人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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  • 2013年10月15日(火)放送

テーマ / 刑を終えて出所した人 ジャンル検索

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就労支援で再犯防止
北九州市人権推進センターがお送りする「明日への伝言板」です。

 法務省の犯罪白書によると、刑務所を出た人が再び罪を犯す割合は43.8%。

その多くが出所しても仕事に就けなかった人たちです。

働く能力や意欲があっても、犯罪歴があると就職が厳しく、住むところもお金もない中、

再び犯罪の道に足を踏み入れてしまうケースが少なくありません。

そんな中、再犯を減らすことを目的に、

出所した人たちの就労を支援する会社が、福岡市にあります。

 会社の名前は、株式会社ヒューマンハーバー。

2012年に設立された資源リサイクル会社で、

現在、4人の出所者を正社員として雇用しています。

そのうち20代と30代の男性二人には、就労に必要な能力や資格を

身に付けるための教育支援も行っています。

彼らの暮らす社員寮では、飼い主のいない猫を飼育することで

心のケアをしようというユニークな試みも行われています。

さらに2013年からは、年間56人に教育機会と宿泊場所を

セットで提供する取り組みもスタート。

このように、総合的に出所者の支援に取り組む会社は、全国でも例がありません。

 「反省は一人でもできるけど、更生は一人ではできない」。

これは、ヒューマンハーバーの社長、副島勲(そえじまいさお)さんの言葉です。

20年近くにわたり、刑務所や少年院を出所した人たちの

社会復帰を支援する保護司を務めてきた経験から、この会社の設立に思い至りました。

「一度罪を犯したから『ダメな人間だ』というレッテルを貼るのではなく、

心から反省し罪を償った人たちが、再出発しやすい仕組みを作りたい」。

そんな強い思いがあります。

副島社長は、こうも言っています。

「罪を犯したとはいえ、更生意欲が高く優秀な人も多い」と。

 最終的な目的は、日本から再犯をなくすこと。

そのためにも、ヒューマンハーバーの事業を拡大すると同時に、

教育支援によって多くの経営者を生み出すことで、

出所者の雇用の場を増やしたいと考えています。

 再犯が減れば、誰もが安心して暮らせる社会につながります。

刑を終えて出所した人たちが社会復帰するとき、

犯罪者として排除するのではなく、社会の一員として受け入れることが大事です。

 では、また。