【表紙・1ページ目】 障害を理由とする差別をなくし誰もが共に生きる北九州市づくりに関する条例  (通称 障害者差別解消条例)  平成29年12月20日施行(令和6年4月1日 一部改正) (イラスト 人権の約束事運動 マスコットキャラクター モモマルくん) 「北九州市に住んでいる誰もが 障害の有無にかかわらず お互いの人格と個性を尊重し合いながら 共に生きる地域社会の実現を目指します。」 北九州市 ▲[音声コード] ---------------------------------------- 【2ページ目】 1.『障害者差別解消条例』とは? 「障害者差別解消法」の趣旨を踏まえ、市、事業者および市民が協力して、「障害を理由とする差別」の解消に向けて主体的に取り組み、共生社会の実現を目指すための条例です。  令和6年4月1日に一部が改正され、事業者の合理的配慮の提供が義務となるなどの変更がされました。 <ポイント1>障害のある人 「障害のある人」とは、障害者手帳をもっている人のことだけではありません。身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病など、心や体のはたらきに障害がある人で、「社会的障壁」によって、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人のことです。 ●社会的障壁とは? 障害のある人にとって、日常生活や社会生活を送る上でバリアとなるようなものを指します。  1. 社会における事物 (通行、利用しにくい施設、設備など)  2. 制度 (利用しにくい制度など)  3. 慣行 (障害のある人を意識していない慣習、文化など)  4. 観念 (障害のある人への偏見など)  →障害を「社会モデル」として考える  「社会モデル」とは、障害は、社会と心身機能の障害があいまってつくりだされているものであるという考え方であり、社会的障壁を取り除くことは社会の責務・社会全体の問題であるとする考え方です。  「社会モデル」に対して、障害は個人の心身機能の障害によるものであるという考え方を「医学モデル」といいます。 障害者差別解消条例Q&A Q.この条例を制定した背景は? A.平成18年、国連で「障害者権利条約」が作られ、国際的に障害のある人の尊厳と権利を保障する意識が高まります。この流れの中、国内では障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成28年に「障害者差別解消法」が施行されました。北九州市では、この法律の趣旨をふまえ、障害のある人などと意見交換を重ねながら、一緒にこの条例を作りました。 ▲[音声コード] ---------------------------------------- 【3ページ目】 <ポイント2>条例の主な要点  障害のある人の差別を解消するため、「不当な差別的取扱い」の禁止、市及び事業者が行う「合理的配慮」及び「環境の整備」などについて、規定しています。  (モモマルくんイラスト)「障害のある人を気づかないうちに差別していませんか?」 <ポイント3>市の責務や事業者・市民の役割 [市] ○障害を理由とする差別の解消に関する施策を実施すること。 [事業者] ○障害および障害のある人に対する理解を深めるための研修などの取組を行うように努めること。 ○障害を理由とする差別の解消に関する施策へ協力するように努めること。 [市 民] ○障害および障害のある人への理解を深めるとともに、障害のある人やその家族などが必要な支援を周囲に求めることができるようなまちづくりに努めること。 ○障害を理由とする差別の解消に関する施策へ協力するように努めること。 ▲[モモマルくんイラスト] 「できることを考えましょう!」 <ポイント4>差別に関する相談と解決の仕組み 障害を理由とする差別に関する相談は、まずは、「障害者差別解消相談コーナー」で専門相談員が対応します。それでもなお解決が難しい場合には、「北九州市障害者差別解消委員会」による助言・あっせん等を行うことで、問題の解決を図ります。 <ポイント5>障害および障害のある人への理解の促進 障害者団体と市が、協働して啓発活動に取り組むことにより、障害および障害のある人に対する理解の促進を図ります。(出前研修、障害者週間(12月3日~9日)を中心とした街頭啓発や文化・芸術、スポーツイベントなど)  市は、障害を理由とする差別やその解消のための取組に関する情報を収集して、情報提供を行います。 障害者差別解消条例Q&A Q.この条例でいう「事業者」って? A. 様々な事業やサービスを提供する会社やお店などのことです。営利・非営利、個人・法人かは問いません。個人事業やボランティア活動をするグループなども「事業者」に入ります。 ▲[音声コード] ---------------------------------------- 【4ページ目】 2. 