令和2年度北九州市障害福祉サービス等ニーズ把握調査報告書(概要版)
令和2年12月北九州市保健福祉局作成

第1章 調査の概要
第1節 北九州市障害福祉サービス等ニーズ把握調査

1調査目的
この調査は、「第6期北九州市障害福祉計画」及び「第2期北九州市障害児福祉計画」等の基礎資料とするとともに、今後の障害福祉施策の参考とするため、北九州市内に在住する障害のある人に対して、生活実態やサービス利用状況等について調査したものです。
2調査の概要
(1)調査方法 郵送によるアンケート
(2)調査実施時期 令和2年9月1日から令和2年9月30日までの1か月間
(3)調査対象者数 5259人
3アンケートの回収状況
身体障害のある人は、2095人のうち、938人が回答(44.8%)
知的障害のある人は、985人のうち、428人が回答(43.5%)
精神障害のある人は、1439人のうち、561人が回答(39.0%)
障害のある子どもは、357人のうち、159人が回答(44.5%)
難病患者は、383人のうち、191人が回答(49.9%)
合計で、5259人のうち、2277人が回答(43.3%)
※なお、発達障害のある人の集計については、各障害種別の調査結果のうち、「発達障害と診断されている」と回答した人を抽出し集計を行いました。発達障害と診断されている回答者数は、441人です。

第2章 主な調査結果
第1節 調査対象者の属性
対象者の年齢についてみると、身体障害のある人では50歳代、知的障害のある人では30歳代、精神障害のある人では40歳代、難病患者では60から64歳、発達障害のある人では20歳代の割合が最も高くなっています。
重複障害のある人の状況をみると、知的障害と発達障害、難病と身体障害の重複率が高くなっています。
障害のある子どもについてみると、約7割に身体障害、約6割に知的障害、約5割に発達障害がある結果となりました。

第2節 暮らしの状況
1.住まい・暮らしの状況について
現在の居住の状況については、全ての障害種別において、家族と同居している人の割合が高くなっています。身体障害のある人、精神障害のある人においては、2割程度の人が一人で暮らしており、他の障害種別よりも高い傾向となっています。
現在、入院もしくは入所している人の今後3年以内の居住意向については、身体障害のある人、知的障害のある人、難病患者、発達障害のある人において、現在のままの生活を希望する人がそれぞれ5割以上と高い傾向となっています。
自身が希望する場所で生活していくために必要な支援については、障害のある子ども以外の障害種別において、「緊急時や困ったときにいつでも相談でき、必要な支援を受けることができる体制」が最も高くなっています。
主な介助者としては、知的障害のある人、障害のある子ども、発達障害のある人においては両親の割合が高く、身体障害のある人、精神障害のある人、難病患者においては、「介助の必要はない」とする人の割合が高い傾向となっています。
主な介助者の年齢については、障害のある子ども以外の障害種別で「50歳以上」の割合が6~8割と高く、健康状態も「健康に不安がある」「病気がちである」を合わせた割合が4~5割と、介助者が高齢化し健康面に不安があることがうかがえます。
主な介助者が不在時の代わりの介助者については、全ての障害種別において「他の家族や親族」が最も高くなっています。

2.通院・通所状況について(回答は精神障害のある人のみ)
精神科病院への通院状況について、精神障害のある人のうち、約8割が現在も通院しており、その頻度は約6割が月に1回となっています。また、約3割の精神障害のある人に入院経験があり、そのうち約4割は退院から5年が経過しています。
福祉施設への通所状況について、約3割の人が通所しており、そのうち4割以上の人が「障害福祉サービス事業所」に通所しています。福祉施設への通所歴は、「5年以上」が21.5%で最も高く、「2年~5年未満」も19.6%と、約4割の人が2年以上通所しています。

3.心身の状況について(回答は精神障害のある人のみ)
現在の心の状態について尋ねたところ、「かなり良くなっている」「少しずつ良くなっている」を合わせた約4割の人が、心身が安定している状態である一方、「不安定である」とした人は24.1%でした。
ADL(日常生活動作)、IADL(手段的日常生活動作)の変化については、いずれも約4割の人が「あまり変化はない」結果となりました。一方で、「少し変化がある」「かなり変化する」「時によって異なる」を合わせた約5割の人については、心の状態に変動がある結果となりました。

