北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs

スペースワールド駅改札前広場
チェ・ジョンファ CHOI Jeong Hwa

1961年韓国生まれ、同地在住。弘益大学校絵画科卒業。韓国を代表するアーティスト。「第51回ヴェネチア・ビエンナーレ」(イタリア、2005)では韓国館の代表に選ばれたほか、リバプールやシドニー、台北、リヨンなど世界中の芸術祭に参加している。また、平昌2018パラリンピック冬季競技大会では、開会式・閉会式のアートディレクターを務めるなど活躍の幅を広げている。日常の事物から作品の着想を得て、強烈な色使いとダイナミックな造形で花や雲と空、などを制作し非日常的な彫刻作品をつくりあげ、我々の気づいていなかった視点をもって現実のあり方を見直すことを促している。主な展覧会に「六本木アートナイト2019」(東京、2019)、「Blooming Matrix 花ひらく森」(GYRE GALLERY、東京、2019)など。

Gardening

2021

作品紹介

いまはない宇宙のテーマパーク「スペースワールド」の名前を冠した駅前の広場にカラフルな野菜と果物のバルーン彫刻を出現させます。絶えず空気が送り込まれ、生き生きと躍動する彫刻たち。ここで取り上げられている野菜や果物は、地球環境が良くなければ得られない自然の恵みです。またそれを表現する大型彫刻は地球環境の重要な要素である空気によって形を保ち、大気の存在を思い起こさせると同時に、気候変動の問題にも目を向けさせるでしょう。私たちは自然や地球環境のおかげで、命を持続させています。明快でカラフルなポップアートが、大地への感謝を促し、今一度自然に向き合う機会をつくりだすでしょう。

東田第一高炉跡
石井 リーサ 明理 Akari-Lisa ISHII

照明デザイナー。1971年東京都生まれ。日米仏でアートとデザインを学び、照明デザイン事務所勤務後、2004年にI.C.O.N.を設立。現在パリと東京を拠点に、都市、建築、インテリア、イベント、展覧会、舞台照明までをこなす。世界各地でのプロジェクトに参加する傍ら、絵画制作、講演、執筆活動も行う。主な作品にジャポニスム2018エッフェル塔特別ライトアップ、銀座・歌舞伎座、ポンピドーセンター・メッツ、コロッセオ・光のメッセージ、パルファン・ディオール(シャンゼリゼ店等)、リヨン光の祭典等。フランス照明デザイナー協会正会員。国際照明デザイナー協会正会員。著書『アイコニック・ライト』(求龍堂)他。国際照明学会エクセレンス賞、フランス照明デザイナー協会照明デザイン大賞、リヨン光の祭典グランプリ等受賞多数。「日本を代表する女性120人」(文藝春秋)の一人。東京都観光促進を考える有識者会議、東京オリンピック競技大会ブランディング委員会委員。

LIGHT X(ライト・クロス)

2021

作品紹介

東田地区の歴史を象徴する歴史的な遺物はなんといっても、高炉ではないでしょうか。日本の近代化を牽引し、現在でも力強くそびえ立つこの高さ70mの東田第一高炉が多様な光の表現によって、巨大なライト・アート・インスタレーションに変身します。この作品では、北九州の歴史や、現在のパワー、今後の発展を表現して、高炉壁面に展開します。また照明の電源には、水素エネルギーを使った最新技術も活用し、環境問題に関する一つの解決策を象徴的に可視化します。光のドラマにあわせて、オリジナルの音響効果を加えたインスタレーションの動画は、ネット上で幅広く配信する予定です。毎夜5分毎に繰り返し壮大な光のスペクタルを展開します。

北九州イノベーションギャラリー
田中浩也研究室+ METACITY(青木竜太) Keio SFC Hiroya Tanaka Lab. + METACITY (Ryuta AOKI)

田中浩也研究室
(田中浩也、名倉泰生、青山新、河井萌、知念司泰、松木南々花、大村まゆ記)
デザインエンジニアリングの視点から、デジタル・ファブリケーションや3D/4Dプリンティングの可能性に国内でもっとも初期から着目。その先端を開拓し、デザイン・テックベンチャーを起業する卒業生も多く輩出。現在は「特殊造形技法」の発明・開拓、「デザイン言語」の整理・体系化、「未来の都市空間・都市生活のビジョン」の妄想・創造、この3つを軸に研究を深化させている。

METACITY(青木竜太)
METACITYは、思考実験とプロトタイピングを通して「ありうる都市」の形を探求するリサーチチーム。茶の湯のアート集団「The TEA-ROOM」、雑誌「WIRED」、エンジニア集団「CARTIVATOR」、4Dファブリケーションラボ「田中浩也研究室」、都市研究をおこなう「MIT Media Lab City Science Group」とそれぞれ共同プロジェクトを実施し、現在40名ほどのアーティストや研究者やエンジニアが活動している。

Bio Sculpture

2021

作品紹介

慶応義塾大学SFC田中浩也研究室とMETACITYによる協働プロジェクト。大型の3Dプリンターに複数の自然素材を採用し、それにデジタル技術で新たな形態と構造を与え、「人新世」の時代の社会彫刻を模索します。近年、地球温暖化により世界中で森林火災が発生しており、多様な生態系が一瞬で焼失する出来事が頻発しています。このグループは森の深部から採取してきた土壌成分の一部を都市空間に移植し、新たな環境下でその潜在力を可視化しようとします。そしてそれを新たな「器」と名付けています。器は、ひだ構造が付与された赤玉土と籾殻からなり、さらに表面に9種類の異なる苔を蘇生させ、温度・湿度・CO2・空気の汚れ等を自律的に調節するよう設計されています。グループは「この器で、採取してきた土壌が活性化し、そこに宿っている目に見えない森の生態系が、新たな姿を伴って顕在化したとき、本作は真の意味で完成となるでしょう」と語っています。
なお、作品の一つは、北九州イノベーションギャラリーの中庭に移設して展示しています(2022年2月現在)。また、令和4年3月、第25回文化庁メディア芸術祭 アート部門 ソーシャル・インパクト賞を受賞しました。

ライゾマティクス Rhizomatiks

技術と表現の新しい可能性を探求し、研究開発要素の強い実験的なプロジェクトを中心に、ハード・ソフトの開発から、オペレーションまで、プロジェクトにおける全ての工程に責任を持ち、人とテクノロジーの関係について研究しながらR&Dプロジェクトや作品制作を行う。また、外部のアーティストや研究者・科学者などとのコラボレーションワークを通じ、カッティングエッジな表現作品、研究を世の中に発表している。東京都現代美術館にて大規模個展「ライゾマティクス_マルティプレックス」を開催中。

TT

2021
産業用ロボット提供・技術協力:株式会社安川電機

作品紹介

ライゾマティクスは設立以来、常に人とテクノロジーの関係を問い直し、技術と芸術の新しい可能性を追求する作品を制作しています。今回は北九州を拠点とする産業用ロボットの世界的な企業である安川電機とコラボレーションした映像作品を発表します。ふたつの光源とふたつのオブジェからつくられる二次元の影が観客の前に立ち現れます。この影は3Dスキャンしたダンサーのポーズをもとにつくられた幾何学オブジェを、ロボットアームが正確に動かすことで生成される影なのです。光と影、2次元と3次元、人の動きとロボットの動き、それらの関係をプリミティブに考察する試みです。

和田 永 Ei WADA

1987年東京都生まれ、同地在住。物心ついた頃に、ブラウン管テレビが埋め込まれた巨大な蟹の足の塔がそびえ立っている場所で、音楽の祭典が待っていると確信する。しかしある時、地球にはそんな場所はないと友人に教えられ、自分でつくるしかないと今にいたる。学生時代よりアーティスト/ミュージシャンとして、音楽と美術の領域で活動を開始。年代物のオープンリール式テープレコーダーを演奏する音楽グループ『Open Reel Ensemble』主宰。Ars ElectronicaやSónarを始め、各国でライブや展示活動を展開。2015年より役割を終えた電化製品を新たな電磁楽器へと蘇生させ、徐々にオーケストラを形づくっていくプロジェクト『エレクトロニコス・ファンタスティコス!』を始動させて取り組む。その成果により、第68回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。そんな場所はないと教えてくれた友人に偶然再会、まだそんなことやってるのかと驚嘆される。

BARCODE-BOARDING

2021
BARCODE-BOARDING / BARCODE-PARK 共創チーム:和田永 × 北九州スケートボード協会 × 西日本工業大学
楽器制作協力:田中秀樹、Nicos Orchest-Lab、山元史朗
ボード開発協力:UMIE+NEWOLD
FINGERBOARD SKATE SECTION提供:NUKENUKE CHACCARI
小倉織提供:小倉 縞縞

作品紹介

和田永は廃品となった旧式の電化製品と現代のテクノロジーを融合させながら、新たな楽器や奏法を編み出すパフォーマンスを制作してきました。今回発表する作品は、ストリートカルチャー×エンジニアリングの掛け合わせによる新しい世界です。地元のスケートボーダーたちとのコラボレーションにより、使われなくなった機材や既製品をテクノロジーによって電子音響システムへと再生させ、新たなスケートボードの楽しみ方を提案します。ボーダー(縞柄)で覆われたスケートボードリンクを、改造したバーコードリーダーを装着したスケードボードで滑ることで、レーザーがバーコードを読み取って電子音が発生します。このリンク上で、スケートボーダーたちが会場に音を響きわたらせながら、ワイルドなストリート精神を展開していきます。地元の方々も、遠来の観客も参加できるため、居合わせた人々と即興的な音のパフォーマンスを演じることを可能にします。

