2023年6月30日

【2023年度九州女子大学連携(第4弾)】
投資について

当記事は、九州女子大学との連携による啓発活動の第4弾で、
田中 由美子先生(九州女子大学 家政学部 教授)監修によるコラムです。

まもりん

田中先生、監修コラム第4弾ありがとうございます!!
今回は「投資」についてお話いただけるとのことで、早速ですがよろしくお願いします!

今回は、将来に繋がる行為でもある投資についてお話しします。それと同時に、その考えを利用した詐欺などにダマされる例も説明していますので、早速みていきましょう。

九州女子大学 田中先生

投資について

「投資」という言葉を一度は耳にしたことがあると思います。「投資」とは、利益を見込んで資産(お金)を投じることです。株式・債券・投資信託などの購入が、これに当たりますが、皆さんはどのようなイメージを持っていますか?

A:「お金持ちがするもの」「知識がないと難しそう」「お金が減りそうで怖い」…。 逆に、
B:「お金が増やせそう」「以前より少額でもできるらしいから、自分もしてみたい」…。
大きく分けて、この2通りの声が聞こえてきそうです。 どちらも正解です。日本では、従来、Aのように考える人が多く、「貯蓄(貯める)」中心でした。しかし近年は、少子高齢化の将来を見越して、一人ひとりが「投資(増やす)」も行い、資産形成をしていくことが推奨されています。

投資の種類

株式投資
自分の好きな企業や、将来性のありそうな会社に資金を出資(株式を購入)することです。出資すると株主となり、優待を受けることができ、その企業の業績がよいと株価が上がり、利益を得ることができます。
債券投資
国・地方公共団体・企業にお金を貸すことです。満期日(償還日)まで保有すると、元本および決められた利息を受け取ることができます。
投資信託
多くの投資家がお金を出資し、プロが運用する仕組みです。株や債券などに分散投資することで、リスクを減らせます。
不動産投資
マンションやビルなどの不動産を買い、家賃や売却益を得ることです。地域の発展によって価値が上がることもあります。

投資と言っても、このように様々な種類があり、リスクを考えなくてはなりません。投資を始める前に、よく情報収集し、自分に合った無理のない選択をするよう心掛けましょう。

投資のリスク

投資のリスクを理解するために、具体的な例を見てみましょう。

株式投資のリスク

株式は企業の一部を買うものです。企業の業績が悪くなったり、経済が不調になると、株の価値が下がることがあります。例えば、好きなお店の株を買ったとき、そのお店が人気を失って客が減ってしまったら、株の値段が下がるかもしれません。

債券投資のリスク

債券はお金を貸すものです。債券を購入した相手先(or 投資先)が借りたお金を返せなくなると、利息が受け取れないだけでなく、元金が戻ってこないケースもあります。

投資信託のリスク

投資信託はプロの人が運用するものです。でも、運用がうまくいかなかったり、投資先の株や債券が価値を失ったりすると、お金が減ってしまうことがあります。

不動産投資のリスク

不動産投資は「本業と両立できる」「管理は任せられる」「不労所得が得られる」などと魅力的な言葉で誘われますが、若い世代の不動産投資の被害に関する相談件数は右肩上がりに増加しています。管理を人任せにせず、自分で知識を得る努力が必要です。

リスクを避ける一番効果的な方法は、「リスク分散」させることです。1つの投資先にお金を集中させるのではなく、国・業界・企業など、複数の投資先にお金を分けて投資したり、時期をずらしたりすることで、リスクを分散することができます。投資をする際は、このことを常に念頭に置いておきましょう。

