友好都市である中国・大連市とは、昭和56年に大連市で「公害管理講座」を開催して以来、長年にわたって積極的な環境協力を進めています。特に平成5年10月に大連市で開催した「大連‐北九州技術交流セミナー」は、大連市はもとより中国政府からも高い評価を受けました。これらの実績を踏まえて同年12月に北九州市側から「大連環境モデル地区計画」を提案するとともに、その実現に向けて積極的に協力することを表明しました。
「大連環境モデル地区計画」は、大連市を中国における環境改善のパイロットモデルに位置づけ、様々な環境改善事業を行うことにより、環境と調和した持続可能な開発を実現し、清潔で美しい国際都市にするとともに、その成果を中国全土に普及させようとするものです。
この計画の実現に向けて、本市はODA(政府開発援助)を活用して環境改善のマスタープランを策定することを提案し、これを受けた中国政府は日本政府に対しODAによる開発調査を申請し、平成8年2月には正式に採択され、12月から開始されました。
この開発調査は、北九州市と国際協力事業団(JICA)が初めての試みとして共同調査を行うものであり、自治体レベルの国際協力が本格的な環境ODA案件に発展した初めてのケースとしても注目されています。本市は、環境行政(法制度、組織体制等)、環境モニタリング、下水処理、工場の低公害型生産技術(クリーナープロダクション)の分野において、本市に蓄積された経験と技術を活かした調査を行いました。平成12年1月までに第7次にわたる現地調査を終了し、延ベ67名の専門家を派遣しました。この中で、環境改善の重要な対策について実施可能性調査を行い、平成12年3月に環境保全基本計画を作成して、調査を終了しました。なお、開発調査全体の監理、技術的な指導を行うためのJICA総裁の諮問機関として設置された「作業監理委員会」には、市職員が3名参加しました。