人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2013年11月27日(水)放送

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北九州市人権推進センターがお送りする「明日への伝言板」です。

 今日は、北九州市教育委員会が平成24年度に募集した人権作品の中から、

北九州市八幡西区(やはたにしく)の小学六年生、山田諒(やまだりょう)くんの作文を紹介します。

題は『妹』です。

 平成21年3月に妹の柚衣(ゆい)と真衣(まい)が生まれました。

すぐに会いたかったけれど新生児集中治療室に入ってしまい、

僕は祖母と帰りました。

夜中に父から電話があり、病院へ行きました。

そこで柚衣が死んでしまったことを知りました。

僕は言葉も出なくて柚衣を抱っこしていました。

泣くんじゃないか、目を開けるんじゃないか、

と思ったけれど動きませんでした。

 もう一人の妹の真衣は1470グラムしかなく、

心臓に穴が開いていることが分かり、そのまま入院しました。

柚衣のように死んでしまうのではないかと心配でたまりませんでした。

 入院から3カ月、真衣はやっと退院しました。

僕は急いで学校から帰って、うれしくて真衣をずっと抱っこしていました。

ミルクを飲ませたりおむつを替えたりして世話をしました。

普通の赤ちゃんと同じくらい元気で、心臓病のことなど忘れるくらいでした。

 そして、真衣は1歳のときに手術が決まりました。

本当に心臓病が治るのか、柚衣みたいにならないのかと、胸がザワザワしました。

けれど真衣は元気に退院しました。

 手術からおよそ1年、真衣は幼稚園に入園しました。

僕の宿題に落書きしたり、辞書を破ったりと、

悪いことばかりして本当に腹が立ちます。

でも、そんなときは「そっか。柚衣と二人分やけね」と思います。

 世の中には自分の命を自分で終わらせる人がたくさんいますが、

柚衣のように生きたくても生きられない人もたくさんいます。

だからもっと自分の命を大切にしてほしいと思います。

 僕は天国に行ってしまった柚衣を絶対に忘れません。

いつまでもずっと僕の妹は柚衣と真衣の二人です。

 いかがでしたか。

生きたくても生きられなかった柚衣ちゃんと、手術に耐えて元気になった真衣ちゃん。

二人の妹に寄り添い、諒くんは命の尊さを実感しました。

柚衣ちゃんの命は諒くんの中で生きています。

私たちも、自分の、家族の、友達の、全ての命の重さやつながりを

感じながら生きていきたいものですね。

 では、また。