人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2013年10月10日(木)放送

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助かったよ ありがとう
北九州市人権推進センターがお送りする「明日への伝言板」です。

今日は、北九州市教育委員会が平成24年度に募集した人権作品の中から、

北九州市八幡西区(やはたにしく)の小学六年生、河瀬真優子(かわせまゆこ)さんの詩を紹介します。

題は『助かったよ ありがとう』です。

本人の朗読でお聴きください。

『助かったよ ありがとう』

北九州市立永犬丸(えいのまる)小学校六年 河瀬 真優子

空港のバス停にバスが着いた

次々に人がおりた

その中に目の見えない人がおりてきた

はじめての場所なのだろうか

立ち止まって迷っているようだ

まわりの大人は、みんな見て見ぬふり

すると、いっしょにいた父がその人の手をにぎった

そして道のあんないをした

私も何かできることをさがした

目の見えない男の人の右手には

重そうなにもつがあった

気がつくとわたしは、にもつをもっていた

あんないが終わると

「助かったよ、ありがとう」

といわれた

私は、スキップをしながら

思いっきりバスの中にかけこんだ

いかがでしたか。

真優子さんは目の見えない人との出会いを通じて、

障害のある人とどう接していけばいいのかを学びました。

お父さんは、真優子さんに言葉ではなく、自らの行動で大切なことを教えてくれました。

「見て見ぬふりをする大人」ではなく、

誰かのために手を差し伸べられる大人になってほしいと。

お父さんの思いをしっかりと受け止め、行動に移した真優子さん。

そして、男の人は、「助かったよ、ありがとう」と返します。

そこには障害のある人との心の交流と、互いに向け合った優しいまなざしがあります。

真優子さんの詩を聴いて、こんな言葉が浮かびました。

「大人は子どもの力を引き出す鍵を握っている だから 子どもの最良の手本でありたい」

ドロシー・ロー・ノルトの『子どもが育つ魔法の言葉』の一節です。

良いことも、悪いことも、大人たちの何げない行いが、

周りの子どもたちに大きな影響を与えます。

真優子さんのお父さんが自然にとった行動が、真優子さんにしっかりと伝わったように。

私たち一人一人が日々の行いを見直すきっかけにしたいですね。

 では、また。

■出典:ドロシー・ロー・ノルト著、石井千春/武者小路実昭訳、PHP文庫刊、「子どもが育つ魔法の言葉」