北九州市人権推進センターがお送りする「明日への伝言板」です。
今日は、北九州市が平成24年度に募集した人権作文の入選作品から、
人と人との触れ合いについてのお話を紹介します。
日差しの強い夏の日、
長く続く登り坂を愛犬と散歩していたときのことだった。
30メートルほど先に、車椅子のおばあさんが目に入った。
私は以前、バスの中で席を譲ろうとして、
かえって嫌な顔をされた苦い経験があったので、
何と声を掛けたらいいのかと考え始めていた。
車椅子のおばあさんと2メートルほどの距離になったとき、
何げなく出てきた言葉は「暑いですね」だった。
「木が大きくなったから、日陰をつくってくれて、ありがたいですよ」と言って、
おばあさんはポプラの木を見上げた。
この団地ができて、三十数年。
建設当時に植えられた街路樹の成長とともに、住民もその年月だけ年老いてきた。
今では、60歳以上の人が47%を占めている。
「最初のころは、まだ小さかったですものね。どちらまで行かれるんですか」
「中央広場までです」
「僕もたばこを買いに行くところですから、一緒に行きましょうか」
車椅子の後ろに回り、グリップを握った。
「ありがとうございます。とても助かります」
中央広場まで押していくと、
「あとは自分で行けますから。本当にありがとうございました」。
おばあさんは深々と頭を下げた。
お互いに自然と出た言葉が良かったに違いない。
そのひと言が相手との距離を縮め、その後の言葉を引き出してくれたのだ。
高齢化が進む中、誰もが人と人との温かい関わり合いの中で生きたいと願っている。
そのためには、さりげなく相手の心に届くひと言が必要になる。
見知らぬ同士でも、いたわる心で一歩を踏み出すことである。
いかがでしたか。
作者の戸惑いや安堵(あんど)感がリアルに伝わってきますね。
時代と共に町も人も変わっていきます。
作者が暮らす団地もかつてはニュータウンという名で呼ばれていたのでしょう。
今では高齢者の姿が目立つようになりました。
地域の中で誰もが心地よく暮らしていくために、
作者が言うように「人と人との温かい関わり」が求められています。
皆さんもひと声掛けてみませんか?
では、また。
今日は、北九州市が平成24年度に募集した人権作文の入選作品から、
人と人との触れ合いについてのお話を紹介します。
日差しの強い夏の日、
長く続く登り坂を愛犬と散歩していたときのことだった。
30メートルほど先に、車椅子のおばあさんが目に入った。
私は以前、バスの中で席を譲ろうとして、
かえって嫌な顔をされた苦い経験があったので、
何と声を掛けたらいいのかと考え始めていた。
車椅子のおばあさんと2メートルほどの距離になったとき、
何げなく出てきた言葉は「暑いですね」だった。
「木が大きくなったから、日陰をつくってくれて、ありがたいですよ」と言って、
おばあさんはポプラの木を見上げた。
この団地ができて、三十数年。
建設当時に植えられた街路樹の成長とともに、住民もその年月だけ年老いてきた。
今では、60歳以上の人が47%を占めている。
「最初のころは、まだ小さかったですものね。どちらまで行かれるんですか」
「中央広場までです」
「僕もたばこを買いに行くところですから、一緒に行きましょうか」
車椅子の後ろに回り、グリップを握った。
「ありがとうございます。とても助かります」
中央広場まで押していくと、
「あとは自分で行けますから。本当にありがとうございました」。
おばあさんは深々と頭を下げた。
お互いに自然と出た言葉が良かったに違いない。
そのひと言が相手との距離を縮め、その後の言葉を引き出してくれたのだ。
高齢化が進む中、誰もが人と人との温かい関わり合いの中で生きたいと願っている。
そのためには、さりげなく相手の心に届くひと言が必要になる。
見知らぬ同士でも、いたわる心で一歩を踏み出すことである。
いかがでしたか。
作者の戸惑いや安堵(あんど)感がリアルに伝わってきますね。
時代と共に町も人も変わっていきます。
作者が暮らす団地もかつてはニュータウンという名で呼ばれていたのでしょう。
今では高齢者の姿が目立つようになりました。
地域の中で誰もが心地よく暮らしていくために、
作者が言うように「人と人との温かい関わり」が求められています。
皆さんもひと声掛けてみませんか?
では、また。