人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2015年11月10日(火)放送
  • 少年少女を支え続ける堀井さん
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PDFダウンロード●少年少女を支え続ける堀井さん
家庭環境の事情や犯罪に巻き込まれた経験から、大人を信じられずに非行や違法行為を重ね、更生の道に進めない未成年者がいます。今日は、そんな子どもたちを救おうと奔走している福岡県警察少年サポートセンターの堀井智帆さんを紹介します。

出会って十年、今も堀井さんを心の支えにしている女性がいます。彼女は、父親から性的虐待を受けた経験があり、高校生のころ、全国の虐待専用のホットラインに電話をかけ続けていたそうです。一人苦しみ、毎月三十万円にも上る電話代を稼ぐために始めたのが援助交際でした。そのうちに暴力団に目を付けられ、援助交際をさせられてはお金を巻き上げられ、暴力団の餌食になってしまったのです。
それを知った中学校時代のスクールカウンセラーが、食事に誘うふりをして連れて行ったのが、少年サポートセンターでした。
そこで出会ったのが堀井さん。でも、心を閉ざし、大人を信用しない彼女は口を開こうとしません。それに対し堀井さんは、その後も「会いたい。」と電話しメールを送り続けました。あまりの熱意に根負けした彼女は、次第に心を開いていきます。そして、堀井さんと警察へ行き、暴力団と絶縁することができたのです。
「援助交際をする子の多くは、心が満たされていないのです。親に認められず、家庭の中で居場所がありません。援助交際は、男の人に優しくされることで、自分の存在が受け入れられ満たされた感覚になります。でも、本当に自分の尊厳が守られ、人から愛される経験、ケアこそが必要なのです。」
と、堀井さんは問題の多くは家庭や大人社会にあることを指摘します。
堀井さんは、未成年者を基本に一日五、六人の相談を受け、三百人以上の子どもたち、二百人を超す保護者と携帯電話ですぐ連絡が取れるといいます。
「最初から子どもを救える、良くできるなんて思っていません。信用できる大人でありたいのです。」
と話し、本当に困ったときに電話ができる心の支えになっているのです。

問題行動を起こす子に対し、社会の目は厳しいのが現実です。「そんな子どもたちの行動を白い目で見るのではなく、SOSと受け取り、手を差し伸べる社会にならなければ。」
と言う堀井さん。私たちもその言葉を心に刻んで、子どもたちと接したいですね。
では、また。