いのちのたび博物館
落合 陽一 Yoichi OCHIAI

メディアアーティスト。1987年東京都生まれ、同地在住。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了、博士(学際情報学)。筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター センター長、准教授。2015年World Technology Award、2016年PrixArs Electronica、EUよりSTARTS Prize受賞。Laval Virtual Awardを2017年まで4年連続5回、2019年SXSW Creative Experience ARROW Awards など受賞。 主な個展として「Image and Matter」(マレーシア、2016)、「質量への憧憬」(東京、2019)、「未知への追憶」(渋谷マルイMODI、2020)など。その他の展示として、「AI more than human展(バービカンセンター、イギリス、2019)」、「計算機と自然、計算機の自然」(日本科学未来館、2020)」など多数出展。「物化する計算機自然と対峙し、質量と映像の間にある憧憬や情念を反芻する」をステートメントに、研究や芸術活動の枠を自由に越境し、探求と表現を継続している。

環世界の遠近法 ー時間と空間、計算機自然と芸術ー

2021
3D Phantom提供:株式会社Life is Style

作品紹介

落合陽一は「物化する計算機自然」というキーワードで、計算機(コンピューター)と自然の間の隔たりのない関係性の末に生まれる相互変換を探求しつづけています。今回は会場である自然史博物館の膨大な所蔵品に向き合い、これを高精細の画像で撮影。さらにそのイメージの投影のためにつくりだした新しいメディア装置を使って、北九州で育まれた壮大な生命の物語を、観客を包み込むような様々なメディア装置で描き出します。古代と現代、ミクロとマクロ、人工物と自然物、デジタルとアナログの関係性を往来し、我々が生きている時代とは何か、途切れることのない生命の歴史は何を意味しているのか、人文諸学と自然科学の関係性や地球と持続可能性などの大きな問題を、環世界という観点から問いかけます。

色と円環

2021
Archival Pigment Inkjet Print、布、アルミフレーム
1682 x 2378 mm

作品紹介

生物が作り出した情報と物質のプロセスが数億年の時間を経て鉱物へ返っていく循環について考えている。自然と人工、人類にとっての持続可能な開発というパラダイムを超えたとき、生物と非生物、情報と物質、質量ある自然と質量のない自然の間の循環を俯瞰したときに見える人間存在の在り方とは何だろうか、我々が新たに発明しなければならないのは自然観それそのものなのではないだろうか。

釣針の遠近法

2021
Archival Pigment Inkjet Print、布、アルミフレーム
1682 x 2378 mm

作品紹介

収蔵庫の中を彷徨っていた。古墳から出土した様々な物品を眺めているうちに、釣針に出会った。そして古代の海で海洋哺乳類を釣り上げる古代の人々の姿に思いを馳せた。表面の素材は経年劣化によって鉱物とも人工物とも判別し難い見た目になっているが、この形を見たときに今でもこれを針と呼ぶことのできる道具への身体感覚とはなんだろう。思考の釣り糸を垂らしながら、物品が見せる物語を俯瞰して、人の持つ環世界を描き出そうと思っている。

仏教式タイムカプセル

2021
Archival Pigment Inkjet Print、布、アルミフレーム
1682 x 2378 mm

作品紹介

世界が終わろうとしていると考えるのは人類の愛すべき癖だと思う。いつの時代も人類は世界を終わらせようとしてきた。冷戦時代も、エネルギー危機も、成長の限界も、終末時計も、最後の日をイメージしながらいつでも世界は終わろうとしている。そのくせして進歩のないところが人類の美しい円環性だと思う。終わりを前にすると人は何か永遠なるものに縋ろうとする。永遠なると考えるものは人それぞれ。宗教も、芸術も、科学技術も、未来も、今ここから見える現在でしかない。そんなことを錆びた経筒が語りかけているような気がする。

永遠の猫

2021
Archival Pigment Inkjet Print、布、アルミフレーム
1682 x 2378 mm

作品紹介

液浸標本の中を彷徨っているときに見つけた猫の内臓。探して集めてみると消化管と神経系と肺と心臓と様々なものが見つかった。昭和初期から液浸標本として佇んでいたとするならば、かれこれ100年くらいはこの世界にとどまっているのだろう、そしてこれからもこの世界にとどまり続けていくのだろう。永遠なるものを筒に詰める価値観が美しい。朽ちない身体、毛皮も愛らしい爪もふかふかの尻尾もないけれど、想像上の猫は永遠かもしれない。

非対称性と海洋哺乳類

2021
Archival Pigment Inkjet Print、布、アルミフレーム
1682 x 2378 mm

作品紹介

釣針のことを考えながらハクジラの頭骨を探している。古代の人々はどんなハクジラを捕まえて食べていたんだろう。そしてその一方でハクジラはどんな会話をして人々を見ていたんだろう。収蔵庫で見かけたバンドウイルカの頭骨の非対称性が心地よい。我々の身体骨格は多くの場所で左右対称な構造をしているし、多くの生物はそうだろう。ただしこの骨格の穴の位置を見ていると、そんな常識も意外と捨て去るべきものかもしれないと思えてくる。対称性と非対称性を考えながら、なんだか楽器のようにも、岩石のようにも見え始めている自分がいる。

物質と価値と情報の間に

2021
Archival Pigment Inkjet Print、布、アルミフレーム
1682 x 2378 mm

作品紹介

江戸時代の銀貨。サイズや重さは明確に決まっていないから秤で計って交換することで価値を交換する。価値の交換プロセスに自然の形態を挟むだけで物質と価値と情報の関係性が揺らぐことを感じる。人工的であって、人工的でなく、自然の鉱物のようでもあって、そうでもない。観念的にも見えて、具象性もある。記号としての貨幣の枠からはみ出した存在が問いかける自然と価値の関係性。責任投資原則と現物の間の関係を考えながら身体性を超越した銀貨を眺めている。

宇宙 ∽ 鏡 ∽ 計算機自然

2021
Archival Pigment Inkjet Print、布、アルミフレーム
1682 x 2378 mm

作品紹介

電子回路に用いる基板を眺めているときに自然や宇宙を感じることがある。都市の広がりや人為的な構造の遠近的な周期性。収蔵庫で紀元前の中国で作られた鏡の紋様を眺めている。四方に囲まれた宇宙の全てをここに表現しているらしい。古代の人にとっての質量のない自然の入り口は、ひょっとしたら鏡だったのかもしれない。光で記述されているものの、触覚や嗅覚を伴わない鏡写の世界は、もう一つの世界をイメージさせるには十分だったのかもしれない。今でも我々は変わらずもう一つの世界を探している。ミラーワールド、デジタルな身体、写し鏡、様々な呼び方を重ねながら周期的にインフラを作り替えていく人類行動は愛おしい。(中央作品)

計算機自然の彫刻

2021
Archival Pigment Inkjet Print、布、アルミフレーム
1682 x 2378 mm

作品紹介

様々な棒状のアンモナイトの亜種を眺めている。岩と不可分になった生物の痕跡、一つの大きな自然の彫刻。コンピューティングと生物を分ける線引きがあまり見つからないように、様々な工程で計算機科学と自然科学の接続が見え始めている。計算幾科学の対象はなんだろうか? 自然科学の対象が元来の自然ならば、計算機科学の対象は計算機自然というべき大きな自然なのではないだろうか。その大きな自然は生物が編み出した情報プロセスの上に横たわっている。フラクタルもチューリングパターンもパーリンノイズも敵対的生成ネットワークも、データが生み出す構造は美しい。

環世界の遠近法

2021
石英、半導体レーザー、モーター、鉄

作品紹介

時間と空間、その近くと遠く、過去と未来を通底して表現するための表現手法を探していた。昔から点光源に興味を持っていたが、なかなか展示に十分な点光源を開発することは難しかった。十分な明るさの極小の点光源を生成することができれば近くのフィルムも遠くのフィルムもレンズ無しに投影することができ、距離を超えて近いものは大きく、遠いものは小さく映し出すことができる。この遠近法と環世界を象徴する環状の投影機を構成するために、石英の中心に半導体レーザーを集光し新しい点光源を開発した。滲む虹色のスペクトルと円環をなす収蔵品を眺めながら、様々な生物の記憶に想いを馳せている。

見立てと身体

2021
Archival Pigment Inkjet Print、布、アルミフレーム
1682 x 2378 mm

作品紹介

収蔵庫を彷徨いながらハクジラの頭骨の化石を色々な角度で眺めているうちに、首のない土偶に見える角度があった。鉱物と人工物の間、鉱物と生物痕跡の間を彷徨っている。広がる海や川で人が祈った対象はなんだろうか。自然の中に自分たちの超越存在を見立てて、世界を勝手に解釈し、環世界を構築する。人が何かを拝む様は美しい。それぞれの世界認識のオーバーラップに心酔していく様も、そしてそれによって生まれる儀式も構造物も、愛すべき計算機自然の生成工程だ。

釣針の遠近法

2021
Archival Pigment Inkjet Print、布、アルミフレーム
1682 x 2378 mm

作品紹介

収蔵庫の中を彷徨っていた。古墳から出土した様々な物品を眺めているうちに、釣針に出会った。そして古代の海で海洋哺乳類を釣り上げる古代の人々の姿に思いを馳せた。表面の素材は経年劣化によって鉱物とも人工物とも判別し難い見た目になっているが、この形を見たときに今でもこれを針と呼ぶことのできる道具への身体感覚とはなんだろう。思考の釣り糸を垂らしながら、物品が見せる物語を俯瞰して、人の持つ環世界を描き出そうと思っている。

液浸と波

2021
液晶モニタ、液浸標本

作品紹介

収蔵庫の中の液浸標本に人文歴史資料と自然史資料の融合を見た。自然史資料として保管されている標本の中にあるメモ書きやラベルが自然を切り取る作成者の痕跡を残している。それが融合されて液に沈んで永遠の時を彷徨っている。猫は猫であり、ヤシガニはヤシガニで、ヒトカイチュウはヒトカイチュウのまま、作成者も寄生先も朽ち果てたあとも残り続ける。種の保存が一箇所に並ぶ様は美しい死の祭壇だ。永遠の死をタイムカプセルにして並べた静的な祭壇を質量のない映像が動かしていく。

金属光沢の遠近法

2021
Archival Pigment Inkjet Print、布、アルミフレーム
1682 x 2378 mm

作品紹介

昆虫の体表は美しい。遠くで見れば宝石のようで、近くで見れば長い時間を経た金属のようだ。身体サイズを超えた昆虫を眺めるときその身体は死への意識を超越するほど鮮やかだ。我々の環世界とは違った環世界の入り口がここにあるのかもしれない。

