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意見書(第57~63号)・決議(第67~68号)

更新日 : 2022年6月23日
ページ番号:000008956

第57号・取調べの可視化の実現を求める意見書

 国民から無作為に選ばれた裁判員が、殺人や傷害致死など重大事件の刑事裁判で、裁判官とともに犯罪を裁く裁判員制度が、2009年5月までに施行予定となっています。同制度では、法律の専門家ではない国民が裁判に参加することで、国民の感覚が裁判の内容に反映され、国民の司法に対する理解と支持が深まることが期待されています。
 しかし、実際の裁判では、供述調書の任意性や信用性などが争われることが多く、ひとたび裁判員となった場合には、それらに対する判断も求められることは必然で、法律の専門家でない国民にとっては非常に判断に苦しむことになりかねません。
 そこで、検察庁では、裁判員制度の導入に当たって、東京をはじめ各地の地方検察庁で「取調べの可視化」を部分的に試行しています。この「取調べの可視化」とは、捜査の結果、犯罪を行ったと疑われる被疑者に対し、警察や検察が行う取調べの過程を録画・録音することです。これにより、えん罪の原因となる密室での違法・不当な取調べによる自白の強要が防止できるとともに、供述調書に書かれた自白の任意性や信用性などが争われた場合には、取調べの録画・録音記録が証拠となります。
 このように、取調べの可視化は、自白の任意性、信用性などを迅速・的確に判断するための方策として、裁判員制度の導入に不可欠な取組の一つと言えます。また、えん罪事件を防ぐことにもつながります。
 よって、本市議会は、国会及び政府に対し、裁判員制度実施までに、取調べの全過程の可視化を実現するよう強く要請します。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。

第58号・民法第772条の嫡出推定に関する運用の見直しを求める意見書

 民法第772条第2項は、婚姻の解消又は取消の日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に妊娠したものと推定する「嫡出推定」を定めています。
 この規定は、もともと法律上の父親をはっきりさせて、子どもの身分を早期に安定させるためのものでした。しかし、制定から100年以上経った現在、離婚や再婚をめぐる社会情勢の変化などもあり、時代に合わなくなっています。
 例えば、この規定によると、実際には新しい夫との間にできた子であっても、離婚後300日以内の出生であれば、前夫の子として推定され、出生届を提出すると前夫の子として戸籍に入ることになってしまいます。そのため、事実と異なる者が父親とされることを嫌って、出生の届出をせずに無戸籍となっている人々がいます。
 そうした人々を救済するため、法務省は本年5月に通達を出し、離婚後に妊娠した場合に限り、医師の証明を添付することで現在の夫の子として出生届を認める特例救済措置を実施しています。
 しかし、この特例で救済されるのは全体の1割程度であり、圧倒的に多い離婚前の妊娠は対象外となっています。離婚前の妊娠に関しては、やむを得ない事情により離婚手続に時間がかかるケースが多く、これらの救済を求める声が強くなっています。
 よって、本市議会は、国会及び政府に対し、慎重に検討しつつも、子どもの人権を守るため、離婚前の妊娠であっても社会通念上やむを得ないと考えられるものについては、現在の夫の子として出生届を認めるなど、嫡出推定に関する運用を見直し、その救済対象を拡大するよう強く要請します。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。

第59号・メディカルコントロール体制の充実を求める意見書

 外傷や脳卒中、急性心筋梗塞等の救急治療を要する傷病者に対する救急出動件数は、咋年、全国で523万件に達しています。これらの救急業務には、一刻を争う救命処置とともに高い専門性が求められることから、救急救命士等が行う応急処置の質を医学的観点から保障する「メディカルコントロール体制」の充実、特に、医師が直接、指示・助言を行う「オンラインメディカルコントロール体制」の整備が不可欠です。
 しかし、都道府県単位、さらに地域単位で設置されているメディカルコントロール協議会では、救急救命士等が実施する応急手当・救急救命処置や搬送手段の選定等について、医師の指示・助言体制や救急活動の事後検証体制等が十分整備されていません。
 このような状況の中、本年5月に、全国のメディカルコントロール協議会関係者等で構成する「全国メディカルコントロール協議会連絡会」が発足しました。国として各地域の現場の声を集約する環境が整ったことから、地域におけるメディカルコントロールの課題や先進事例等について、しっかりと意見交換をした上で、速やかに情報をフィードバックしていくシステムを構築すべきです。
 よって、本市議会は、政府に対し、メディカルコントロール体制を充実させるため、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 全国メディカルコントロール協議会連絡会を定期的に開催し、各地域のメディカルコントロール協議会との連携強化を図ること。
2 メディカルコントロール協議会を充実させるための財政措置の増大を図ること。
3 オンラインメディカルコントロール体制の構築を推進すること。
4 救急救命士の病院実習や再教育の充実・強化を図ること。
5 救急活動の効果の検証や症例検討会の実施を図ること。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。