「不当な差別的取扱い」は禁じられています  障害を理由とした「不当な差別的取扱い」とは?  障害のある人に対して、正当な理由なく、障害や障害に関連することを理由として、サービスの提供を拒否することや、サービスの提供にあたって場所や時間帯を制限すること、障害のない人にはつけない条件をつけたりするようなことです。 ▲[モモマルくんイラスト] 具体的に禁止されることは?  正当な理由なく、以下のような行為は、行ってはなりません。  (例1)介助者などがいないことを理由に、一律に入店を拒否する。(イラスト レストラン前で車いす利用者が店員に断られている)  (例2)「障害者向け物件はない」と言って対応しない。(イラスト 不動産屋のドアがぴしゃりと閉められている)  (例3)身体障害者補助犬(盲導犬など)の同伴を理由に乗車を拒否する。(イラスト 盲導犬を連れた人がタクシーの運転手に断られている) 「身体障害者補助犬法」においても、補助犬の同伴を受け入れることが義務付けられています。  他にも   障害があることを理由として一律に接遇の質を下げる。  学校の受験や入学を拒否する。  障害のある人を無視して、家族や支援者等だけに話しかける。など ▲[音声コード] ---------------------------------------- 【5ページ目】  条例では、「不当な差別的取扱い」に当たる行為を8つの分野ごとに例示することで、より効果的な啓発に役立てます。  北九州市「障害者差別解消条例」に例示されている分野  福祉サービス、医療、商品販売・サービス提供、労働・雇用、教育、公共施設・公共交通、不動産の取引、情報の提供・意思の表示 差別が解消できない「正当な理由」がある場合には?  正当な理由に相当するかどうかは、事案ごとに、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。  正当な理由があると判断した場合には、障害のある人にその理由を説明し、理解を得るよう努める必要があります。 Q&A  Q.個人的に障害のある人と接するような場合も、この条例の対象になるの?  A.一般の人は、対象にしていません。しかし、差別のない社会の実現に向け、条例では一般の人も障害のある人に対する理解を深めるように努めることを求めています。 ▲[音声コード] ---------------------------------------- 【6ページ目】 3. 市や事業者は「合理的配慮の提供」をしなければなりません 「合理的配慮」とは?  障害のある人から配慮を求められた場合に、過度な負担とならない範囲で、社会的障壁を取り除くための必要かつ適切な現状の変更または調整を行うことです。    (例えば)  障害のある人から「申請をしたいが、制度の理解が難しく、また細かい文字も読みづらいため、サポートをしてほしい」と申し出があった。  →制度の説明や読み上げなどを行い、申請のサポートを行う。  ※今後、制度について分かりやすく説明したり大きな字で表記したりしたリーフレットを作成し、体制を整えることは「環境の整備」につながります。  障害のある人から配慮の申し出があった場合、市や事業者は、その内容や障害の状態に応じて対応することが必要です。特別扱いではなく、障害のある人もない人も平等な状況を整えることが目的です。  対話のためのポイント  障害のある人から合理的配慮の求めがあった場合、以下の3点に留意しましょう。  1 求めの内容を具体的に聞く。  2 対応が難しい場合、代替手段がないか、よく話し合う。  3 対応できない場合、その理由を説明し、理解を得るように努める。  「前例がありません」「特別扱いできません」などといった漠然とした理由でお断りするのはNGです。  Q&A  Q.合理的配慮を提供するときの「過度な負担とならない範囲」とは?  A.過度な負担となるかどうかは、事務・事業への影響の程度、実現可能性の程度、費用・負担の程度、事務・事業規模、財政・財務状況などの点から、総合的・客観的に判断する必要があります。負担が大きくなりすぎない範囲で、それぞれができることを考えましょう。  (例えば)  混雑時、視覚障害のある人から買い物補助の求めがあった際、今は混雑しているため長時間の対応はできないと伝えた上で、代替案の提案をする。  代替案の例 買い物リストに沿って商品の準備ができることを伝える。対応可能な時間帯を伝える。など ▲[音声コード] ---------------------------------------- 【7ページ目】  障害に応じた「合理的配慮」の例や、留意したいこと  合理的配慮の内容は個別の場面に応じて異なるため、以下はあくまで一例です。    「視覚障害のある人」  まったく見えない人と見えにくい人がいます。  要望に応じて状況を言葉で説明する、書類の代筆を認めるなどを行いましょう。  資料配布の際は、音声読み上げソフト対応のテキストデータや点字を用意しましょう。  (イラスト 大きなマークで書いてある資料を渡している)  「聴覚障害のある人」  ・まったく聞こえない人と聞こえにくい人がいます。  ・手話、口話、身振り、筆談など、コミュニケーション方法が様々です。  ・筆談用メモなどの用意のほか、要望に応じて手話通訳や要約筆記などの手配をしましょう。  ・窓口などでの案内は、目で見て分かる方法を取り入れましょう。  「言語障害のある人」  ・様々な原因により、言葉の意味が理解できない人や言いたい言葉が出ない・文字で書けない人、声を出すための機能に障害がある人がいます。  ・ゆっくりと、分かりやすい言葉で話したり、要点は文字や数字で書いたりしましょう。  (イラスト カレンダーの日付を指さしながら説明している) ▲[音声コード] ---------------------------------------- 【8ページ目】  「肢体不自由の人」  ・上肢・下肢・体幹の機能の一部または全部に障害があります。 ・「立つ」「座る」「歩く」「物の持ち運び」「字を書く」など、日常生活の動作が難しい場合があります。  ・安全な通路の確保やドアの開閉、書類の代筆などを行いましょう。  「内部障害のある人」  ・内臓の機能に障害があり、外見では分からないことが多いです。  ・長時間立ったままの姿勢などが困難なことがあります。疲れている様子であれば、座ってもらうようにしましょう。  ・トイレの設備に不便を感じる場合があります。オストメイト対応トイレを案内するなどの対応をお願いします。  「知的障害のある人」  ・複雑な話や抽象的な話を理解しにくい人や、ひとつの行動に執着する人など、障害のあらわれ方には個人差が大きいです。  ・ゆっくり穏やかに話しかけてみたり、発声やこだわりのある行動をした際には、落ち着けるための場所を確保したりするなどの対応を行いましょう。 「発達障害のある人」  ・脳機能の発達に関係する障害です。  ・曖昧な表現が理解しにくいため、絵や写真を使いながら、できるだけ簡潔に伝えましょう。 ・前もってスケジュールを提示するなど、見通しを持てるようにしましょう。 ・感覚が過敏な人や気の散りやすい人には、状態に応じて環境を整えましょう。  「精神障害のある人」  ・日常生活や社会生活のしづらさを抱えています。  ・適切な治療・服薬と周囲の配慮で安定した生活を送ることができます。精神疾患を正しく理解し、穏やかな対応を心がけましょう。  「高次脳機能障害のある人」  ・頭部のけがや病気などで脳に損傷を負い、言葉が出にくいことや、感情や行動の調整が難しいことがあります。  ・外見からは分かりにくいため、十分に理解が得られない場合があります。  ・ゆっくり、はっきり話したり、絵や写真を使って説明をしたりしましょう。 ▲[音声コード] ---------------------------------------- 【9ページ目】  「難病患者の人」  ・治療法が確立されていない完治が難しい疾患で、体調に波がある、疲れやすいなどの症状があります。  ・本人の状態や配慮すべきことを聞いて対応しましょう。 複数の障害を併せ持つ場合もあるため、必要な調整は様々です。障害のある人との対話を大切にしましょう。 障害のある人に関するマーク 「ヘルプマーク」  外見からは分からない障害のある人などが、配慮を必要としていることを知らせるマークです。ヘルプマークをつけている人を見かけたら、電車やバスで席をゆずる、困っているようであれば声をかけるなど、思いやりのある行動をお願いします。 北九州市役所で配布しています。電子申請、郵送、電話、ファックスでお申し込みください。 (申込先)〒803-8501 北九州市小倉北区城内1番1号   電話 093-582-2453  ファックス 093-582-2425 「ヘルプカード」 ヘルプマークと同様に、外見からは分からない障害に対する理解促進のために、北九州市が作成しました。各区役所高齢者・障害者相談コーナー、各出張所で配布しています。 「ハート・プラスマーク」  「身体内部に障害のある人」を表すマークです。内部障害の人は、外見から不自由さが分かりにくいため、誤解を受けることがあります。このマークを見かけたら、内部障害について理解と配慮をお願いします。 北九州市ホームページでは、上記以外の障害のある人に関するマークなども掲載しています。 合理的配慮についてもっと詳しく知りたいときは 内閣府ホームページ「合理的配慮サーチ」、「障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト」 北九州市ホームページ「相談事例等の提供について」 ▲[音声コード] ---------------------------------------- 【10ページ目】 4. 「環境の整備」は「努力義務」 ~事前の改善措置に努めましょう~  不特定多数の障害のある人などの利用を想定して、環境や体制を整えることを「環境の整備」といいます。  