祭と自然化

2021
Archival Pigment Inkjet Print、布、アルミフレーム
1682 x 2378 mm

作品紹介

出土した銅矛を眺めていると、そのテクスチャが海のようにも鮮やかな地表のようにも思えてくる。磨かれた金属が時間を経て錆びて自然化する様子は美しい。近くで見ればそのテクスチャは風景のようで、遠くから見れば生物が作った紋様のようで、人工物と自然物の境界を超越した風景が見える。

骨と石

2021
プラチナプリント

作品紹介

石か骨か、生物痕跡か、はたまた土器のようにも見える。人間が観察する自然、そして自然の中にも存在する「いのちの痕跡」と石の痕跡。人工と自然の区別を超えて眺めれば、生物と非生物、環境の中にある情報の痕跡をなぞる作業が好奇心を掻き立てる。

液浸経

2021
プラチナプリント

作品紹介

裂頭条虫の液浸標本の中に解説文も液浸されている。その様子は経典のようでもあり、液浸容器そのものを経筒のような存在へと変化させている。自然史資料のはずが人文資料にもなりつつある。その様子をプラチナプリントで切り取った。

情念と銭

2021
プラチナプリント

作品紹介

紐で束ねられた銭を眺めていると収集した人々の情念が伝わってくる。一枚一枚個別の銭の歴史資料から感じられなかった人の所作が、束ねられたときに湧き上がってくる。

自然の身体

2021
プラチナプリント

作品紹介

見る角度によって様々な見え方をする蛇の頭骨をプラチナプリントで作成した。自然の姿を様々な見立てを持って眺めていくことは人文と自然を越境する楽しみの一つだ。

生と死の環世界、質量ある自然と非質量の自然の間に

2021
駆動式LEDディスプレイ、骨

作品紹介

コビレゴンドウの骨を眺めながら、観念的な情報の海と死後の世界について考えている。朧げな記憶、光と闇、生命と死、物質と生命、環世界の始まりと終わりの間。計算機自然、それは質量ある自然と質量のない自然が融合した新しい自然。そこにあるのは生きているものと死んでいるものが等価に存在する世界なのかもしれない。産まれ出る姿はデジタルでもアナログでも可能なのかもしれない、そして死は身体喪失と直接的な等価関係ではなくなるのかもしれない。その環世界をイメージしながらコビレゴンドウを通じて描いた。

ジャン・ワン ZHAN Wang

1962年中国生まれ、同地在住。中国を代表する現代美術家。都市と地方、人工と工業といった問題意識を持ちながら、写真、インスタレーション、映像、立体作品によって景観と環境を新しく捉え直す試みを続けている。特に中国の伝統的な庭にある奇岩をモチーフとした、ステンレススティールによる彫刻が有名。ヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア、2003)などの国際展、また世界中の主要な美術館で展示を行ってきたほか、エベレスト山や万里の長城において野外アートプロジェクトも手がける。

Artificial Rock A57

2006
ステンレス・スチール
90 x 60 x 74mm

作品紹介

中国を代表する彫刻家ジャン・ワンの「Artificial Rock」は、中国宋時代より始まった風習、庭園で奇岩を愛でる伝統を現代に引き写した作品シリーズです。制作方法は、実在する奇岩の表面に金属片をあて、叩いて複雑な表面の形を写し取り、その断片をつなぎ合わせて溶接し、最後に磨き上げて、オリジナルの岩と同じ形の彫刻とするものです。ステンレス・スチールの表面を磨き上げるのに、10人ほどの職人で一年かかるといわれています。これまでも同様の手法で大小多数の奇岩をステンレス・スチールでかたどると同時に、作品の表面に映り込む周囲の環境にも注意を向け、写真作品にしてきました。彼の作品は、まさに自然と環境という大きなテーマを内包しています。

北九州市環境ミュージアム
川口 智子、田坂 哲郎、鄭 慶一 Tomoco KAWAGUCHI、Tetsuro TASAKA、Kyungilu CHUNG

川口 智子
演出家。1983年生まれ。2008年より演出活動を開始。音楽・ダンス・映画・伝統芸能等ジャンルを超えた創作、香港や台湾を中心とするアジアのアーティストとの協働企画を展開。主な演出作品にコンテンポラリー・パンク・オペラ『4時48分 精神崩壊』(2020年、東京・北九州にて初演、作:サラ・ケイン)。これからの予定にアジア多言語劇、くにたちオペラ『あの町は今日もお祭り』(作:多和田葉子)など。東京学芸大学非常勤講師、立教大学大学院兼任講師。

田坂 哲郎
劇作家、俳優。沖縄生まれ。2003年に非・売れ線系ビーナスを旗揚げし、福岡市を拠点に活動している。パブリックチャンネル所属。最近では謎解きイベントの企画制作、運営を行っており、うりんこ劇場(愛知)や春日市ふれあい文化センターなどでの実績がある。趣味はリアル脱出ゲーム。九州産業大学非常勤講師。YMCA熊本学院非常勤講師。

鄭 慶一
アートマネージャー / プロデューサー。1986年北九州市生まれ。在日コリアン4世。立命館アジア太平洋大学卒業。2012年より福岡県の民間劇場「枝光本町商店街アイアンシアター」の運営に携わる。2013年同劇場ディレクターに就任。主にコンテンポラリーダンス、ビジュアルアートに携わり、野外ダンスフェ スティバル「枝光まちなか芸術祭」(2013年~)を主宰・ディレクションする。国内外多数のダンサー、カンパニーとの共同事業を行うと共に、様々なアートプロジェクトに関わる。

「こうして、『マチツクリがあった』」展

作品紹介

まちはどのようにでき、これからどのようになっていくのでしょう?6歳~15歳の小学生・中学生総勢28名と一緒に、「まちクラ」と称し演劇の手法を使いながら12日間の「マチツクリ」を行い、まちの始まりから終わりまでを考えてきました。最初の8日間は、北九州市の民間小劇場である枝光本町商店街アイアンシアターを会場に、子どもたちはマチツクリの神様に扮して、家をつくり、他の神々とアイディアを交換し、意思決定のプロセスに行き詰ったりしながら、自分たちが「おもしろい」と思うまちを実際につくってきました。「こうして、『マチツクリがあった』」展は、神々の環境ミュージアム(新天地)への移住をきっかけに、まちの記憶をたどりながら、もっと住みやすい/生きやすいまちについて考える進行中の試みです。

東田大通り公園
奥中 章人 Akihito OKUNAKA

美術家。1981年京都府生まれ、同地在住。あおいおあ / AO Institute of Arts 共同代表。木津川市山城総合文化センター 体感アート講座 主宰。静岡大学教育学部を卒業した奥中は、静岡県立美術館ならびに知的障害者の社会福祉施設にて美術遊びの講師を務めたのちに近現代の思想を学び美術家となった。野村財団、朝日新聞文化財団などの助成を得てフランス・韓国・中国のAIRで長期研修を受ける。各地の地域アートで研鑽を積み、体験的な巨大作品やワークショップ開発をする美術家として国内外で発表している。主な活動として、LUXELAKES A4 美術館 ARIE2019 国際レジデンスプログラム、日中現代美術交流展2019 《適地適作》、野村財団2019年度下期芸術文化助成、六甲ミーツ・アート芸術散歩2017主催者特別賞、第7回モスクワ国際ビエンナーレ・パラレルプログラム《Yearning for The Sky》、川口市立アートギャラリー・アトリア2017《アートで解明!空気の正体》、木津川アート2016グランプリ+市民賞など。

INTER-WORLD/SPHERE: The three bodies

2021
協力企業:住化積水フィルム株式会社、木津川市山城総合文化センターアスピアやましろ、株式会社ナフコ、株式会社ホログラムサプライ
技術協力:akira_you、中室健、西川元晴、藤木健史、吉川賢

作品紹介

半透明で虹彩に輝く楕円球型のバルーンによる作品を芝生の上に3基設置し、大きく、軽く、透明な彫刻を現出させました。泡のような構造体は柔らかく弾力のある感触で、空気の存在を感じることができます。作品内に入ると、そこには周囲の光が淡く広がり、幻想的な閉じた空間を体験できます。人が内部を移動すると、その動きを感知して作品全体が揺れ動きます。そのような感触や動きの媒体は空気です。この空気が人間の活動によって汚染され、二酸化炭素が増えて地球規模で気候変動がおこっています。作者は具体的な鑑賞体験を通して、通常目に見えない人と空気の関係を可視化し、さらには私たちに地球環境保護の重要性を暗示しています。

団塚 栄喜 Eiki DANZUKA

風景司。1963年大分県佐伯市大入島生まれ、東京在住。黒潮の海に浮かぶ小さな島に生まれ、清流の森に育つ。幼少期の原風景が作品に強い影響を与える。桑沢デザイン研究所を経て、モノ派を代表する美術家・関根伸夫に師事。国内外に時間、空間、人間を繋ぐ風景を作品として手掛ける。制作活動そのものが地球環境に還っていく持続可能なプロセスを重要視している。多摩美術大学客員教授。東京藝術大学非常勤講師。EARTHSCAPE主宰。都市景観大賞、BCS賞、米国GreenGoodDesignAwardなどを受賞。

Medical Herbman Cafe Project

2021
衣装デザイン:ANREALAGE
カフェ企画:風景と食設計室 ホー
ペインティング:JUN INOUE

作品紹介

団塚栄喜はそれぞれの土地で薬草について調べ、その土地の薬草で人型のハーブ畑=メディカルハーブマンをつくります。そこで採れたハーブでつくるハーブティーを提供するカフェを運営し、その収益は次のハーブマンの旅の原資となります。ハーブマンは招待に応じて、さまざまな場所に出現し、ハーブを提供します。このような循環型のプログラムが作品の精神です。今回は東田大通り公園エリアに自生する薬草で、地域の人々から効用を学び、それに基づいてハーブマンを制作しました。展示期間中は薬草茶や薬草料理を振る舞い、人々の意識を自然や身体へと導きます。人々の健康もSDGsの目標項目の一つです。また、北九州の地では、「歩くと渡る」をテーマに、八幡にまつわる人と鳥を通じて、生きること、変化していくことを見つめる物語を、全長25mを超えるハーブマンの周囲で展開します。

