胸腔内を観察しながら手術を行うのが胸腔鏡下手術です。 傷も小さくて済み、術後の疼痛も少なく、多くの手術を胸腔鏡下に行っています。 当科では気胸の94%(若年者の自然気胸では100%)、良性縦隔腫瘍の83%、転移性肺腫瘍の91%、 膿胸の61%が胸腔鏡下に行われています。
 原発性肺癌に対しても胸腔鏡下手術を行っています。 肺癌に対する標準的な術式である肺葉切除とリンパ節郭清に関しては現在当科では、 6-8cm程度の傷1カ所と、1-2cmの傷数カ所により行っています。 肋骨の切離を行わず、肋間筋以外の筋肉を切らず、開胸器(肋間を広げる器械)も使用しません。 出血量も少なく、術後の痛みも少なく、術後の回復も早いのが利点です。 しかしながらすべての肺癌に対して胸腔鏡下手術が可能なわけではありません。 最大の欠点は視野が狭いこと、予期せぬ大出血に対する対応が困難なことです。 肺癌の手術では心臓から直接出ている血管を処理しますので、 大出血の危険性を常にはらんでいるのも事実です。 当科ではあくまで安全性と確実性を重視し、これらが担保されたうえで胸腔鏡下手術を行っています。 これらを犠牲にした上での胸腔鏡下手術は本末転倒と考えています。 胸腔鏡手術がより安全に行われるようになった背景には様々な手術器械の進歩もありますが、 当院では3D-CT肺動静脈造影が大きな役割をしています。 狭い視野での手術ですので、血管の走行を立体的に術前に把握できていることで、 より安全な手術が可能となっています。 区域切除や葉切除を予定している症例のほぼ全例に3D-CT画像の作成を行っています。

 2010~2016年922例の肺癌手術症例の80%(部分切除の95%,区域切除の90%,肺葉切除の78%)が 胸腔鏡下に行われています。 開胸手術も胸腔鏡を補助的に使うことでより小さな傷で行うことが可能です。



副院長 永島 明


専門分野:呼吸器・縦隔・胸壁の外科治療、肺癌の外科治療、胸腔鏡手術
専門医等:日本外科学会専門医・指導医
     日本胸部外科学会認定医
     呼吸器外科専門医
     日本呼吸器外科学会指導医
     日本呼吸器学会呼吸器専門医
     日本がん治療認定医機構 がん治療認定医・暫定教育医
     肺がんCT検診認定医
     胸腔鏡手術九州地区インストラクター
学会関係:日本肺癌学会九州支部評議員 / 日本呼吸器外科学会評議員 /
     日本胸部外科学会九州地方会評議員


 肺がんをはじめとする手術症例数が豊富で、あらゆる呼吸器疾患に
柔軟に対応しています。手術だけでなく術後の管理まで、チーム医療を通じて
総合的な治療体制が整っています。



主任部長 濵武 基陽


専門分野:呼吸器・縦隔・胸壁の外科治療、肺癌の外科治療、胸腔鏡手術
専門医等:日本外科学会認定医・専門医・指導医
     日本胸部外科学会認定医
     呼吸器外科専門医
     日本がん治療認定医機構がん治療認定医・暫定教育医
     日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医・指導医
     日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医
学会関係:日本呼吸器外科学会評議員 / 日本呼吸器内視鏡学会評議員



島松 晋一郎

専門分野:呼吸器外科
専門医等:日本外科学会専門医
学会関係:日本外科学会 / 日本胸部外科学会 / 日本呼吸器外科学会 / 日本肺癌学会 / 日本癌治療学会



鈴木 雄三

専門分野:呼吸器・縦隔・胸壁の外科治療、肺癌の外科治療、胸腔鏡手術
学会関係:日本外科学会 / 日本胸部外科学会 / 日本呼吸器外科学会 /
     日本肺癌学会 / 日本癌治療学会



外来を受診される患者さんへ


他の医療機関で検査を受けられた方は、受けられた検査情報、紹介状を是非持参して下さい。 不要な検査を繰り返すことになり、診断の遅れ、ひいては治療の遅れとなります。 その場では理解できたと思われた方も、 帰宅後にはかなりの部分を覚えていないという事が珍しくないようです。 特に高齢者の方ではご家族の方と受診され、一緒に説明を受けられることをお勧めします。 “家族に受けさせたい手術”をモットーに診療をしてきました。 手術は根治を目指す治療ですが、リスクを伴う治療でもあります。 判断は慎重を要しますが、時には手術をしないとの判断も必要です。

                           (平成30年4月1日現在)

診療科
 
呼吸器外科
 
 
永島 明
 
 
永島 明
 
 
〇濱武 基陽
 

〇診療科主任部長


※初診の受付時間は8時から11時までです。
※外来初診には原則として診療情報提供書が必要です。
[医療連携室]TEL:093-533-8660(直通)
      FAX:093-533-8718