人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2013年11月26日(火)放送

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北九州市人権推進センターがお送りする「明日への伝言板」です。

今日は、北九州市教育委員会が平成24年度に募集した人権作品の中から、

北九州市八幡西区(やはたにしく)にある特別支援学校の高等部三年生、

二木緩乃(ふたつぎひろの)さんの詩を紹介します。

題は『絆』です。

『絆』

北九州市立八幡(やはた)特別支援学校高等部三年 二木緩乃

東日本大震災は、本当にこわかった。

私たちは、テレビや新聞で、そのときの様子を勉強した。

そして、東日本の人たちを応援できないか考えた。

一人一人の力は小さいけれど、

みんなで応援すれば、

なにかができるはずだ。

運動会のとき、全員で

メッセージを送ろうと考えた。

東北の民謡「大漁(たいりょう)唄(うた)い込(こ)み」をおどった。

「東日本の人たちをはげましたい。」

「元気づけたい。」

と、大空に向かって大きな声を出して言った。

家族が亡くなったり、家がなくなったり、

悲しいだろうな。

早く元気になってほしいと思いながら

メッセージを送った。

そして、おどった。

いかがでしたか。

緩乃さんたちの素直で力強いメッセージ、大空高く舞い上がり、

風に乗って東日本まで届いたのではないでしょうか。

緩乃さんたちが踊った『大漁唄い込み』は、『斎太郎節(さいたらぶし)』でもおなじみの宮城県民謡。

曲の冒頭に出てくる松島は、日本三景の一つにも数えられる名勝地です。

その松島も、東日本大震災で大津波に見舞われ、

島の一部が崩れ落ちたり、島に架かる橋が壊れたりしました。

あの日からもうすぐ3年になります。

松島を訪れる観光客の数は震災前の九割まで回復したとのことですが、

被災地の中にはまだまだ復興が進んでいないところも少なくありません。

被災地から福岡に避難してきている人が、こんなことを言っていました。

「不自由な避難生活や心無い差別もつらいけど、忘れられてしまうのはもっとつらい」と。

緩乃さんの詩を聴いて、被災地や被災者への思いを

新たにした人も多いのではないでしょうか。

いま一度、詩の一節を心に刻んで、お別れしたいと思います。

「一人一人の力は小さいけれど、みんなで応援すれば、なにかができるはずだ」。

それでは、また。