淀川テクニック Yodogawa Technique

柴田英昭(しばたひであき、1976年岡山県生まれ、鳥取県在住)のアーティスト名。 2003年に大阪・淀川の河川敷を拠点として活動開始。ゴミや漂流物などを使い、様々な造形物を制作する。赴いた土地ならではのゴミや人々との交流を楽しみながら行う滞在制作を得意とし、岡山県・宇野港に常設展示された「宇野のチヌ」は特によく知られている。「釜山ビエンナーレ」(2006)やインドネシアで開催された日本現代美術展「KITA!!」(2008)、ドイツ・ハンブルグと大阪で同時開催された「TWINISM」(2009)、モルディブ共和国初の現代美術展「呼吸する環礁ーモルディブ・日本現代美術展ー」(2012)、デンマークで開催された「Kunst&Byrum Helsingør The life in the Sound」(2014)など海外での展覧会参加も多い。淀川テクニックの作品は小学校の図画工作や中学校の美術の教科書でも紹介されている。柴田は作品制作のみならず、その独創的なアイデアを活かした様々なワークショップを全国各地で開催するほか、「コラージュ川柳」の発案者・考案者でもある。近年では環境問題に関わるイベントでの展示も多い。

北九州のドードー
北九州のフクロオオカミ

2021

作品紹介

北九州市の藍島の浜辺で同地域の方々と拾い集めた漂着物で大型絶滅動物ドードーとフクロオオカミの彫刻を制作しました。時空を超えて出現する色とりどりの大きな動物たちは、ユーモアのある表情を浮かべ、鑑賞者を楽しませると同時に、人間による地球の環境破壊にも注意を喚起させるのです。地球という惑星に暮らす人類の未来についてどう考えるべきかを私たちに問いかけます。
なお、この作品は、いのちのたび博物館駐車場ゲート横芝生広場に移設して展示しています。(2022年2月現在)

北九州市立美術館(本館)
井上 優 Masaru INOUE

1943年生まれ、滋賀県在住。1999年から「やまなみ工房」に所属。本格的に創作活動を始めたのは70歳を迎えた頃だった。何事にもまじめに取り組む井上は、人物や動物、風景等をモチーフに、鉛筆のみで身丈を越えるほどの大きな作品も、一日3時間、約3週間の期間をかけ丁寧に塗り込み完成させる。彼に会いに多くの人々が訪れ、自分の描いた作品が評価される。きっと彼自身が一番想像すらしなかった事だろう。しかし今夢中になれる活動に出会えたことが日々のやりがいや喜びとなり、生き様を残していくかのように彼の手で次々に作品をつくりあげていく。

ひと

2014
鉛筆、紙
1520 x 10000mm

作品紹介

縦横1.5m x 2.0mの巨大なボール紙。この真っ白い大きな空間を鉛筆一本で埋め尽くせと言われたら、大抵の人は怯むでしょう。70歳を過ぎて描き始めた井上は、週3日1日3時間と決められた時間に、工房の彼専用に設えられた一段高くなった床に紙を広げ、両膝を地面に付け丁寧に描き続けています。その行為は、彼の人生の一部となり、生きる支えにもなっているのです。彼が選ぶモチーフは主に生き物です。大胆にデフォルメされた男も女も動物たちも、楽器やオブジェクトまで、それぞれが画面の中で居心地の良い場所を獲得しています。浮遊しながらも繋がっている人々は、彼の理想の世界が絵画化されたものなのかもしれません。画面から溢れ出るみずみずしい感性は、歳を重ねてなお一層新鮮な輝きを放っているのです。

岩本 義夫 Yoshio IWAMOTO

1953年生まれ、神奈川県在住。「studioCOOCA」 所属。若いころは父親の左官屋を手伝っていた。その後、ダイナマイト音響く発破屋の仕事に就き、20年以上勤め本人曰く天職だったが、色々あって辞めてしまった。2011年、知り合いにたまたま勧められたスタジオクーカに遊びにくるうち、なんとなく絵を描くようになる。絵を描くのは初めてだと話しながら、描きはじめると大胆な筆遣いと色使いで一気にCOOCAの人気作家となった。以来「金髪のおねえちゃんが描きたい」と言って雑誌をめくり、ブランド広告を参考に金髪のおねえちゃんシリーズを描き続けている。

金髪のおねえちゃん

2020
鉛筆、アクリル、マーカー、キャンバス
1620 x 1303mm

作品紹介

若いころは父親の左官屋を手伝っていた。その後長く発破屋をやっており本人曰く天職だったが、喧嘩別れして辞めてしまったといいます。studioCOOCA(スタジオクーカ)に通い58歳で初めて絵を描いた岩本が一貫して追いかけるテーマは、なんと「金髪のおねいちゃん」。外国のファッション雑誌や広告からお気に入りのモデルを見つけ、鮮やかなアクリル絵具を使い、大胆なストロークで描く作品は、どれも驚くほどスタイリッシュです。最近は、絵具がどんどん厚く盛られ、彫刻的な様相を呈し始めています。本作は「Black Lives Matter」という黒人差別に対する社会運動に感銘を受け、初めて白人金髪以外の人物を描いた記念すべき作品です。岩本は時々べらんめえ口調のなかなかのリベラリストなのです。

加地 英貴 Hidetaka KAJI

1992年大阪生まれ、大阪在住。「アトリエ ライプハウス」所属。重度の自閉症の加地には、日常生活において様々な「こだわり」がある。美術教室に通い始めて11年。色鉛筆を紙に走らせることもその「こだわり」のひとつだが、ある時から均一に画面を塗り込めて描くようになり、色彩も均整がとれ、彼なりに考えて絵画を制作しているのだと理解することができる。さらに、色鉛筆や鉛筆を同じ短さになるまで使いそろえることも彼独自の「こだわり」だ。作品制作をすることと、鉛筆を同じ長さにそろえることは、同じくらい重要であり、彼にとってはどちらも「作品」なのかも知れない。

K1 - 30(30点)

色鉛筆、木製パネル、紙
各318 x 410mm

作品紹介

作品を初めて見たとき、にわかに色鉛筆で描かれているとは信じ難いものでした。長時間かけて色鉛筆を紙に走らせるその行為は、作家の内面から湧き上がる素朴で切実な「表現したい」という欲求が視覚化された結果です。重度の自閉症の加地には、日常生活においても様々な「こだわり」があるといいます。所属する美術教室に通い始めて11年。ある時から画面を均一に塗り込められるようになり、色彩も均整がとれ、彼なりに考えて絵画を制作しているのだと理解できます。 作品に使う色鉛筆を同じ長さになるまで使い揃えることも大切な「こだわり」です。作品制作をすることと、鉛筆を同じ長さにそろえることは同じくらい重要であり、彼にとってはどちらも「作品」なのかも知れません。

片山 真理 Mari KATAYAMA

1987年埼玉県出身、群馬県育ち、同地在住。2012年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。幼少の頃より裁縫に親しむ。先天性の四肢疾患により 9歳で両足を切断。以後、手縫いの作品や装飾を施した義足を使用しセルフポートレートを制作。2011年より「ハイヒールプロジェクト」をスタートし、歌手やモデルとしてハイヒールを履き、ステージに立つ。主な展示に「KYOTOGRAPHIE 2020」(嶋臺ギャラリー、京都、日本、2020)、「第 58 回ヴェネチア・ビエンナーレ」(ヴェネチア、イタリア 2019)、「Broken Heart」(White Rainbow、ロンドン、イギリス 、2019)、「無垢と経験の写真 日本の新進作家 vol.14」(東京都写真美術館、東京、2017)、「帰途─on the way home─」(群馬県立近代美術館、群馬、2017)、「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」(森美術館、2016)、「あいちトリエンナーレ 2013」(愛知、2013)など。主な出版物に『GIFT』(United Vagabonds、2019)がある。2019年第35回写真の町東川賞新人作家賞、2020年第45回木村伊兵衛写真賞を受賞。

you are mine #001

2014
Cプリント、オリジナル額
1021x 1592mm

作品紹介

先天性の四肢疾患により9歳の時に両足を切断した片山は、自らの身体を模した手縫いのオブジェやインスタレーション、立体作品を記録したセルフポートレイトの写真作品で知られています。本展では、過去の代表作《you’re mine》と2019年に片山が自身の足をモチーフに制作したシリーズ《in the water》を交えて展示しました。日本における写真芸術の代表的な賞である木村伊兵衛写真賞を受賞するなど、近年は海外にも活躍の場をひろげています。片山のセルフポートレートを通じて、ありのままに自分を表現し、またありのままに生きる彼女の強さが、人々に新しい美と感動のあり方を教えてくれるでしょう。

you are mine #002

2014
Cプリント、オリジナル額
582 x 772mm

作品紹介

先天性の四肢疾患により9歳の時に両足を切断した片山は、自らの身体を模した手縫いのオブジェやインスタレーション、立体作品を記録したセルフポートレイトの写真作品で知られています。本展では、過去の代表作《you’re mine》と2019年に片山が自身の足をモチーフに制作したシリーズ《in the water》を交えて展示します。日本における写真芸術の代表的な賞である木村伊兵衛写真賞を受賞するなど、近年は海外にも活躍の場をひろげています。片山のセルフポートレートを通じて、ありのままに自分を表現し、またありのままに生きる彼女の強さが、人々に新しい美と感動のあり方を教えてくれるでしょう。