第60号・混合診療の全面解禁に関する意見書

 政府の規制改革・民間開放推進会議は、平成16年8月に公表した中間とりまとめにおいて、患者と医師との自由な契約により多様な診療を選択できる環境を整備するとして、保険診療と保険外診療を併用する混合診療の全面解禁を提言しました。また、その後設置された規制改革会議は、本年11月に、第二次答申の重点項目として、混合診療の全面解禁を盛り込む方針を固めたことが明らかになりました。
 そもそも、我が国の公的医療保険制度は、国民皆保険の原則の下に、個人の受療機会が金銭的な負担能力に左右されず、平等になることを保障するための仕組として、国民の生命・健康を高い水準で守ってきたと言えます。
 しかし、混合診療が全面解禁されると、増大する保険給付費の抑制のため保険適用の範囲が縮小されることや、それに伴い患者負担が増大する等の問題が懸念されます。その結果、保険外診療を受診できる人とできない人の「治療の格差」を生み出し、お金のない人を必要な医療から排除することになります。また、医療サービスの選択肢が拡大する一方、安全性が確認されていない医療が拡大される危険もあり、多くの医療団体が反対しています。
 このように、混合診療の全面解禁には問題点が多く指摘されているにもかかわらず、国民への十分な説明責任も果たさないままに、規制改革会議内での論議だけが先行している状況は、国民に不安感と不信感を与えるものです。
 よって、本市議会は、政府に対し、国民の誰もが安心して必要な医療を受けることができるよう十分な論議を尽くすとともに、拙速に混合診療の全面解禁に踏み切ることのないよう強く要請します。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。

第61号・食品偽装の根絶を求める意見書

 消費期限や賞味期限の改ざん、売れ残り品の再出荷といった食品偽装が次々と発覚し、事業者や監督官庁に対する国民の不信が高まっています。
 しかし、偽装表示の規制に関する監督官庁は、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)では農林水産省、「不当景品類及び不当表示防止法」(景表法)では公正取引委員会、「食品衛生法」では厚生労働省となっており、縦割り行政の中で相互の連携は十分とれているとは言えません。
 また、JAS法と景表法においては、地方分権一括法の施行によって、監督権限の一部が地方自治体に移譲されています。食品衛生法においても、実際の調査や監督は保健所を持つ地方自治体が行うこととされています。しかし、担当者の数も少なく、保健所の統廃合などで監視体制は弱まっており、食品会社等からの内部告発でもなければ偽装が発見できないというのが実態です。
 さらに、表示規制の根幹をなすJAS法では、虚偽表示をした事業者に対し直ちに罰則をかける仕組とはなっておらず、規制が極めて弱いことも問題です。
 このような状況の中、国会は、2000年に発生した雪印乳業の食中毒事件を機に、2003年に国民の健康保護と食品の安全確保を明記した「食品安全基本法」を成立させました。しかし、規制緩和路線の中で事業者への監視や消費者の救済に実効ある対策は講じられておらず、偽装事件多発の背景にもなっています。
 よって、本市議会は、政府に対し、国民の命と健康を守るため、全国の様々な消費者団体と協力するとともに、食品偽装を根絶するための実効性ある対策を講じるよう強く要請します。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。

第62号・高等学校教科書の検定に関する意見書

 去る3月30日、文部科学省は、平成20年度から使用される高等学校教科書の検定結果を公表しました。沖縄戦における集団自決について、日本軍による命令・強制・誘導等の表現箇所を、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」との検定意見を付し、削除・修正させています。
 その理由として同省は、「日本軍の命令があったか明らかではない」ことや、「最近の研究成果で軍命ではなかったという説がある」ことなどを挙げています。しかし、沖縄戦における集団自決が、日本軍による関与なしには起こり得なかったことは紛れもない事実であり、今回の削除・修正は、体験者による数多くの証言をも否定しようとするものです。
 また、国内唯一の地上戦を体験し、一般の県民を含む多くの尊い生命を失い、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた沖縄県民にとって、今回の削除・修正は到底容認できるものではありません。沖縄県内41市町村すべての議会は、6月28日までに検定意見撤回を求める意見書を可決し、また、沖縄県議会は二度にわたり全会一致で同意見書を可決しています。
 さらに、9月29日に、宜野湾市で開催された「教科書検定意見撤回を求める県民大会」や、同時開催された宮古及び八重山大会には、多くの人々が参加しており、沖縄県民をはじめ日本国民の怒りは頂点に達しています。
 よって、本市議会は、国会及び政府に対し、沖縄戦の事実を正しく伝えるとともに、悲惨な戦争を再び起さないようにするためにも、高等学校教科書における集団自決の記述の見直しを速やかに行うよう強く要請します。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。

