2023年2月28日

【2022年度九州女子大学連携(第2弾)】
成年年齢引き下げによる保険加入について

当記事は、九州女子大学との連携による啓発活動の第2弾で、
田中 由美子先生(九州女子大学 家政学部 教授)監修によるコラムです。

まもりん

田中先生、監修コラム第2弾ありがとうございます!!
今回「成年年齢引き下げによる保険加入」についてお話いただけるとのことで、早速ですがよろしくお願いします!

今回は身近な金融商品である生命保険、自動車関連保険についてのコラムです。成年年齢が引き下げられ、青年期からの金融に関する知識を身に付けることが重視されていますので、是非確認して、参考にしていただけると嬉しいです。
保険には様々な商品があり、一見複雑に感じますが、「基本的な知識」と「選択する際の着眼点・留意点」を知っていれば、自分に必要な保険商品を主体的に選択できます。
特に、自動車の任意保険は、自分も他者も守る「備えあれば憂いなし」という存在になってくれます。車選びは楽しそうですね。保険も一緒に楽しみながら選べるよう、学んでいきましょう。

九州女子大学 田中先生

生命保険について

成年年齢引き下げ前から、生命保険は18歳でも親権者の同意があれば契約可能でした。しかし、今回の成年年齢引き下げにより親権者の同意がなくても契約可能になりました。

生命保険はいくつかの種類に分けられます。

一般的に生命保険と聞くと死亡保障を思い浮かべると思いますが、将来への資金の備えとして考える保険もあります。
大きく分けると、毎月(年)の支払いを最小限に抑える代わりに、何事もなかった場合、受け取りのない「掛け捨て型」と、毎月(年)の支払いは数万円かかっても、万が一の場合の保障と貯蓄機能を備えた「積み立て型」、また、両方を兼ね備えたものなどがあります。

社会人になった直後、「若い時に契約するほど、保険料が安いですよ」と勧誘されることがありますが、一般的に、結婚・子どもの誕生を機に契約するケースが多いようです。
加えて、子どもがいる人には、「世帯主にもしものことがあった場合、その後の教育費・生活費・ご自身の老後費は、こんなに多額にかかります」と説明され、高額保険金の商品を勧められたりします。しかし、多くの人が加入している社会保険(国民年金・厚生年金・労災保険)には遺族年金(給付)があり、支給されます。それらを考慮せず、必要以上に高額の生命保険に契約することはムダな出費となり、生活費や貯金が乏しくなる可能性があります。起こるかどうかわからない不測の事態に備えすぎて、日々の生活が苦しくならないよう留意しましょう。

「(毎月・毎年の)支払保険料」と、「保障金額」に注目しがちですが、「払込総額」を確認することも重要です。
多くの保険会社から、様々な商品が販売されています。まずは資料をじっくり比較し、保護者等にも相談しながら、自分に必要な保障期間・保障金額、また毎月(年)支払える金額を考えて検討しましょう。

自賠責保険(強制保険)について

18歳になれば自動車免許が取得でき、愛車を購入する人もいると思います。
自動車・バイクを所有する人は、「自賠責保険」に必ず加入しなければいけません。未加入車は、車検に通らず、一般道を走行することができません。ただバイクでは、自賠責保険の加入が同様に必要ですが、車検制度がないため自賠責の補償期間を過ぎている場合があります。きちんと確認しておきましょう。
自賠責保険は、第三者(相手)の身体に損害を与えた場合のみ、補償対象となります。相手の車・自分の身体・自分の車に損害があっても、それらは補償対象になりません。

自賠責保険の補償額は低い

事故を起こし、第三者に損害を与えてしまった場合、その損害賠償金額は、被害者が事故に遭わなければ稼得できた収入をもとに計算されます。それは、数億円に上ることもあります。しかし、自賠責保険の補償額は、死亡時でも最高3000万円、後遺障害は最高4000万円、傷害は最高120万円と規定されています。これだけでは、最低限の補償しかできません。これを超える損害賠償請求された場合、自己負担となりますので、自賠責の不足部分を補うために、「自動車保険(任意保険)」も契約する必要があるのです。

自動車保険(任意保険)の必要性

自賠責保険の不足部分を補う「自動車保険」ですが、これには第三者(相手)の身体だけでなく、相手の車・自分の身体・自分の車などの損害もカバーする補償があります。民間の多くの保険会社から、様々な商品が販売されていますので、万が一の場合、自身も他者も守るため、必要な補償を検討し契約しましょう。
特に、「対人補償」は、高額な損害賠償請求に備え、「無制限」としておくことが必要です。

このように、万が一への備えとともに、常に安全運転をすることが重要です。

契約前に十分確認

今回の成年年齢引き下げにより親権者の同意を必要とせずに加入できる「生命保険」。今回の成年年齢引き下げに関係なく、以前から18歳になると取得できる自動車免許に関わる「自賠責保険」。自賠責保険と別に契約を行う「任意の自動車保険」。
これら3つの保険に対しては、成年以降、皆さんが特に関係してくるものだと思います。さらに、上記で述べたように、保険には様々な商品があり、自分に必要な保険商品を選択する必要がもあり、確認するべき事は少なくありませんので、契約有無に関わらず、困った時は周りの方に相談しましょう。

よく確認、理解した上で契約しましょう! よく確認、理解した上で契約しましょう!
まもりん

田中先生、この度はご協力いただきありがとうございました!!
今回「成年年齢引き下げによる保険加入」についてお話いただけて、勉強になりました!
またよろしくお願いいたします!

ありがとうございました。
これらのことを理解し、その他の消費生活トラブルについての意識付けや、トラブルへの巻き込まれ防止に繋がることを願っています。次回のコラムも是非チェックしてみてください。

九州女子大学 田中先生