bodies #004

2019
クリスタルプリント
1000 x 1000mm

作品紹介

先天性の四肢疾患により9歳の時に両足を切断した片山は、自らの身体を模した手縫いのオブジェやインスタレーション、立体作品を記録したセルフポートレイトの写真作品で知られています。本展では、過去の代表作《you’re mine》と2019年に片山が自身の足をモチーフに制作したシリーズ《in the water》を交えて展示します。日本における写真芸術の代表的な賞である木村伊兵衛写真賞を受賞するなど、近年は海外にも活躍の場をひろげています。片山のセルフポートレートを通じて、ありのままに自分を表現し、またありのままに生きる彼女の強さが、人々に新しい美と感動のあり方を教えてくれるでしょう。

bodies #001

2019
クリスタルプリント
1200 x 800mm

作品紹介

先天性の四肢疾患により9歳の時に両足を切断した片山は、自らの身体を模した手縫いのオブジェやインスタレーション、立体作品を記録したセルフポートレイトの写真作品で知られています。本展では、過去の代表作《you’re mine》と2019年に片山が自身の足をモチーフに制作したシリーズ《in the water》を交えて展示します。日本における写真芸術の代表的な賞である木村伊兵衛写真賞を受賞するなど、近年は海外にも活躍の場をひろげています。片山のセルフポートレートを通じて、ありのままに自分を表現し、またありのままに生きる彼女の強さが、人々に新しい美と感動のあり方を教えてくれるでしょう。

untitled

2019
クリスタルプリント
1200 x 800mm

作品紹介

先天性の四肢疾患により9歳の時に両足を切断した片山は、自らの身体を模した手縫いのオブジェやインスタレーション、立体作品を記録したセルフポートレイトの写真作品で知られています。本展では、過去の代表作《you’re mine》と2019年に片山が自身の足をモチーフに制作したシリーズ《in the water》を交えて展示します。日本における写真芸術の代表的な賞である木村伊兵衛写真賞を受賞するなど、近年は海外にも活躍の場をひろげています。片山のセルフポートレートを通じて、ありのままに自分を表現し、またありのままに生きる彼女の強さが、人々に新しい美と感動のあり方を教えてくれるでしょう。

lefty #003

2019
クリスタルプリント
800 x 1200mm

作品紹介

先天性の四肢疾患により9歳の時に両足を切断した片山は、自らの身体を模した手縫いのオブジェやインスタレーション、立体作品を記録したセルフポートレイトの写真作品で知られています。本展では、過去の代表作《you’re mine》と2019年に片山が自身の足をモチーフに制作したシリーズ《in the water》を交えて展示します。日本における写真芸術の代表的な賞である木村伊兵衛写真賞を受賞するなど、近年は海外にも活躍の場をひろげています。片山のセルフポートレートを通じて、ありのままに自分を表現し、またありのままに生きる彼女の強さが、人々に新しい美と感動のあり方を教えてくれるでしょう。

lefty #001

2019
クリスタルプリント
1200 x 800mm

作品紹介

先天性の四肢疾患により9歳の時に両足を切断した片山は、自らの身体を模した手縫いのオブジェやインスタレーション、立体作品を記録したセルフポートレイトの写真作品で知られています。本展では、過去の代表作《you’re mine》と2019年に片山が自身の足をモチーフに制作したシリーズ《in the water》を交えて展示します。日本における写真芸術の代表的な賞である木村伊兵衛写真賞を受賞するなど、近年は海外にも活躍の場をひろげています。片山のセルフポートレートを通じて、ありのままに自分を表現し、またありのままに生きる彼女の強さが、人々に新しい美と感動のあり方を教えてくれるでしょう。

ユキ・キハラ Yuki KIHARA

1975年サモア生まれ、同地在住。日本とサモアにルーツを持ち、学際的に活躍するインターディシプリナリー・アーティスト。ビジュアル・アートやダンス作品を手がけるほか、キュレーターとしても活動。その作風は、アイデンティティ政治、脱植民地化、気候変動といった要素が絡み合う差別の交差性に目を向けるとともに、支配的で一方的な歴史的ナラティブに対して疑問を投げかける。2008年にメトロポリタン美術館(米国・ニューヨーク)の近現代美術部門ライラ・アチソン・ウォレス・ウィングで、個展「Living Photographs」開催。横断的、多角的なアプローチによる芸術活動が注目され、作品は常設展示に収蔵される。このほか、ロサンゼルス・カウンティ美術館(米国)、大英博物館(英国)、クイーンズランド・アート・ギャラリー・ギャラリー・オブ・モダン・アート(オーストラリア・ブリスベン)、ニュージーランド国立博物館などが作品を所蔵。現在、オランダ国立世界文化博物館の研究員として従事。2019年のニュージーランド芸術評議会によって、2022年開催予定の第59回ヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア)のニュージーランドパビリオン代表に選ばれる。

マリエトラ王が食人を禁止した話

2004
Cプリント
590 x 480mm

作品紹介

日本人の父とサモア人の母をもつアーティスト。本作品シリーズは作家自ら、彼女のルーツであるサモアの「ファゴノ(神話と伝説)」の物語を演じたもので、植民地時代以前のサモアの歴史がテーマです。そしてこの写真のスタイルや色合いは、ベルベット・ペインティング(ベルベットを支持体にした絵画で1970年代に人気となった技法)で有名なニュージーランドの画家、チャールズ・マクフィー(1910〜2002年)の表現スタイルを援用し、ドラマチックな効果を生み出しています。マクフィーはポリネシア人女性を甘くセクシーに描きました。そこに興味本位で対等な人間とみない差別と偏見を読み取ることができます。この作品は、現地の人々をそのような商業的な対象としてみる植民地主義的な視点に対する抵抗と批判を表すものとしてつくられています。このようにユキ・キハラは自らの身体をメディアとして性、人種、文化そして政治の間にある搾取や蔑視の関係に異議を唱えています。

Fue Tagata(人だったもの);幽体

2004
Cプリント
590 x 480mm

作品紹介

日本人の父とサモア人の母をもつアーティスト。本作品シリーズは作家自ら、彼女のルーツであるサモアの「ファゴノ(神話と伝説)」の物語を演じたもので、植民地時代以前のサモアの歴史がテーマです。そしてこの写真のスタイルや色合いは、ベルベット・ペインティング(ベルベットを支持体にした絵画で1970年代に人気となった技法)で有名なニュージーランドの画家、チャールズ・マクフィー(1910〜2002年)の表現スタイルを援用し、ドラマチックな効果を生み出しています。マクフィーはポリネシア人女性を甘くセクシーに描きました。そこに興味本位で対等な人間とみない差別と偏見を読み取ることができます。この作品は、現地の人々をそのような商業的な対象としてみる植民地主義的な視点に対する抵抗と批判を表すものとしてつくられています。このようにユキ・キハラは自らの身体をメディアとして性、人種、文化そして政治の間にある搾取や蔑視の関係に異議を唱えています。

Tonumaipe'a(トヌマイペア);コウモリに救われた話

2004
Cプリント
590 x 480mm

作品紹介

日本人の父とサモア人の母をもつアーティスト。本作品シリーズは作家自ら、彼女のルーツであるサモアの「ファゴノ(神話と伝説)」の物語を演じたもので、植民地時代以前のサモアの歴史がテーマです。そしてこの写真のスタイルや色合いは、ベルベット・ペインティング(ベルベットを支持体にした絵画で1970年代に人気となった技法)で有名なニュージーランドの画家、チャールズ・マクフィー(1910〜2002年)の表現スタイルを援用し、ドラマチックな効果を生み出しています。マクフィーはポリネシア人女性を甘くセクシーに描きました。そこに興味本位で対等な人間とみない差別と偏見を読み取ることができます。この作品は、現地の人々をそのような商業的な対象としてみる植民地主義的な視点に対する抵抗と批判を表すものとしてつくられています。このようにユキ・キハラは自らの身体をメディアとして性、人種、文化そして政治の間にある搾取や蔑視の関係に異議を唱えています。

Sina ma Tuna;シーナとうなぎ

2003
Cプリント
590 x 480mm

作品紹介

日本人の父とサモア人の母をもつアーティスト。本作品シリーズは作家自ら、彼女のルーツであるサモアの「ファゴノ(神話と伝説)」の物語を演じたもので、植民地時代以前のサモアの歴史がテーマです。そしてこの写真のスタイルや色合いは、ベルベット・ペインティング(ベルベットを支持体にした絵画で1970年代に人気となった技法)で有名なニュージーランドの画家、チャールズ・マクフィー(1910〜2002年)の表現スタイルを援用し、ドラマチックな効果を生み出しています。マクフィーはポリネシア人女性を甘くセクシーに描きました。そこに興味本位で対等な人間とみない差別と偏見を読み取ることができます。この作品は、現地の人々をそのような商業的な対象としてみる植民地主義的な視点に対する抵抗と批判を表すものとしてつくられています。このようにユキ・キハラは自らの身体をメディアとして性、人種、文化そして政治の間にある搾取や蔑視の関係に異議を唱えています。

Lalava Taupou(処女のララヴァ)

2003
Cプリント
590 x 480mm

作品紹介

日本人の父とサモア人の母をもつアーティスト。本作品シリーズは作家自ら、彼女のルーツであるサモアの「ファゴノ(神話と伝説)」の物語を演じたもので、植民地時代以前のサモアの歴史がテーマです。そしてこの写真のスタイルや色合いは、ベルベット・ペインティング(ベルベットを支持体にした絵画で1970年代に人気となった技法)で有名なニュージーランドの画家、チャールズ・マクフィー(1910〜2002年)の表現スタイルを援用し、ドラマチックな効果を生み出しています。マクフィーはポリネシア人女性を甘くセクシーに描きました。そこに興味本位で対等な人間とみない差別と偏見を読み取ることができます。この作品は、現地の人々をそのような商業的な対象としてみる植民地主義的な視点に対する抵抗と批判を表すものとしてつくられています。このようにユキ・キハラは自らの身体をメディアとして性、人種、文化そして政治の間にある搾取や蔑視の関係に異議を唱えています。

紺谷 彰男 Akio KONTANI

1970年生まれ、滋賀県在住。2015年から「栗東なかよし作業所」の一員として作陶している。紺谷が生み出すのは、沖縄などで見られる獣の像「シーサー」を思わせる作品。精神障がいがあり、同じ場所で創作活動をするうちに、澤田真一の作品にもその影響が表れるようになっている。