第63号・道路整備の財源確保に関する意見書

 道路は、地域経済の活性化や生活環境の向上など、市民生活を支える最も基礎的な社会資本です。
 本市の道路事情は、北九州空港やひびきコンテナターミナルなどの物流拠点施設を結ぶ物流ネットワークが未完成であることをはじめ、都市部の骨格となる幹線道路整備の遅れに伴う交通渋滞や都市環境の悪化など、質・量ともにいまだ十分とは言えず、その整備は喫緊の課題となっています。
 また、少子高齢化が進む中、市民の安全・安心を支える生活道路や通学路の整備など、地域住民の要望にこたえていくことが強く求められています。
 さらに、橋梁の震災対策や長寿命化など、災害に強い都市基盤の整備も急務となっています。
 一方、11月13日に国土交通省から公表された「道路の中期計画(素案)」では、平成20年度から10年間に必要な道路整備の事業量は、68兆円であると示されました。同計画を強力に推進するためには、引き続き道路財源を確保することが重要です。
 よって、本市議会は、国会及び政府に対し、地方の声や実情に十分配慮し、道路整備の安定的な財源を確保するため、道路特定財源の見直しに当たっては、次の措置を講じるよう強く要請します。
1 道路特定財源諸税に課されている暫定税率を、平成20年度以降も現状のまま延長すること。
2 地方道路整備臨時交付金制度を引き続き継続すること。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。

第67号・九州厚生年金会館の機能存続を求める決議

 平成17年10月の独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の設立以降、厚生年金会館など全国の年金福祉施設の譲渡・廃止が進められており、本市にある九州厚生年金会館も整理・合理化の対象となっている。
 同会館は、昭和59年の開館以降、北九州都市圏の文化・芸術の発展や地域社会の活性化に大きく貢献してきた。また、本市の文化施設整備に当たっても、2,000人を超える収容能力を持つ同会館の存在を前提としてきたところである。昨年度においても、年間38万人を超える多くの市民などに利用されており、文化・芸術の発信施設として、今後とも重要な役割を果たしていくことが期待されている。
 さらに、同会館の大ホールには、開館時に、市民や企業からの募金によって購入したパイプオルガンが設置されており、市民の貴重な財産として、現在も演奏会で使われている。
 このように地域には様々な実情があることから、同機構の設立に際し、対象施設の整理・合理化に当たっては、「地元自治体とも事前に相談すること」という国会の附帯決議がなされており、本市議会としても地元の意向として、平成17年に政府に対し、同会館の機能存続を強く要請したところである。
 しかしながら、本市における文化の拠点施設と言える同会館が、譲渡後の用途も問わずに売却されると聞いており、万が一、取り壊されることになれば、今後のまちづくりに大きな支障を与えることは必至である。
 よって、本市議会は、これまで九州厚生年金会館と共に地域文化の振興に取り組み、今後もその存続を願う多くの地域住民とともに、ホールと一体となったパイプオルガンも含め、同会館の機能存続を強く願うものである。
 以上、決議する。

第68号・はり・きゅうの施術補助の継続を求める決議

 来年4月から、75歳以上を対象とする「後期高齢者医療制度」が施行される。これに関連して、「福岡県後期高齢者医療に関する条例」が、本年11月、福岡県後期高齢者医療広域連合議会において議決された。
 しかし、同条例では、現在、本市が国民健康保険の保健事業として実施している「はり・きゅうの施術補助」が実施されないことが明らかとなった。その理由として、各市町村の国民健康保険におけるはり・きゅうの施術補助の実施形態がそれぞれ異なることと、財政上の問題が挙げられている。
 このことから、来年4月からは、本市の国民健康保険加入者は、75歳になると、はり・きゅうの施術補助を受けられないことになる。このように、後期高齢者医療制度の導入によって、従来の福祉施策が後退することは絶対に許されない。
 よって、本市議会は、本市に対し、来年4月以降は、75歳以上の市民を対象に、はり・きゅうの施術補助を、新規事業として実施することを求めるものである。
 以上、決議する。

このページの作成者

市議会事務局政策調査課
〒803-8501 北九州市小倉北区城内1番1号
電話:093-582-2632 FAX:093-582-2685

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