北九州市人権推進センターがお送りする「明日への伝言板」です。
今日は、平成24年度に北九州市が募集した人権作文の入選作品の中から、
結婚差別に関するお話を紹介します。
十年ほど前、私には結婚を意識して交際している女性がいた。
笑顔を絶やさず芯(しん)のしっかりした彼女が、ある日突然、涙ながらにこう言った。
「父が、結婚は絶対に許さないと言っている」。
どうやら彼女の父親は、信用調査会社を使い、
私が同和地区の出身であることを突き止めたらしい。
幼いころから家や学校で部落差別の話をよく聞かされていた私は、
さまざまな問題意識を持ち合わせていたし、
結婚への道のりが平たんではないことも承知していたつもりだ。
しかし、いざわが身に結婚差別が降り掛かってみると、
怒りとも悲しみとも虚無感ともつかない感情が込み上げ、
それまでの知識や理解は全て吹き飛んでしまった。
同時に、そんな言葉を伝えなければならなかった彼女に対し、申し訳ない気持ちになった。
二十歳を超えていた私たちの結婚に、親の承諾は必要なかった。
彼女も家を出る決心をしていたので、勝手に入籍して新生活を始めることもできた。
しかし、それは何か違う気がしていた。
二人の結婚がどれだけ他人に迷惑を掛けるのか…。
やがて生まれてくる子どもに、母方の祖父母との断絶をどう説明するのか…。
この点で、迷いが生じていた。
私は、何百年も続いてきた愚かな差別や偏見を、
子や孫の代まで残すものかと思い、彼女の両親の理解を得ようと決意した。
だが、何度足を運んでも会うことさえ拒否され続ける日々が、二年も続いた。
やがて、互いの心に微妙な距離が生まれ、感情をぶつけ合うことが増えていった。
私たちは結果として、差別に負けてしまったのだ。
次の世代の人たちに伝えたい。
もし私と同じ問題に直面したら、どうか真正面から受け止めて戦ってほしい。
目の前に立ちはだかる大きな壁を明日へのドアに変えられるのは、若い力だと信じている。
いかがでしたか。
同和地区出身者への偏見による結婚差別は、
北九州市が2010年に行った市民意識調査の結果からも、
今なお根強く残っているといえます。
もし、あなたのお子さんの結婚相手が同和地区の人だと分かったら、
あなたはどうしますか。
それでは、また。
今日は、平成24年度に北九州市が募集した人権作文の入選作品の中から、
結婚差別に関するお話を紹介します。
十年ほど前、私には結婚を意識して交際している女性がいた。
笑顔を絶やさず芯(しん)のしっかりした彼女が、ある日突然、涙ながらにこう言った。
「父が、結婚は絶対に許さないと言っている」。
どうやら彼女の父親は、信用調査会社を使い、
私が同和地区の出身であることを突き止めたらしい。
幼いころから家や学校で部落差別の話をよく聞かされていた私は、
さまざまな問題意識を持ち合わせていたし、
結婚への道のりが平たんではないことも承知していたつもりだ。
しかし、いざわが身に結婚差別が降り掛かってみると、
怒りとも悲しみとも虚無感ともつかない感情が込み上げ、
それまでの知識や理解は全て吹き飛んでしまった。
同時に、そんな言葉を伝えなければならなかった彼女に対し、申し訳ない気持ちになった。
二十歳を超えていた私たちの結婚に、親の承諾は必要なかった。
彼女も家を出る決心をしていたので、勝手に入籍して新生活を始めることもできた。
しかし、それは何か違う気がしていた。
二人の結婚がどれだけ他人に迷惑を掛けるのか…。
やがて生まれてくる子どもに、母方の祖父母との断絶をどう説明するのか…。
この点で、迷いが生じていた。
私は、何百年も続いてきた愚かな差別や偏見を、
子や孫の代まで残すものかと思い、彼女の両親の理解を得ようと決意した。
だが、何度足を運んでも会うことさえ拒否され続ける日々が、二年も続いた。
やがて、互いの心に微妙な距離が生まれ、感情をぶつけ合うことが増えていった。
私たちは結果として、差別に負けてしまったのだ。
次の世代の人たちに伝えたい。
もし私と同じ問題に直面したら、どうか真正面から受け止めて戦ってほしい。
目の前に立ちはだかる大きな壁を明日へのドアに変えられるのは、若い力だと信じている。
いかがでしたか。
同和地区出身者への偏見による結婚差別は、
北九州市が2010年に行った市民意識調査の結果からも、
今なお根強く残っているといえます。
もし、あなたのお子さんの結婚相手が同和地区の人だと分かったら、
あなたはどうしますか。
それでは、また。