おに

2021
陶土・釉薬
250(W) x 240(D) x 420(H)mm

作品紹介

シンボリックな陶芸オブジェは、沖縄などで見られる像「シーサー」やアニメの中の怪獣、妖怪のようなものを連想させ、見る者に強烈な印象を与えます。それらはどれもエネルギーにあふれ、時に目を剥き出して怒り、猛々しく吠え、魔除のようでもあります。滋賀の山里にある穴窯に隣接した工房は、とたん屋根に囲まれた土間に素朴な作業台が置かれ、ある種の静謐さを感じさせます。寡黙な紺谷が黙々と作陶する中で生まれる、魔術的で不思議な力強さを感じる作品は、作家にとって、内なる不安を解消し、不確かな社会と自身を繋ぐ触媒なのかもしれません。2015年から創作活動を始めましたが、やがて同じ場所で制作する澤田真一の作品に影響が表れるようになったといいます。

おに

2021
陶土・釉薬
220(W) x 320(D) x 225(H)mm

作品紹介

シンボリックな陶芸オブジェは、沖縄などで見られる像「シーサー」やアニメの中の怪獣、妖怪のようなものを連想させ、見る者に強烈な印象を与えます。それらはどれもエネルギーにあふれ、時に目を剥き出して怒り、猛々しく吠え、魔除のようでもあります。滋賀の山里にある穴窯に隣接した工房は、とたん屋根に囲まれた土間に素朴な作業台が置かれ、ある種の静謐さを感じさせます。寡黙な紺谷が黙々と作陶する中で生まれる、魔術的で不思議な力強さを感じる作品は、作家にとって、内なる不安を解消し、不確かな社会と自身を繋ぐ触媒なのかもしれません。2015年から創作活動を始めましたが、やがて同じ場所で制作する澤田真一の作品に影響が表れるようになったといいます。

おに

2021
陶土・釉薬
235(W) x 200(D) x 250(H)mm

作品紹介

シンボリックな陶芸オブジェは、沖縄などで見られる像「シーサー」やアニメの中の怪獣、妖怪のようなものを連想させ、見る者に強烈な印象を与えます。それらはどれもエネルギーにあふれ、時に目を剥き出して怒り、猛々しく吠え、魔除のようでもあります。滋賀の山里にある穴窯に隣接した工房は、とたん屋根に囲まれた土間に素朴な作業台が置かれ、ある種の静謐さを感じさせます。寡黙な紺谷が黙々と作陶する中で生まれる、魔術的で不思議な力強さを感じる作品は、作家にとって、内なる不安を解消し、不確かな社会と自身を繋ぐ触媒なのかもしれません。2015年から創作活動を始めましたが、やがて同じ場所で制作する澤田真一の作品に影響が表れるようになったといいます。

澤田 真一 Shinichi SAWADA

1982年滋賀県生まれ、滋賀県在住。「社会福祉法人なかよし福祉会・栗東なかよし作業所」に通いながら、週3回程度、福祉会陶芸工房において作陶を続けている。作品は、縄文土器を彷彿とさせる。国内外での出展多数。世界的にも評価が高く、2013年には「第55回ヴェネチア・ビエンナーレ」(イタリア)にノミネートされる。パブリックコレクションに、アール・ブリュット・コレクション(スイス)、滋賀県立近代美術館、日本財団。

おに

2021
陶土・釉薬
280(W) x 235(D) x 270(H)mm

作品紹介

奇怪でありながら、どこかユーモラスな表情の不思議な生き物たち。粘土をこね、形の良い綺麗な指先でひねった小さな粘土のかたまりを器用につまみ、どべをつけていきます。淀みなく続くこれらの行為の繰り返しにより、無数の突起物が表面を覆っていきます。当初は、よりシンプルな形態の小さな作品をつくっていましたが、やがてサイズは大きくなり、縄文土器を彷彿とさせる装飾的で呪術的な今のスタイルに成長したという。純粋で切実な身体行為を通して生み出される作品は、原初の芸術を想起させ、時代を超えて残りうる普遍性を感じさせるでしょう。現在も、福祉作業所に通い別の仕事も几帳面にこなしながら、週3回、滋賀県栗東市にある山中の窯場での飽くことなき制作は続いています。作品は国際的にも評価され、2013年「第55回イタリア・ヴェネチア・ビエンナーレ」にノミネートされました。

おに

2020
陶土・釉薬
200(W) x 170(D) x 250(H)mm

作品紹介

奇怪でありながら、どこかユーモラスな表情の不思議な生き物たち。粘土をこね、形の良い綺麗な指先でひねった小さな粘土のかたまりを器用につまみ、どべをつけていきます。淀みなく続くこれらの行為の繰り返しにより、無数の突起物が表面を覆っていきます。当初は、よりシンプルな形態の小さな作品をつくっていましたが、やがてサイズは大きくなり、縄文土器を彷彿とさせる装飾的で呪術的な今のスタイルに成長したという。純粋で切実な身体行為を通して生み出される作品は、原初の芸術を想起させ、時代を超えて残りうる普遍性を感じさせるでしょう。現在も、福祉作業所に通い別の仕事も几帳面にこなしながら、週3回、滋賀県栗東市にある山中の窯場での飽くことなき制作は続いています。作品は国際的にも評価され、2013年「第55回イタリア・ヴェネチア・ビエンナーレ」にノミネートされました。

澤田 隆司 Takashi SAWADA

1946年生まれ。2003年から片山工房にて「自ら使えるところは使う」ことを信念に、右足での創作活動が始まる。当初は筆を足に挟み書を書いていたが、もっと壮大な作品を描くことが自己表現と考え、右足でコップに入れたペンキを蹴り、キャンパスに流すというフット技法を考案。10年間職員と共働で創作を行い、他芸術家とのコラボレーション作品や80号サイズの大きなものまで、100枚近い作品を残す。創作は、爽快な気持ちになると語り、描くことへ楽しむ気持ちを最後まで持ち続け、周りの人たちを巻き込み突き進んでいた。2013年に他界後も、作品を通して多くの人に勇気を与えている。

無題

2005
水性ペンキ、紙
790 x 1090mm

作品紹介

2003年から「自ら使えるところは使う」ことを信念に、右足での創作活動を始めた澤田。当初は筆を足に挟み書を書いていましたが、もっと壮大な作品を描くことが自己表現と考え、右足でコップに入れたペンキを蹴り、キャンバスに流すというフット技法を考案しました。一発勝負の作風はスリリングで、画面に広がる独特の緊張感が、澤田のかけがえのない一瞬を映し取ります。その後 10年間、職員と共働で創作を行い、他芸術家とのコラボレーション作品や80号サイズの大きなものまで、100枚近い作品を残しました。作品は、生きている実感そのものであり、自分の存在を高らかに謳う彼の精神が宿っているかのようです。創作は、爽快な気持ちになると語り、描くことを楽しむ 気持ちを最後まで持ち続けていたといいます。2013年他界後も、周りの人たちを巻き込み突き進むかつての姿は、作品を通して多くの人に勇気を与えています。

無題

2006
水性ペンキ、紙
1030 x 730mm

作品紹介

2003年から「自ら使えるところは使う」ことを信念に、右足での創作活動を始めた澤田。当初は筆を足に挟み書を書いていましたが、もっと壮大な作品を描くことが自己表現と考え、右足でコップに入れたペンキを蹴り、キャンバスに流すというフット技法を考案しました。一発勝負の作風はスリリングで、画面に広がる独特の緊張感が、澤田のかけがえのない一瞬を映し取ります。その後 10年間、職員と共働で創作を行い、他芸術家とのコラボレーション作品や80号サイズの大きなものまで、100枚近い作品を残しました。作品は、生きている実感そのものであり、自分の存在を高らかに謳う彼の精神が宿っているかのようです。創作は、爽快な気持ちになると語り、描くことを楽しむ 気持ちを最後まで持ち続けていたといいます。2013年他界後も、周りの人たちを巻き込み突き進むかつての姿は、作品を通して多くの人に勇気を与えています。

SECOND PLANET

北九州市在住の外田久雄と宮川敬一によって1994年に結成されたアーティストユニット。結成以来、様々な領域の人々とコラボレーションを行っており、映像、写真、音、インタビュー、テキスト、インターネット、絵画などを使用してインスタレーション、映像作品、オンラインプロジェクト等を制作している。占い師や霊媒師とコラボレーションした、《An Interview with Andy Warhol(古郷卓司とのコラボレーション)》や《美術館の未来(金沢12世紀美術館、広島市現代美術館 / イエスパー・アルバー、高木哲、遠藤水城、フィリップ・ホースト等とのコラボレーション)》、《カタストロフが訪れなかった場所(オンラインプロジェクト、GALLERY SOAP 2018〜 / 岩本史緒とのコラボレーション)》などで知られている。また、GALLERY SOAP(1997〜)の企画運営やパラサイトプロジェクト(1996)、HOTEL ASIA PROJECT(佐々木玄、ニークン 等と共同企画 / 2011〜2021)、北九州ビエンナーレ(古郷卓司、毛利嘉孝、大友良英と共同企画 / 2007〜2015)など数多くのアートプロジェクトや展覧会を国内外で開催している。

OYASUMI - Good Night

2021
映像
3分38秒

作品紹介

SECOND PLANETは北九州を拠点とする外田久雄と宮川敬一によって1994年に結成されたアーティストユニットです。今回の出品作《OYASUMI - Good Night》は、1日の最後に放映される世界中の放送局のシーンを集め、再構成した作品です。それぞれの映像の中には、各国の人々の多様な生活や国ごとの文化、社会のあり方が彩り豊かに現れています。多様な文化を異なっているからといって排除するのでなく、大きく受け入れて、それらと共生する態度がSDGsにつながる生き方だということになるでしょう。彼らは今や九州のアートシーンに欠かすことができない重要な活動を続けています。