気を付けよう!投資を装った詐欺商法

最近横行している若い人を狙った悪質な投資詐欺があります。 【手口の流れ】と、《考え方・対処法》を確認しましょう。

SNS・友人・セミナーなどで、「必ず儲かる」「元本保証」などと誘う。
《考え方・対処法》投資に、「必ず儲かる」「元本保証」は、ありません!この言葉で誘われた時点で「怪しい」と考えましょう。
「月利〇%」「高配当」と誘う。
《考え方・対処法》「月利」は「年利率」に換算する場合、12倍します。月利5%であれば、年利率は60%です。これはあり得ません。「長期的に見た運用益が、年利3~7%」と言われています。この水準を覚えておけば、高すぎる利率・配当が、非現実的で「怪しい」とわかりますね。
実際は運用せず、集めた資金を「配当」として一度だけ支払って信用させ、「人を誘うごとに配当が増える」と持ち掛ける。
《考え方・対処法》「配当」を受けたことで信じてしまい他の人を勧誘すると、「被害者」になるだけでなく「加害者」にもなってしまします。お金も、友人も、信用も大切なものですね。これらを失うことのないよう、慎重に判断・行動しましょう。

投資をする時のポイント

1.生活費を確保した上で、無理のない範囲で始める(借金で「投資」をしてはダメ!)

2.情報収集・知識習得は複数検討(1人のブログ・セミナー・記事などを鵜呑みにしない!)

3.利益(儲け)だけでなく、手数料・税控除などにも着目(トータルで考えることが大切!)

4.少額・分散・長期的に(短期での変動に一喜一憂しない!)

最近、特に注目されているものの一つとして、「NISA」があります。 2024年1月から新制度がスタートしますが、18歳から始められ、現在の制度と併用もできます。 また、「iDeCo」も資産形成に有利な制度ですが、年代・職種・家族などにより、向き不向きがあります。 書籍もたくさん出版されていますので、読んでみてください。 機会があれば、また、一緒に学んでいきましょう。

投資と貯蓄の違い

今回は「投資」についてお話しを進めてきましたが、資産運用には「貯蓄」もあります。「投資」「貯蓄」ともにメリット・デメリットがあります。

貯蓄のメリット・デメリット
貯蓄は、緊急の出費への備えや近い将来使う予定のあるお金の運用に向いています。
普通預金や定期預金などが一般的な貯蓄です。 貯蓄は金融機関に預けていれば、減ることはありません。元本保証で低リスクな資産形成ができます。 ただし、利率が非常に低く「普通預金」の利率は0.001%です。 さらにこの利子に税がかかり差し引かれます。
投資のメリット・デメリット
投資は、老後資金など先々に必要になるお金の運用に向いています。
貯蓄では働いて得た金額よりも増やすことは難しいため、リスクを取りながら、長期的に資金を増やすことが投資の目的です。 投資は預けた(積み立てた)お金が減ることもあります。また、取引時の手数料や管理費などもかかります。 ただ、長期的に運用すると、平均3~7%程度で、運用益を得ることができます。 近年話題のNISA(少額投資非課税制度)は、運用益に税がかかりません。

「投資」「貯蓄」どちらがいいかに正解はありません。自身の資産状況を把握し、今後のライフプランなどを考えた上で、貯蓄と投資をバランスよく使い分けることが、これからの望ましい資産形成ではないでしょうか。

最後に...

投資の知識は経済の仕組みの一部ともいえます。投資の仕組みを知り、社会の仕組みを知ることは生活の知恵になり、詐欺的な投資商法の被害を未然に防ぐことにもつながります。若い人がターゲットとなる投資関係の詐欺被害は、新聞やニュースでよく取り上げられています。様々な事例を知り、被害にあわないように知識を身につけましょう。

きちんと理解し、将来に備えましょう! きちんと理解し、将来に備えましょう!
まもりん

田中先生、この度はご協力いただきありがとうございました!!
今回「投資」についてお話いただけて、勉強になりました!
またよろしくお願いいたします!

ありがとうございました。
今回はよく挙げられる投資について説明しましたが、その他の消費者トラブルなどにも巻き込まれないように、自分で知識を蓄える投資(勉強)などが実は一番効率や将来のリターンが大きいものなのかもしれません。また機会がありました際は、よろしくお願いいたします。

九州女子大学 田中先生