人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2020年11月9日(月)放送

テーマ / 難病に起因する人権問題 ジャンル検索

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難病という殻を破って
今日は、クローン病を患いながらも、高齢者の介護施設で働く西裕亮さんのお話です。
クローン病は、口から肛門までの消化管の様々なところに慢性の炎症が起きる病気で、国から「難病」に指定されています。
映画館に勤めていた西さんは、ある時、原因不明の発熱に悩まされるようになりました。腹痛や下痢、嘔吐、職場のトイレにたてこもってしまうこともしばしば。病院でさまざまな検査を繰り返し、約二年後、原因が「クローン病」だと分かりました。
「自分が、難病だったなんて。」
病気が発覚した頃は、そんなショックを隠せない西さんでしたが、治療をはじめ、病気を深く知るにつれ
「病気の経験を生かせば、利用者の方の気持ちや苦しさに寄り添うことができるんじゃないかな。」
そう考えた西さんは、介護事業所で働きはじめます。就職をするときには、こんなことを感じたそうです。
「ぱっと見ただけじゃ、誰も難病だなんてわからない。だからこそ、普段どんなことに気を付けているのかを話した方がいいんじゃないかな。トイレに沢山行くかもしれないとか、油分の多い食事はとれないとか。病気をあらかじめ説明して、働くことってすごく大切だよな。」と。

今、西さんは、高齢者の方の入浴の介助や食事の用意など、身の回りのケアの仕事をしています。さらに、介護福祉士という国家資格の取得を目指して勉強中です。
病気の苦しみについて、西さんは、こんな風に語ります。
「介護の仕事をして感じたのは、苦しんでいるのは難病の人だけじゃないということ。どんな病気にも、それぞれの苦しさがあるんです。」

いかがでしたか。最後に西さんは
「私のように、難病だからって自分の殻に閉じこもるんじゃなくて、この人はどういう風に苦しいんだろう、普段何に気を付けてるんだろうって、お互いのことを、みんなが知っていけるといいですよね。」
と、笑顔で話していました。
では、また。