4.学校や教育について(回答は障害のある子どものみ)
学校での発達障害に対する理解については、「十分に理解されている」が52.2%で最も高く、次いで「十分とはいえないが、理解されていると思う」が29.6%となっており、合わせて8割以上の人が理解されていると感じている結果となりました。

5.仕事について
現在の就労の状況については、いずれの障害種別においても、約4~5割の人が現在就労しており、身体障害のある人、精神障害のある人、難病患者については、「過去に就労経験があるが現在は働いていない人」がそれぞれ3割程度となっています。
職種については、難病患者以外の障害種別では、「作業所での軽作業」、難病患者については、「医療、福祉」の割合が高くなっています。
就労形態については、身体障害のある人、難病患者で正規雇用の割合が高くなっています。
仕事を辞めた、あるいは辞めざるを得なかった主な理由としては、全ての障害種別で「障害や病気で身体的に働くことが困難になったため」の割合が高く、知的障害のある人、精神障害のある人、発達障害のある人では、「仕事をうまくこなしていくことが出来なかったため」「職場の人間関係がうまくいかなかったため」などを理由に挙げる人の割合も高くなっています。
今後の就労意向については、精神障害のある人、難病患者、発達障害のある人において「仕事をしたい」とする人がそれぞれ4割以上となっています。
働くために必要なことについては、難病患者以外の障害種別において、「障害にあった仕事であること」「周囲が自分の障害を理解してくれること」とする人の割合が高くなっています。精神障害のある人、難病患者については、「勤務時間や日数の短縮などの配慮があること」の割合が高く、勤務条件の配慮を必要とする人が多い傾向となりました。

6.日中の過ごし方や外出の状況について
学校を卒業した人について、身体障害のある人、精神障害のある人、難病患者、発達障害のある人では、「自宅で過ごす(家事・家業の手伝い、家庭療養、家族と過ごすなど)」がそれぞれ最も高くなっています。知的障害のある人については、「就労移行支援事業所・就労継続支援事業所・小規模共同作業所など」が34.4%で最も高く、精神障害のある人、発達障害のある人においても、それぞれ3割以上となっています。難病患者については、「職場(正社員、パート・アルバイト)に行く」も46.9%となっています。
外出の頻度については、全ての障害種別において、月に半分以上外出する人が5割以上となっており、障害のある子どもについては86.8%と高くなっています。
外出時に介助者を必要とする人は、身体障害のある人、知的障害のある人、障害のある子ども、発達障害のある人で高い傾向となっています。
外出時に困ったことについては、身体障害のある人、障害のある子ども、難病患者については「歩道や建物に階段や段差が多い」、知的障害のある人、精神障害のある人、発達障害のある人では、「まわりの人の目が気になる」の割合がそれぞれ最も高くなっています。

第3節 支援体制と障害福祉サービス
1.生活に関する悩みなどの相談について
生活に関する悩み・不安の相談先としては、全ての障害種別において、「家族や親せき」の割合が最も高くなっています。
家族や親せき以外の相談先については、身体障害のある人、知的障害のある人、発達障害のある人で「利用している施設や事業所の職員」、精神障害のある人で「通院している医療機関の職員」、障害のある子どもで「通院施設や学校などの先生」、難病患者で「友人・知人」など、障害種別により傾向に違いがみられます。
相談機関に必要なこととして、難病患者以外の障害種別においては、「問題が解決するまで相談にのってくれる体制」とする人が多く、難病患者については、「障害者や難病患者が気軽に相談できる窓口」を求める声が多い傾向となっています。

2.障害福祉サービス等の利用について
障害福祉サービス等の利用状況については、いずれの障害種別においても、利用率が高いもので2~3割程度となっていますが、障害のある子どもでは、「放課後等デイサービス」が51.6%と利用率が高くなっています。
地域生活支援等の利用状況についても、いずれの障害種別においても利用率は1割未満から1割程度となっているものの、障害のある子どもでは「日常生活用具の給付・貸与」が25.2%と高くなっています。
障害福祉サービス、地域生活支援ともに、利用率が比較的低いものの、利用サービスに対する満足度は、全体的に高くなっています。