合理的配慮を必要とする人が多数見込まれる場合などは、「環境の整備」が効果的です。  環境の整備を行う際は、障害のある人の意見を取り入れると実態にそったものになります。  例1 タブレット端末を購入し、店員の会話を文字に変換するアプリを導入する。  例2 視覚障害のある人や車いす利用者が利用しやすいように、十分な通路の幅を確保する。 「環境の整備」と「合理的配慮」の違い  「環境の整備」とは、不特定多数向けに事前の改善措置を行うものです。  「合理的配慮」とは、環境の整備を基礎として、個別に実施される措置のことです。  環境の整備を行うことで、合理的配慮の提供が不要となる場合がありますが、人によって必要な配慮も異なるため、環境の整備を行った後でも合理的配慮を行うための対話を行いましょう。 例えば…  電車のプラットホームの段差や隙間を縮小し、乗降しやすくすることは「環境の整備」、障害のある人の求めに応じ、乗降の都度スロープをかけることは「合理的配慮の提供」にあたります。 知っていますか? 情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法(略称)  障害のある人による情報の取得利用・意思疎通に係る施策を総合的に推進し、共生社会の実現に資することを目的として制定されたものです。  情報保障の対応については、「合理的配慮」や「環境の整備」を促進するものとなります。 情報保障の対応例  1 会議資料を送付する際、視覚障害のある人の対応として、音声読み上げソフトで読めるようテキスト形式の資料を送付する。  2 動画を作成する際、聴覚障害のある人の対応として、字幕付きのものを用意する。 ▲[音声コード] ---------------------------------------- 【11ページ目】 5.障害を理由とする差別に関する相談と解決の仕組み  障害を理由とする差別に関する相談は、まずは、「障害者差別解消相談コーナー」で専門相談員が対応します。それでもなお解決が難しい場合には、「北九州市障害者差別解消委員会」による助言・あっせん等を行うことで、問題の解決を図ります。  相談 (モモマルくんイラスト)「このようなことはありませんか?」  障害のある人、家族、関係者など  障害を理由にサービスの提供や入店を拒否された。 事業者  障害のある人から配慮の申し出があったが、適切な対応方法がわからない。 →障害者差別解消相談コーナー(事実確認・関係者間の話し合い・調整) 障害を理由とする差別に関する相談を受け付け、事案の解決に至るまでの支援を行います。 電話 093-582-5515 FAX 093-582-5516  Eメール s-kaishou@mail2.city.kitakyushu.jp  相談時間 平日 8:30から17:00(土曜日、日曜日、祝日及び年末年始を除く)  場所 北九州市役所8階 北九州市小倉北区城内1番1号  (モモマルくんイラスト)「お気軽にご連絡ください」  相談による解決が難しい場合  相談者(障害のある人、家族、関係者など)  →「北九州市障害者差別解消委員会」による助言・あっせんの申立て  →市長(事実の調査・調査結果の通知および 助言・あっせんの求め)  →北九州市障害者差別解消委員会(事実の調査および審議・助言・あっせんを行うか否かの決定)→助言・あっせん→解決  助言・あっせんに従わない場合  →市長(勧告・公表) ▲[音声コード] ---------------------------------------- 【裏表紙・12ページ目】 ●出前研修のご案内  出前研修のご案内  「障害者差別解消条例のことを知りたい」  「障害のことをもっとよく学びたい」  「合理的配慮の提供について詳しく知りたい」  「障害のある人や家族などのお話を聞きたい」  などのご要望にお応えして、出前研修を開催します。  研修内容や開催場所についてはご相談に応じます。  まずは「障害者差別解消相談コーナー」へお気軽にご相談ください。  電話 093-582-5515  ファックス 093-582-5516  メールアドレス s-kaishou@mail2.city.kitakyushu.jp  (モモマルくんイラスト)「行きますよ!」  障害者差別解消条例の条文などは、北九州市ホームページでご覧いただけます。  http://www.city.kitakyushu.lg.jp/ho-huku/17600357.html  知っていますか?「音声コード」  (印刷されたパンフレットには)視覚障害のある人など向けの「音声コード」がついています。スマートフォンアプリや活字文書読み上げ装置を使って、掲載されている内容を音声で聞くことができます。  〈発行〉  北九州市保健福祉局障害福祉部障害福祉企画課  〒803-8501 北九州市小倉北区城内1番1号  電話:093-582-2453  ファックス:093-582-2425 ▲[音声コード]