BABU

北九州市生まれのストリートアーティスト、スケートボーダー、現代美術作家。 国内外各地に赴き、多数のストリートアートを制作する一方、ストリートカルチャーをベースにした、常識をはるかに超えて行く、映像制作、絵画、ドローイング、彫刻、タトゥーなど、さまざまな領域を横断するその活動は高く評価されている。スケートボード、廃材、ゴミ、捨てられた絵画などをコラージュした作品や映像作品は、旅を通して磨いた独自の感性で制作されている。近年は、現代美術のフィールドでも活躍しており、東京藝術大学、EAST EAST展(ドバイ)、石巻リボーンアートフェスティバル、ビームスのギャラリーB(東京)、ワタリウム美術館(東京)、VOCA展(東京)、GALLERY SOAP(北九州)等で作品を発表している。

障害50+0

2019
ドローイング、ペインティング、キャンバス、水彩紙、アクリル絵具、コラージュ作品
サイズ可変[全体で3256(H) x 5863(W)mm]

作品紹介

BABUは北九州在住のストリートアーティスト、スケートボーダー、現代美術作家です。2016年に発表された映像作品《GOSH!》では、福島第一原発のすぐ隣にあるいまだに帰還困難区域指定された福島県双葉町で防護服を着けてスケートするBABUの姿を捉えたもので、2011年以降置き去りにされた問題を浮かびあがらせました。本展では、2018年、脳梗塞に倒れたBABUが、重度の後遺症が残る中、リハビリに励み制作した作品群を展示しました。この大きな壁一面に展開されたインスタレーションは、素描、写真、オブジェなどから構成され、生と死、自由と不自由のはざまから立ち現れる力強い表現の力を見せてくれます。

早川 拓馬 Takuma HAYAKAWA

1989年東京都生まれ、三重県在住。知的障がいがあり、1999年よりアトリエ「HUMAN・ELEMENT」にて制作を始め、現在は「希望の園」所属。電車とアイドルが大好きで制作テーマでもある。パレット上で見たことのない色ができると「い~ね~、見たことないね~!」と声をあげて楽しさを表現している。幼少期より国内外の展覧会、コンクールに多数出品。トヨハシブリュト・アートコンテスト「金賞」(2020)、NHKEテレ「人知れず表現し続ける者たちvol.3」「No Art, No Life 早川拓馬」放送(2020)、みえ県展「優秀賞」(2016)、ポコラート全国公募展「オーディエンス賞」(2011)。東京、愛知、三重、ドイツ、スペイン、中国、ベトナムなどグループ展多数参加。

電車48

2013
油彩、キャンバス
1303 x 1620mm

作品紹介

電車とアイドルが大好きで、制作テーマでもあります。モチーフへの憧憬がそのままシンボリックな図像として表出し、濃密な絵画空間を構成しています。「行ったことないよね〜」が口癖という早川。たくさんの人物とともに繰り返し描かれる電車は、彼の好奇心を映す鏡であり、未知の世界へと誘うアイコンなのかもしれません。好きな色は「セルリアンブルー」。独特の色彩感覚はある種の緊張感も感じさせるが、不思議なコンポジションで描かれる人物と電車のイメージをさらに個性豊かにしています。施設長の「いーね!」という掛け声に呼応するように、パレット上で見たことのない色ができると「い〜ね〜、見たことないね〜!」と声をあげて楽しさを表現しているそうです。

踊りながら通過電車

2020
油彩、キャンバス
1167 x 1167mm

作品紹介

電車とアイドルが大好きで、制作テーマでもあります。モチーフへの憧憬がそのままシンボリックな図像として表出し、濃密な絵画空間を構成しています。「行ったことないよね〜」が口癖という早川。たくさんの人物とともに繰り返し描かれる電車は、彼の好奇心を映す鏡であり、未知の世界へと誘うアイコンなのかもしれません。好きな色は「セルリアンブルー」。独特の色彩感覚はある種の緊張感も感じさせるが、不思議なコンポジションで描かれる人物と電車のイメージをさらに個性豊かにしています。施設長の「いーね!」という掛け声に呼応するように、パレット上で見たことのない色ができると「い〜ね〜、見たことないね〜!」と声をあげて楽しさを表現しているそうです。

東本 憲子 Noriko HIGASHIMOTO

1983年生まれ、大阪府在住。「西淡路希望の家美術部」所属。緩衝材であるエアキャップのロールにカラフルなカラーペンを使い、点・線・面で三角、四角、五角形など文様を描いていく。頭の中に設計図があり、手が止まることはない。笑顔で周りに大阪ノリの鋭い突っ込みを入れながら制作する。ポコラート全国公募入選(2016・2015・2013)、かんでんコラボアート入選(2010・2005)など受賞歴多数。「アール・ブリュット?アウトサイダー・アート?それとも?ーそこにある価値ー」(EYE OF GYRE、東京、2017)など多数のグループ展に参加している。

無題

2011〜2017
マーカー、気泡シート
1200 x 25000mm

作品紹介

美しく神秘的な幾何学模様。支持体はなんと梱包用のプチプチです。カラーペンを使ってリズミカルに繰り返される点を打つ行為を、東本自身が心から楽しんでいる様子が感じられ、彼女にとっての創作は、色を使って遊ぶことに近いのかもしれません。しかし、点が線となり、面を形成し、少しずつ蓄積されていくイメージは、やがて壮大な織物のようになり、強度を獲得しながら「作品」へと昇華していきます。6年がかりで完成した本作は、ヴィヴィッドな色を使いながらも、全体的として柔らかい透明感をたたえています。いつも明るく笑顔の彼女は、施設のムードメーカーでもあります。そんな人柄を反映した東本ワールドは、30mのプチプチを前に、今も果てしなく続いているのです。

服は着る薬(鶴丸礼子アトリエ) Clothing is Wearable Medicine (Reiko Tsurumaru Atelier)

鶴丸礼子 服飾デザイナー。1956年鹿児島県鹿児島市生まれ、大分県大分市在住。ジバンシィのオートクチュールのアトリエを経て独立。1989年より身障者衣服を専門とする。「鶴丸式製図法」を考案し、弟子入り制にて後発の指導。医療・福祉関係の特許取得。大学院や短大等で講師を務める。一般財団法人服は着る薬代表理事、全国技能士会連合会マイスター。第50回吉川英治文化賞受賞。

服は着る薬(鶴丸礼子アトリエ)

作品紹介

障がいとともに生きる人の衣服をオートクチュール(一人ずつの注文制作)でつくる活動を続ける鶴丸礼子。障がいのある方の身体の特徴を誠実に捉え直し、その人の身体にあった唯一無二のファッションをつくりだします。身体の46カ所を計測する独自の製図法は、一人一人の体型にあった着心地の良さを生み出し、誰もが分け隔てなくおしゃれを楽しむことを可能にします。これまでに手がけた服は一千着以上。鶴丸がつくりだす衣服は服飾の可能性を拡張するのみではなく、それを着る人の生きる喜びを後押しし、健康と幸福をもたらすのです。

福島 あつし Atsushi FUKUSHIMA

1981年神奈川県生まれ、同地在住。2004年大阪芸術大学写真学科卒業。2006年東京綜合写真専門学校研究科修了。2008年 ニコンサロンJuna21選出。2019年KG+ Award 2019グランプリ受賞。 主な個展に「木を植える旅」(Kobe 819 Gallery、兵庫、2018)、「食を摂る」(ニコンサロン bis、東京、2018)、「SCOPE」(ニコンサロン、東京、2004)などがある。

シリーズ〈弁当 is Ready〉より

デジタルCプリント
406 x 508mm
協力: KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭

作品紹介

福島あつしは高齢者専用の弁当屋の配達員を約10年に渡り続けました。その配達の合間に老人たちのありのままの日常を写し取った膨大な数の作品が〈弁当 is Ready〉シリーズです。そこには現代社会が目を背けがちな独居老人達の孤独、老いの現状、そして忍び寄る死などが見て取れます。しかし福島はこのシリーズを発表するにあたって約10年にわたり彼が見てきたものは、死ではなく、「彼らの生命力に対す畏敬の念であった」と書き記しています。日本社会はますます高齢化社会に向かっています。この状況の中で、老いに向かうこと、老いを支えること、死と隣り合わせで居ること、そしていかに老いを生きるかを考えさせる作品です。

ほんま まい Mai HONMA

1984年松阪市生まれ、松阪市在住。「希望の園」所属。花や動物(特にとり)が好きで作品テーマの中心となっている。普段利用する送迎バスの中から、羽ばたく鳥たちの姿が映るキラキラした小川の水面を見て大喜びしている。運動機能障がいのある腕から生み出される無秩序な線と鮮やかな色彩から、彼女が受けた感動が伝わってくるようだ。2005年に第57回みえ県展「すばらしきみえ賞」受賞。その後も、全国各地での個展、グループ展をはじめ、ドイツ、スペイン、ベトナム、中国でも作品を発表している。ACM Galleryから「アウトサイダー・アートフェア ニューヨーク」(アメリカ、2020)「現代 アウトサイダー・アート リアル-現代美術の先にあるもの-」(GYRE GALLERY、東京、2019)に出品。

ゆとりの森

2013
油彩、キャンバス
1303 x 1620mm

作品紹介

色とりどりの羽に身を包んだ鳥たちは、今にもキャンバスから飛び立ちそうです。それもそのはず。ほんままいの描く鳥は、彼女の日常生活に登場するリアルな人々なのです。創作活動をサポートしてくれるスタッフのミユちゃん、大好きな園長先生や施設の仲間たち。みなが寂しくならないように、鳥のお友達にはウサギを、子供の鳥にはお母さん鳥を描きます。画面には、彼女のストレートな愛情が満ちており、情感あふれる作品となっています。施設で扱うのが難しく、全国でもほとんど使われていない油絵を取り入れている「希望の園」。その自由な空間で、キュートな笑顔と時に真剣な眼差しで作家は今日も絵筆を走らせ、熱い想いをキャンバスにぶつけています。

