人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2013年11月25日(月)放送

テーマ / 高齢者/支え合い ジャンル検索

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守恒SOSネットワーク
北九州市人権推進センターがお送りする「明日への伝言板」です。

 2012年3月現在、北九州市の高齢化率、

六十五歳以上の人が占める割合は25.5%。

全国の政令指定都市の中でトップです。

それとともに認知症の人も増え続けています。

 北九州市小倉南区(こくらみなみく)の守恒(もりつね)地区では、

まちづくり協議会を中心に2012年9月、「守恒SOSネットワーク会議」が設立され、

認知症などで徘徊(はいかい)するお年寄りの見守り活動を始めました。

地元の行事や防犯情報などを配信するネットワークを活用し、

高齢者や子どもなど、行方不明の人たちのSOS情報をメールで発信します。

現在およそ九百人が登録しています。

 「半年で7件ものSOS情報が寄せられ、驚いています」と語るのは、

ネットワーク会議会長の笹月二男(ささつきつぎお)さん。

笹月さんは夜中も専用の携帯を身に着け、

連絡がきたら、登録者全員に行方不明者の情報を送信します。

今までに寄せられたSOS情報の中には、

自宅から一晩中歩き通し、朝方におよそ25キロ離れた町で見つかったお年寄りもいました。

 笹月さんは言います。

「家族だけで探すのは限界があります。

メールを受けた地域の人たち一人一人が目となり足となって、

周囲や身近な場所を見てもらい、気にかけてもらうだけで大きな力になります」

 そして、

「認知症は恥ずかしいという家族の意識を変え、

みんなで認知症について正しい理解を持とうという気持ちが生まれました」。

 守恒市民センターの中村真理子(なかむらまりこ)館長は言います。

「もしかしたらと気に掛け、敏感になることで、地域の安心にもつながっています。

自分たちの町をみんなで支えていこうという意識が強くなりました」

 守恒SOSネットワーク会議では

認知症の勉強会を定期的に開催し、模擬訓練も行っています。

参加者の中には「自分もいずれ捜してもらう側になるだろうから」と語る人もいて、

みんな熱心に訓練に取り組んでいました。

 現在、認知症と診断されている人は全国でおよそ300万人。

2025年には1.5倍の470万人に増えると推計されています。

誰もが当事者になり得るという現実を受け止め、

地域の一人一人が知恵と力を出し合っていくことが大切ではないでしょうか。

 では、また。