人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

メニュー

ここからコンテンツです

  • 2019年11月21日(木)放送

テーマ / 刑を終えて出所した人 ジャンル検索

YouTubeで音声を再生します。

PDFダウンロード
再犯のない街を目指して
一度罪を犯した人が、再び罪を犯してしまう「再犯」。法務省の平成三十年版犯罪白書によると、犯罪の四十八%は再犯によるとされ、大きな問題となっています。刑務所を出た後、職に就いていない人は再犯率が高く、また、住む家がない人ほど再犯までの期間が短いというデータもあります。仕事と住まいを整えることが再犯防止の大きなカギといえそうです。

北九州市で解体工事業などを営む光進工業の社長・細川忠広さんは、元受刑者に仕事と住まいの両方を支援しています。
支援を始めたのは、十年前、保護司を務めていた父・勲さんから相談されて元受刑者を雇用したことがきっかけでした。その男性がまじめに働いてくれたことから徐々に雇う人数が増えていきました。中には身元保証人がいない、資金がないなどの理由で「家を借りられないから仕事に通えない」という人もいました。最初は借家を提供していましたが、会社の寮を造った方が資金的にも社員のためにも良いと考え、二〇一五年、元受刑者のための社員寮「陽だまり寮」を建てたのです。
陽だまり寮ではお風呂やトイレは共同で順番に使わなければなりません。食事は食堂でみんなでとります。一日に一度、顔を合わせて食事をすることが寮の決まりです。細川社長は
「コミュニケーションが苦手な人が多いので共同生活を改めて学
んでほしい」と話します。さらに給与の一部を貯金するよう指導。「ここでお金も貯めて自立への道を見つけてもらえたら」と期待しています。
今年完成した「陽だまり寮2号館」は、共同生活ではなく、トイレもお風呂もワンルームに設置されています。「一人で誘惑や怠け心に負けずに生活できるか。2号館はより進んだ自立準備の場所」と細川社長は位置付けているのです。

全国の更正保護施設や自立準備ホームは原則、約半年間しか入所できない所がほとんどです。しかし、細川社長は「人間的にも経済的にも自立できるまでサポートする」と、陽だまり寮の入所期限を定めていません。「見捨てるのは簡単ですがそうはしたくない。一緒に生きていきたい」と心に決めています。
では、また。