特集ワーク・ライフ・バランス

カエル! ジャパン
11月はワーク・ライフ・バランス推進月間です

調和のとれた仕事と生活で生き生きとした暮らしを

 誰もが多様な働き方、生き方を選択、実現できる社会を目指す「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」。これは、一人一人が、「仕事」上の責任を果たしながら、子育て、介護、地域活動や自己啓発などの「仕事以外の生活」との調和を図ることで、双方をともに充実させていこうというものです。今回は、本市の現状やこれからについて、本市ワーク・ライフ・バランス推進協議会座長の齋藤貞之さんに話を聞きました。

齋藤貞之さん写真

ワーク・ライフ・バランス推進協議会 座長
齋藤貞之さん

Q ワーク・ライフ・バランスとは何ですか

A

ワーク・ライフ・バランスは、生き方に対する問題提起だと言えます。つまり、今の暮らしや人生設計を見直し、めりはりのある生活に変えることです。

欧米では18世紀頃から仕事と生活を分離する文化がありましたが、20世紀には仕事への偏りが問題となりバランスが必要だという考えが生まれました。日本では欧米以上に仕事中心の生き方が当たり前となっていました。このような背景から、個人の努力だけでは改善が難しく、企業の意識改革も必要不可欠であると言えます。

 最近では、男性の育児休業取得や女性の出産後のスムーズな職場復帰、在宅勤務制度などに取り組む企業が増えています。これは特に女性の労働力が不可欠な医療や福祉、食品産業で活発です。

Q 北九州市の現状を教えてください

A

本市の発展を支えてきた企業の中には、組織一丸となって残業もいとわないという風潮が残っている所もあります。そこで、企業や働く人などの意識改革を進めるため全国に先駆けて官民一体となって「ワーク・ライフ・バランス推進協議会」を設立しました。推進アドバイザーの派遣や企業向け講演会を開催するなどの取り組みを続けています。表彰制度も設けています。その結果、ワーク・ライフ・バランスという言葉の認知度は64%(平成23年度調査)となり、市民や企業に浸透してきたと実感しています。

Q 今後どう取り組んでいけばよいですか

A

ワーク・ライフ・バランスは、仕事と生活のどちらを重視するかという二者択一の問題ではありません。仕事と生活の切り替えがうまくいけば、その人の暮らしが豊かになるだけでなく、仕事の効率も上がります。企業はその支援を充実させることが大事です。もちろん、働く人も権利を主張するだけでなく、高い意識で仕事に取り組み、時間の管理や業務手順の見直しなどを自ら行うといった努力が必要となります。仕事と生活を両立した質の高い暮らしや企業活力の向上は、それぞれが創意工夫を重ねていけば実現可能です。この取り組みをさらに広めていくため、市民の皆さんの理解が深まるよう、今後も啓発などの活動を進めていきたいと考えています。

ワーク・ライフ・バランスに関する支援制度

◆ワーク・ライフ・バランス表彰制度

 仕事と生活の調和のとれた働きやすく、また働きがいのある職場づくりのモデルとなるような企業・団体など(個人を含む)を表彰します。

  • [表彰の対象]
  • 企業・団体部門(自薦可)
  • 個人部門(他薦のみ)

◆アドバイザー派遣制度

 新たにワーク・ライフ・バランスに取り組もうとする事業所や、その充実を図ろうとする事業所に対し、ワーク・ライフ・バランス推進アドバイザー(社会保険労務士)を派遣し、助言や情報提供を行います。

  • 1回2時間程度で4回まで
  • 従業員300人以下の市内事業所は無料

小川美里さん写真

子育て支援で働きやすい職場に

医療法人寿芳会 芳野病院(若松区)

ワーク・ライフ・バランス推進室

小川美里さん[第1回(平成19年度)団体部門市長賞]

 当病院では大きな3つの柱として「育児休業制度」「短時間勤務制度」「連続休暇制度」を実施しています。これらの制度ができたきっかけは、職員同士の「結婚しても出産しても働き続けたい」といった会話でした。その後、上司に相談したところ「職場環境改善会議」を設けてくれ、職員の要望をまとめて院長に提案し、採用してもらえました。育児休業取得中の人には復帰直前に「職場復帰プログラム」を実施し、スムーズな復帰を手助けしています。男性の育児休業取得も推進していて、平成21~23年度は1名ずつ、1週間から1カ月ほど取得しています。復帰後の男性職員は積極的に家事・育児に協力するようになり、良い効果を生んでいます。また仕事の面においても、各自段取りが良くなり、部署ごとにチーム体制で情報を共有するなど、能率化にも努めています。

 今年度の取り組みとしては、一昨年度に続き子どもが親の職場を見学する「子ども参観日」を8月に実施しました。今後は育児だけでなく、仕事と介護の両立をサポートできる職場を目指していきたいですね。

杉信市さん写真

男性の育児も時間のやりくり次第

杉建築設計事務所(小倉北区)

杉 信市さん[第4回(平成22年度)個人部門市長賞]

 ワーク・ライフ・バランスを実践し始めたのは、妻の育児休業が終わって仕事に復帰してからです。妻の職場が福岡で帰りが遅く、自然と私が子どもの面倒を見るようになりました。その頃は、仕事を18時で一旦切り上げて娘を迎えに行き、寝かしつけた後、夜中から明け方まで仕事をして、翌朝保育園へ送ってから少し仮眠をしてまた仕事に戻るという生活を続けていました。それで、すっかり子ども中心の生活に変わりましたね。子育てはとても楽しいですし、全く抵抗もありませんでしたよ。それどころか、子どもが初めて何かをできた時に立ち会えた感動はかけがえのない宝となっています。

 会社勤めであっても、心掛け次第で子どもと触れ合う時間は作れると思います。私は今も時間がある限り子どもと関わりを持ち、会話を絶やさないようにしたいので、子どもが家にいる時は仕事をしないと決めています。その他に心掛けているのは、子どもは自分たちの所有物ではないということ。親にさせてもらったという気持ちをいつも持って接しています。今後、男性の育児参加が進み、家族の絆が深まっていくといいですね。

【この特集に関する問い合わせ】  子ども家庭局男女共同参画推進課 TEL093・582・2405

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