心をひとつに

2011
油彩、キャンバス
1303 x 1620mm

作品紹介

色とりどりの羽に身を包んだ鳥たちは、今にもキャンバスから飛び立ちそうです。それもそのはず。ほんままいの描く鳥は、彼女の日常生活に登場するリアルな人々なのです。創作活動をサポートしてくれるスタッフのミユちゃん、大好きな園長先生や施設の仲間たち。みなが寂しくならないように、鳥のお友達にはウサギを、子供の鳥にはお母さん鳥を描きます。画面には、彼女のストレートな愛情が満ちており、情感あふれる作品となっています。施設で扱うのが難しく、全国でもほとんど使われていない油絵を取り入れている「希望の園」。その自由な空間で、キュートな笑顔と時に真剣な眼差しで作家は今日も絵筆を走らせ、熱い想いをキャンバスにぶつけています。

松本 寛庸 Hironobu MATSUMOTO

1991年北海道生まれ、熊本県在住。2〜3歳の頃から絵を描き始め、3歳で高機能自閉症と診断される。作品は、その時の興味や関心を反映したものが多く、自分の考えるイメージに変えて描く。色鉛筆300本、水性ペン100本ほどの中から迷うことなく色を選ぶ。定規や消しゴムや修正液などは一切使わず、繊細で色彩豊かな作品を制作する。「VOCA展The Vision of Contemporary Art 現代美術の展望・新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、東京、2021・2015)、「あるがままのアート・人知れず表現し続けるものたち」(東京藝術大学大学美術館、2020)、「アウトサイダー・アート フェア ニューヨーク」(アメリカ、2020)、「日本のアール・ブリュットKOMOREBI展」(フランス国立芸術センター リュー・ユニック、2017)など出展歴多数。パブリックコレクションに、熊本市現代美術館。

世界地図

2011
色鉛筆、水彩ペン、紙
2ピースで1セット
各767 x 1085mm

作品紹介

世界地図や飛行機の上から見える万華鏡のような景色。スケールの大きな題材を選びながらも、モチーフを反復する作風は緻密で、細かなディテールまで丹念に描き込まれています。幼少期は、生き物や宇宙、歴史などに興味があり、図鑑や歴史書を読むことが好きだったといいます。自宅の庭に設えられた専用のアトリエでは、色鉛筆300本、水性ペン100本ほどの中から迷うことなく色を選び、定規や消しゴム、修正液などは一切使わずフリーハンドで描きあげます。明るく綺麗な色と形は見事に調和し響き合い、一見して作品から負の感情を読み取ることは難しいでしょう。しかしそこには、言葉になりにくい、心の奥底に残って消えない怖れや悲しみの記憶、不安な心情が織り込まれています。松本にとって描くとは、生きる上で必要不可欠なものであり、繊細で揺らぐ感情を抑制し癒すための行為なのかもしれません。

MEGA City

2015
色鉛筆、水彩ペン、紙
2ピースで1セット
各767 x 1084mm

作品紹介

世界地図や飛行機の上から見える万華鏡のような景色。スケールの大きな題材を選びながらも、モチーフを反復する作風は緻密で、細かなディテールまで丹念に描き込まれています。幼少期は、生き物や宇宙、歴史などに興味があり、図鑑や歴史書を読むことが好きだったといいます。自宅の庭に設えられた専用のアトリエでは、色鉛筆300本、水性ペン100本ほどの中から迷うことなく色を選び、定規や消しゴム、修正液などは一切使わずフリーハンドで描きあげます。明るく綺麗な色と形は見事に調和し響き合い、一見して作品から負の感情を読み取ることは難しいでしょう。しかしそこには、言葉になりにくい、心の奥底に残って消えない怖れや悲しみの記憶、不安な心情が織り込まれています。松本にとって描くとは、生きる上で必要不可欠なものであり、繊細で揺らぐ感情を抑制し癒すための行為なのかもしれません。

南村 千里 Chisato MINAMIMURA

日本生まれ、英国ロンドンを拠点に活動するきこえないパフォーマンスアーティスト、振付家、芸術解説者。2003年から2006年まで英国の著名なダンスカンパニーCandocoのダンスアーティストとして活動する。その後、フリーランスアーティストとして様々なプロジェクトに携わる。エアリアルパフォーマーとして、2012年ロンドンパラリンピック開会式、2016年リオオリンピックパラリンピック文化プログラムに出演。きこえない振付家として、視覚的音/音楽に独特な視点からアプローチした作品制作に取り組み、音響、映像、振動、アニメーション等といった分野で国際的に活躍するデジタルアーティストとの共同制作も手がける。数学的な記譜を取り入れ、プロのダンサーらと振り付けを行うとともに、音楽を視覚化した、音のない舞踊や演出体験の確立に力を注ぐ。現在は、ロンドンの現代舞踊の中心的存在「ザ・プレイス」で、「アソシエイト・ワークプレイス・アーティスト」として従事。

沈黙の記譜

2019
映像
9分48秒

作品紹介

《沈黙の記譜 / Scored in Silence》は、1945年に広島と長崎に落とされた原子爆弾の恐怖や惨状の中を生き延びた耳の聞こえない被爆者たちの声をパフォーマンスで表現し、それをデジタル化した作品です。彼女の演じる身体、音、照明、アニメーション、手話が一体となって、原爆が投下されたその当時の被爆者たちの声や体験を記録、またその後を生きた歴史を丁寧に紐解き、新しい方法で戦争の悲惨さを語ります。今まで、英国、カナダ、韓国、チュニジア、チリ、メキシコで上演されてきた作品ですが、日本では初演となります。作家本人も耳が聞こえないにもかかわらず、障害者と健常者が共存する世界的に著名なダンスグループ「Candoco Dance Company」に所属し、活動してきました。しかし近年は多様な音のない世界と身体表現、視覚と聴覚の架橋に興味を持ち、さらにメディアを駆使して、本作品のような先端的なデジタル映像作品を制作しています。

山本 作兵衛 Sakubei YAMAMOTO

1892年福岡県嘉麻郡生まれ。両親について、7、8歳の頃から筑豊炭田の坑内に入り、約50年間で18の炭鉱を転々としながら働いた。少年期には一時期坑夫をやめて絵描きを志し、福岡市のペンキ屋に弟子入りしたこともあったが、家庭の都合もあって結局は炭坑で坑夫生活を続けることとなった。このころ以来約40年間は日々の生活に明け暮れる日が続き、絵筆を握ることはなかったという。60代半ばを過ぎて、本格的に絵筆を握り、2000枚とも言われる炭鉱の記録画を残した。画文集として『炭鉱に生きる』(1967)、『筑豊炭坑絵巻』(1973)などがある。1984年没。享年92歳。2011年5月25日、残した絵や日記など697点が日本で初めてユネスコの世界記憶遺産に登録された。

炭鉱風俗絵(坑外)

1975
紙、彩色
925 x 1480mm
所蔵(全作品) 北九州市立いのちのたび博物館

作品紹介

炭鉱夫である山本作兵衛が炭鉱の生活を克明に記録した膨大な絵画は、北九州に近接する筑豊地域の炭鉱で働く男女の姿を描いています。炭鉱ではふんどし姿の男が石炭を掘り、腰巻をつけた女がそれを運び、しばしば男女のペアが作業していたことがわかります。坑内は薄暗く、つねに落盤、出水、ガス爆発などの危険と隣り合わせでした。このような過酷な労働が、当時主要なエネルギー源であった石炭を供給し、それが鉄鋼産業、さらには日本の近代化を支えてきたことを忘れるべきではないでしょう。こうした意義を認められて、山本作兵衛の作品は日本で初めてユネスコの世界記憶遺産に登録されました。

明治大正昭和 炭函待ハコマチ

1974
紙、彩色
382 x 542mm
所蔵(全作品) 北九州市立いのちのたび博物館

作品紹介

炭鉱夫である山本作兵衛が炭鉱の生活を克明に記録した膨大な絵画は、北九州に近接する筑豊地域の炭鉱で働く男女の姿を描いています。炭鉱ではふんどし姿の男が石炭を掘り、腰巻をつけた女がそれを運び、しばしば男女のペアが作業していたことがわかります。坑内は薄暗く、つねに落盤、出水、ガス爆発などの危険と隣り合わせでした。このような過酷な労働が、当時主要なエネルギー源であった石炭を供給し、それが鉄鋼産業、さらには日本の近代化を支えてきたことを忘れるべきではないでしょう。こうした意義を認められて、山本作兵衛の作品は日本で初めてユネスコの世界記憶遺産に登録されました。

サキヤマ

1971
紙、単色
270 x 380mm
所蔵(全作品) 北九州市立いのちのたび博物館

作品紹介

炭鉱夫である山本作兵衛が炭鉱の生活を克明に記録した膨大な絵画は、北九州に近接する筑豊地域の炭鉱で働く男女の姿を描いています。炭鉱ではふんどし姿の男が石炭を掘り、腰巻をつけた女がそれを運び、しばしば男女のペアが作業していたことがわかります。坑内は薄暗く、つねに落盤、出水、ガス爆発などの危険と隣り合わせでした。このような過酷な労働が、当時主要なエネルギー源であった石炭を供給し、それが鉄鋼産業、さらには日本の近代化を支えてきたことを忘れるべきではないでしょう。こうした意義を認められて、山本作兵衛の作品は日本で初めてユネスコの世界記憶遺産に登録されました。

アトヤマ

1971
紙、単色
270 x 380mm
所蔵(全作品) 北九州市立いのちのたび博物館

作品紹介

炭鉱夫である山本作兵衛が炭鉱の生活を克明に記録した膨大な絵画は、北九州に近接する筑豊地域の炭鉱で働く男女の姿を描いています。炭鉱ではふんどし姿の男が石炭を掘り、腰巻をつけた女がそれを運び、しばしば男女のペアが作業していたことがわかります。坑内は薄暗く、つねに落盤、出水、ガス爆発などの危険と隣り合わせでした。このような過酷な労働が、当時主要なエネルギー源であった石炭を供給し、それが鉄鋼産業、さらには日本の近代化を支えてきたことを忘れるべきではないでしょう。こうした意義を認められて、山本作兵衛の作品は日本で初めてユネスコの世界記憶遺産に登録されました。