人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2013年11月07日(木)放送

テーマ / 同和問題/個人情報 ジャンル検索

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戸籍の不正取得問題
北九州市人権推進センターがお送りする「明日への伝言板」です。

 個人情報保護法が全面施行され、8年が経過しました。

大事な情報を守れるようになった一方で、

戸籍謄本などを不正に取得する事件が後を絶ちません。

背景には何があるのでしょうか。

 戸籍は、名前、生年月日、性別の他、本籍、両親の名前、

生まれた場所、婚姻相手の名前など、

個人のプライバシーに関わる重要な事柄が記載されています。

そのため、戸籍謄本は、正当な理由がなければ、第三者が取得することはできません。

しかし、弁護士や司法書士、行政書士といった人たちは、

業務に必要な場合に限り、本人の承諾なしで戸籍謄本を取得できます。

この権限を悪用した事件が2011年11月、明らかになりました。

 東京都のある司法書士事務所が戸籍謄本や住民票などを不正に取得し、

依頼元である探偵業者に一件5,000円から15,000円で販売していたのです。

関与した司法書士事務所の代表や探偵会社の代表は戸籍法違反などで起訴され、

一部が有罪判決を受けました。

 この事件では、2008年から3年間で1万件以上もの不正取得が行われていました。

どのように利用されていたのでしょうか。

この事件に関与した探偵会社の代表は「半分は結婚相手の身元調査依頼」と証言しています。

また、別の不正取得事件の行政書士は

「同和地区の出身かどうかを調べるのがほとんどだった」と話しています。

北九州市が2010年に行った人権問題に関する市民意識調査で、

「同和地区の人を嫌がったり、避けたりするような意識はまだあると思いますか」との問いに、

差別意識がまだ残っていると思うという回答が6割を超えています。

こうした差別意識が身元調査を依頼する根っこにあるようです。

 以前から、部落差別と身元調査の関わりが指摘されてきましたが、

不正な身元調査が許されないことはもちろん、

同和地区の居住者や出身者という理由だけで、

結婚や就職で不当に扱われることは重大な人権問題です。

 私たち一人一人が偏見にとらわれず、正しい認識を持ち、

人柄や能力で判断していくことが必要です。

 では、また。