人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2013年10月29日(火)放送

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ブラック企業の実態
北九州市人権推進センターがお送りする「明日への伝言板」です。

 入社間もない社員がうつ病になったり、過労死に追い込まれたり、

若者の深刻な労働問題が増えています。

今日は、ブラック企業に関するお話です。

 ある飲食店の店長をしていた20代の男性は、

月に200時間を超える残業を強いられました。

8カ月の間に2日しか休みを取れず、連続90日間働いた末に自殺しました。

このように、従業員に長時間の過重労働をさせる、

記録を改ざんして残業代を支払わない、

人格を傷つけるような暴言を吐いて退職に追い込むなど、

悪質な手口で社員を使い捨てにする会社をブラック企業と呼ぶようになり、

大きな社会問題になっています。

 東京(とうきょう)を拠点に、若者の労働相談に応じている「ポッセ」というNPO法人があります。

労働法を学ぶ法学部の学生が7年前に設立し、

大学生と若手社会人が中心になって運営しています。

ポッセに全国から寄せられる相談は、年間およそ1,000件。

その半数がブラック企業に関するものだといいます。

 代表の今野晴貴(こんのはるき)さんは、ブラック企業の悪質な行為によって、

心も体もボロボロにされた若者たちを数多く見てきました。

「病気になるまで働かされ、退職した後も、

失業保険をもらえなかったり、うつ病で再就職できなかったりと、

その後の人生まで大きく狂わされてしまうケースが少なくない」と今野さん。

 しかし、一人で企業に立ち向かい、問題を解決するのは、至難の業です。

今野さんは「我慢や泣き寝入りをしないで、早めに専門機関に相談してほしい」

と呼び掛けています。

 年間3万人近い人が自殺している日本。

20代や30代の若年層で増えているのが、最近の傾向です。

「ブラック企業の横行が、自殺者の若年化に影響しているのではないか」と、

今野さんは見ています。

 ブラック企業の存在は、働く人たちに対する明らかな人権侵害であるだけでなく、

真面目な労使関係を築いている同業他社への不信感をもたらすなど、

社会的な損失を招きます。

もし自分や周りの人がブラック企業の被害に遭ったら、

一人で悩まず、労働相談窓口や弁護士に適切なアドバイスを求めましょう。

 では、また。